−さす(sasu)−
・流石(さすが) 1.そうはいってもやはり…である。 用例:竹取「是やわが求むる山ならむと思ひて、さすがに恐ろしくおぼえて」 2.なんといってもやはり…である。 用例:古本説話集−二八「さすがにあて人の子なれば、けはひもあてやかに」 3.なんといっても…である。 用例:俳・五元集−拾遺「日の春をさすがに鶴の歩み哉」 4.なんといっても…だけのことはある。 例:「流石は良家のご子息だ」 ★上代の副詞シカスガニに由来するか。当て字で「流石」とも書く<広辞苑第四版(岩)>←「然(しか)すがに」 ★漢字表記の由来は明らかでない。「流石」については、「世説」に見える晋の孫楚の「枕流漱石」の故事にもとづくという<国語大辞典(小)> 用例の出典:五元集(ごげんしゅう) 江戸中期の俳諧集。4冊。榎本其角(えのもときかく)自選、小栗旨原編。延享4年(1747)。延宝・天和・貞享・元禄・宝永の五元に亘る発句一千余を四季別に収めた其角自選の「五元集」と、其角その他の連衆(れんじゅ)の「をのが音鶏合」と、旨原編集の「五元集拾遺」から成る。
・流石に(さすがに) 1.そうは思うものの、やはり。そうではあるが。 用例:伊勢「さすがに哀れとや思ひけむ」 2.優れているだけあって。評判だけあって。本分に違(たが)わず。 用例:後撰和歌集−秋「秋風の吹けばさすがにわびしきは」 3.他とは違って。他はともかくも。 用例:謡・羅生門「さすがに羅生門は都の南門ならずや」 用例の出典:羅生門(らしょうもん) 謡曲。五番目物。観世・宝生・金剛・喜多流。観世小次郎信光。「平家物語」などによる。渡辺綱が羅生門で鬼神の片腕を打ち落として武名をとどろかす。「綱」とも。