−さつ(satu)−
・五月の鯉の吹き流し(さつきのこいのふきながし)
・ざっくばらん・ざっくばらり 心の中を曝(さら)け出して隠し事をしない様子。遠慮がないこと。繕(つくろ)わないこと。 類:●明け透け 用例:伎・処女翫浮名横櫛−中幕「ざっくばらんに言ってくりやれ」 ★一説に、心の殻をざっくり割ってばらりと曝すというところから。また一説に、無精な人の髪形から、取り繕わないことを表わしたともいう。 用例の出典:処女翫浮名横櫛(むすめごのみうきなのよこぐし) 歌舞伎。世話物。河竹黙阿弥。元治元年(1864)江戸守田座初演。体を傷だらけになるまで切られたお富は、東海道の薩多峠(さったとうげ)で開いている茶店で恋人だった与三郎(よさぶろう)と再会。北斗丸(ほくとまる)という刀を買い取るための金を調達することを約束し、強請(ゆす)りや殺人まで犯して、与三郎のために金を手に入れる。『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)』の書替狂言。通称『切られお富』。 参考:与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし) 歌舞伎。世話物。三世瀬川如皐。嘉永6年(1853)初演。9幕。複雑なお家騒動の筋であるが、伊豆屋与三郎と木更津の博徒の妾お富との見初め、露見、再会が中心で、特に再会の「源氏店(玄冶店ゲンヤダナ)」が強請場(ユスリバ)として有名。通称『切られ与三(ヨサ)』。
・札片を切る(さつびらをきる) 惜し気なく大金を使う。見せびらかすようにして大金を使う。 例:「派手に札びらを切る」
・薩摩守(さつまのかみ) 1.薩摩国の長官。特に、平忠度(たいらのただのり1144−1184)を指すことが多い。2.無賃乗車のこと。平忠度が薩摩守であったことから、「忠度」と「只乗り」をもじったもの。 例:「薩摩守を決め込む」 3.狂言の一つ。大蔵流。能「忠度」のパロディ。神崎の渡し守は秀句好きと教えられた出家が、「平家の公達(きんだち)薩摩守忠度」という句で只乗りを試みるが、肝心の「忠度」という部分を忘れて失敗する。「舟銭は薩摩守ぢゃとおしゃれ」という台詞がある。
・薩摩飛脚(さつまびきゃく) 1.薩摩国(さつまのくに)へ行く飛脚。2.江戸時代、薩摩国では国情が漏(も)れるのを恐れ、一旦入国した者は生きて帰さないといわれたところから、出掛けた者が帰らないことの喩え。 類:●冥途の使い●鉄砲玉