−さん(さ)(san3)−
・三三九度(さんさんくど) 献杯(けんぱい)の礼の一つ。三杯ずつ三度杯を遣り取りすること。現在では、日本風の婚礼のときに行われる。
・三々五々(さんさんごご) 人が三人、また五人ぐらいずつ続いて歩いて行く、来る、または居る様子。また、あちらこちらに家などが小さく固まって散在している様子。 類:●三々両々●ちらほら 例:「中締めが済むと散会となり、三三五五と帰途に就く」 出典:李白「採蓮曲」「岸上誰家遊冶郎、三三五五映垂楊、紫[馬+留]嘶入落花去、見此踟[足+厨]空断腸」
・散々の目(さんざんのめ)[=な目] 「散々」は様子が酷く悪い、見苦しいという意味で、甚(はなは)だしい苦しみや辛さ、迷惑など。
・山紫水明(さんしすいめい) 山が紫色に霞み、澄んだ水が清くはっきりと見えること。山水の景色が清らかで美しいこと。 類:●風光明媚 例:「山紫水明の地」 ★江戸末期の儒学者、頼山陽(らいさんよう)が、自分の庵(いおり)に「山紫水明処」と名付けたことによる。文政11年(1828年)建立。 
・三下に見る(さんしたにみる) 三下奴のように見做(みな)すという意味から、見下して軽くあしらうこと。 類:●下目に見る
・三下奴(さんしたやっこ) 博徒の仲間で最も下位の者。 類:●三下(さんした) 参考:三より下 賽子(さいころ)の目数が四以上の場合は勝つ可能性があるが、三より小さい場合には絶対に勝てないところから、「どうにも目の出そうにない者」を意味するようになったという。
・三枝の礼(さんしのれい) 鳩は礼儀を知っていて、子は親鳥が止まっている枝から三本下の枝に止まるということ。転じて、鳥さえも孝道を弁(わきま)えているという喩え。 →「鳩に三枝の礼あり」 類:●反哺の孝●烏鳥(うちょう)の私情 出典:梁武帝の「孝思賦」
・三尺去って師の影を踏まず(さんじゃくさってしのかげをふまず)[=下がって〜] 弟子が師に随行するとき、あまり近付くことは礼を失するので、三尺後ろに離れて従うべきである。弟子は師を尊敬して礼儀を失わないようにしなければならないという戒(いまし)め。 類:●七尺去って師の影を踏まず
・三舎を避ける(さんしゃさける)[=譲(ゆず)る] 1.恐れ憚(はばか)って遠く避ける。相手を恐れて、尻込みをする。遜(へりくだ)った態度を取る。2.相手に遠く及ばないことを認めて引き下がる。到底(とうてい)比較にもならない。まったく問題にならない。 出典:「春秋左氏伝−僖公23年」「晋楚治兵、遇于中原、其辟君三舎」 参考:三舎(さんしゃ) 中国で古代、軍隊の三日間の行程。一日一舎を行軍するとされ、一舎は30里で、一里を360歩として、三舎は約60キロメートルの行程。
・三獣渡河(さんじゅうとが) 仏教用語。三乗の修行に浅深があるということ。それを、兎、馬、象の三獣が川を渡るのに喩えたもの。声聞(しょうもん)→円覚(えんがく)→菩薩(ぼさつ)で、「声聞」は兎が水に浮かんで底に届かないように、「縁覚」は馬の足が水の底に届いたり届かなかったりするように、「菩薩」は象の足が水の底に達するように、それぞれ程度が異なるということ。 出典:優婆塞戒経(うばそくかいきょう) 大乗経典の一つ。曇無讖(どんむしん)が426年に漢訳。大乗仏教の在家信者が守るべき戒律を説いた。「養生経」。
・三十にして立つ(さんじゅうにしてたつ) 三〇歳になり、自己の確固とした立場を以って揺るがさず、精神的に自立する。 類:●而立(じりつ) 出典:「論語−為政」「子曰、吾十有五而志于学。三十而立。四十而不惑。五十而知天命。六十而耳順。七十而従心所欲、不踰矩」
・三十の尻括り(さんじゅうのしりすぼり) 人間、三十歳ともなれば思慮分別ができて、世の中に即応した堅実な生活をするようになるものである。 反:■うかうか三十きょろきょろ四十
・三十六計逃げるに如かず(さんじゅうろっけいにげるにしかず)
・三種の神器(さんしゅのじんぎ・しんぎ) 1.皇位の印として、代々の天皇が伝承する三つの宝物。「八咫鏡(やたのかがみ)」、「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」、「八坂瓊曲玉(やさかにのまがたま)」を指す。天孫降臨に際して、天照大神から授けられたものとする。 類:●みくさのかむたから 2.家庭生活、日常の社会生活などで貴重なもの三種類の喩え。 例:「洗濯機・冷蔵庫・掃除機は家電の三種の神器と呼ばれた」
・三上(さんじょう) 文章を練るのに最もよく考えが纏(まと)まるという三つの場所。馬上(ばじょう)・枕上(ちんじょう)・厠上(しじょう)。つまり、馬に乗っているとき、布団に横になっているとき、便所に入っているとき。 出典:欧陽修「帰田録−二」「多在三上、乃馬上、枕上、厠上也」 参考:三餘(さんよ)
・山椒は小粒でもぴりりと辛い(さんしょうはこつぶでもぴりりとからい)
・三竦み(さんすくみ) 蛇は蛞蝓(なめくじ)を、蛞蝓は蛙を、蛙は蛇を恐れるということ。転じて三者が互いに牽制し合って、身動きできない状態。 参照:「関尹子−三極」「螂蛆食蛇、蛇食蛙、蛙食螂蛆、互相食也螂蛆」 …但し、ここでの「螂蛆」は、百足(むかで)のこと。 参考:虫拳(むしけん) 拳の一種。親指を蛙、人差指を蛇、小指を蛞蝓(なめくじ)と定め、蛇は蛙に、蛙は蛞蝓に、蛞蝓は蛇に勝つものとして勝負を争うもの。
・三寸息絶ゆ(さんずんいきたゆ) 人の呼吸機能は咽喉三寸の間にあるとするところから、咽喉元三寸の呼吸が止まる。死ぬ。
・三寸の舌(さんずんのした)[=舌端(ぜったん)] 1.たいした長さではない舌ということから、口先のこと。心が篭もっていない上辺だけの言葉や話しぶり。 故事:「史記−淮陰候列伝」 漢のレイ食其(いき)は舌先三寸で斉の国の城70余りを手中に収めた。 2.また、弁舌のこと。 出典:「史記−平原君列伝」
・三寸の舌に五尺の身を亡ぼす(さんずんのしたにごしゃくのみをほろぼす) 不用意な発言のため、身の破滅を招くこと。禍(わざわい)を招かないためには、口を慎(つつし)みなさいということ。
・三寸の見直し(さんずんのみなおし) 物の寸法も測りようによっては三寸ぐらいの誤差はあるというところから、何事も細かく点検すれば、多少の欠点はあるものだということ。また多少の欠点は見慣れれば苦にならないということ。
・三寸俎板を見抜く(さんずんまないたをみぬく) 三寸ほども厚さがある俎板の裏まで見抜くということで、眼力が鋭いこと。洞察力が優れていること。また、「見抜く」が「見抜いた」の形で、確かに見極めたという意味にも使う。
・三寸見通し(さんずんみとおし) 眼力、眼識の鋭いこと。 類:●三寸見抜く●三寸やらぬ●三寸俎を見抜く
・三省(さんせい・さんしょう) 一日に三度反省するという意味で、不忠、不信、不習について、日々何度となく我が身を顧(かえり)みている、また、戒(いまし)めているということ。 出典:「論語−学而」「曾子曰、吾日三省吾身。為人謀而不忠乎、与朋友交而不信乎、伝不習乎」 ★この場合「三」は、「何度も」の意味かともいうが、「3つのこと(不忠、不信、不習)について」と解釈したい。 ★出版社「三省堂」の社名の由来とされる。
・山川万里(さんせんばんり) 山や川を隔てて遠く離れていること。