−さる(saru)−
・笊(ざる) 1.何をやってもどこかが抜けている者の喩え。漏れが多いことの喩え。 例:「お前は何をやらせても笊だな」 2.俗語。酒を飲んでも少しも酔わない者のこと。 類:●蠎蛇(うわばみ)
・猿が髭揉む(さるがひげもむ) つまらない者が立派な人の真似(まね)をして威厳を繕(つくろ)うのを、嘲(あざけ)って言う言葉。 類:●顰に効う
・猿芝居(さるしばい) 1.猿に、衣装や鬘(かつら)などを付けさせて芸を行わせる見世物。2.下手な芝居を嘲(あざけ)る言葉。3.直ぐに見透かされてしまうような浅墓(あさはか)な企(たくら)みや、愚かな言動。
・笊舐めた犬が科被る(ざるなめたいぬがとがかぶる) 食物を盗み食いした犬が逃げた後、空になった笊を舐めただけの犬が見付かって打たれるということから、悪事を働いた大物は逃げ果(おお)せて、小物が捕まること。 類:●米食った犬が叩かれず糠食った犬が叩かれる●皿舐めた猫が科を負う
・猿に烏帽子(さるにえぼし) 猿が烏帽子を被っても似合わないことから、人柄に相応(ふさわ)しくない服装や言動を揶揄(やゆ)して言う言葉。
・猿に木登り(さるにきのぼり) 木登りを得意とする猿に木登りを教えるのは愚かなことである。知り尽くしている人に生齧(なまかじ)りの教えを説くこと。また、余計なこと、無駄なことをする喩え。 類:●河童に水練●孔子に論語●釈迦に説法 出典:「詩経−小雅・角弓」「毋教エン[=ケモノ偏+柔]升木、如塗塗附、君子有徽猷、小人与属」
・笊に水(さるにみず) 笊に水を入れても溜まらないことから、努力しても無駄であることの喩え。効果がないことの喩え。
・猿の尻笑い(さるのしりわらい) 自分のことを顧(かえり)みずに、他人の欠点を嘲笑(あざわら)うことの喩え。 類:●目糞が鼻糞を笑う
・猿の水練(さるのすいれん) 猿が水の中で泳ぐことなど有り得ないという考えから、在り得ないこと、あるいはやることが逆であること。 類:●魚の木登り●猿の水練魚の木登り
・猿の空虱(さるのそらじらみ) 猿が虱を取っているようなふりをしているところから、仕事や用事があるふりをして、実は何もしないことの喩え。
・去る者は追わず(さるものはおわず) 去ろうとする人を引き止めない。自分から離れて行こうとする人の自由な意志に任せて、無理に束縛したりなどしない。 類:●往く者は追わず来る者は拒まず●来る者は禁ずるなく往く者は止むるなし 出典:「春秋公羊伝−隠公二年」「来者勿拒、去者勿追」 出典:春秋公羊伝(しゅんじゅうくようでん) 「春秋」の注釈書。紀元前5世紀頃。斉の公羊高(くようこう)が伝述したものを、その玄孫の寿と弟子の胡母子都等が記録したもの。「公羊伝」。
・猿も木から落ちる(さるもきからおちる) その道に優れている人でも、時には失敗をすることがある。 類:●釈迦にも経の読み違い●弘法にも筆の誤り
・去る者は日々に疎し(さるものはひびにうとし)
・猿を決め込む(さるをきめこむ) 「三猿(さんえん)」から、見聞きもしなければ喋(しゃべ)りもせず、知らぬ振りを決め込む。 参考:三猿(さんえん) 青面金剛(しょうめんこんごう)の三匹の使い猿。また、庚申(しんこう)をいう。三匹の猿が、「見ざる・聞かざる・言わざる」の三態を表し、両手で両目、両耳、口をおおった姿を絵や像にしたもの<国語大辞典(小)>