−せけ(seke)−
・世間男(せけんおとこ) 世間の人から優れた人物と見られる男。世間のために役に立つ男。
・世間が狭い(せけんがせまい) 1.交際範囲が狭い。付き合いが狭い。また、世間に関して限られた範囲のことしか知らない。2.肩身が狭い。
・世間が立つ(せけんがたつ) 世間への義理が立つ。世間に対して申し訳が立つ。 用例:浄・油地獄−中「こなた衆の外聞世間が立つまい」 ★多く、打消しの形で用いられる<国語大辞典(小)>
・世間が詰まる(せけんがつまる) 世の中の景気が悪くなる。不景気で金の遣り繰りが付かなくなる。 用例:浮・日本永代蔵−四「毎年、世間がつまり、我人迷惑するといへど」
・世間が張る(せけんがはる) 世間付き合いが広くなったり、見栄を張ったりするために出費が増える。
・世間が広い(せけんがひろい) 1.交際範囲が広い。付き合いが広い。世間に知れ渡っている。2.世の中を良く見聞きしていて、世間に関する知識が広い。
・世間虚仮、唯仏是真(せけんこけ、ゆいぶつぜしん) この世のことは全て虚妄であり、ただ仏のみが真実であるということ。 ★天寿国曼荼羅(まんだら)に聖徳太子の語として記される<大辞林(三)>
・世間気(せけんぎ) 見栄を張り、外聞を気にすること。世間体(せけんてい)を飾る虚栄心。
・世間知らず(せけんしらず) 経験が少なくて、世間の事情や世渡りの道に疎(うと)いこと。また、その人。 類:●世間見ず
・世間知らずの高枕(せけんしらずのたかまくら) 厳しい世の中の動向を知らなければ、苦労も少ないので、安心して眠れる。何も知らない人は暢気(のんき)で良いという皮肉。
・世間雀(せけんすずめ) 「雀」は、良く喋る人の喩え。世間の事情に通じていて、それを言い囃(はや)す人。また、世慣れた人。
・世間する(せけんする) 世間に出て交際する。世間付き合いをする。 用例:浄・心中宵庚申−下「世間するわかい者」 用例の出典:心中宵庚申(しんじゅうよいごうしん) 浄瑠璃。世話物。3段。近松門左衛門。享保7年(1722)大坂竹本座初演。「心中二つ腹帯」と同材を扱ったもの。
・世間に鬼はなし(せけんにおにはなし) 世の中には悪い人ばかりでなく、善い人も存外に多いものである。慈悲、人情はどこにもあるものである。渡る世間に鬼はなし。 類:●渡る世間に鬼はない●知らぬ他国にも鬼はない
・世間の口に戸は立てられぬ(せけんのくちにとはたてられぬ) 世人の噂は止めることができない。 類:●人の口に戸は立てられぬ
・世間は張り物(せけんははりもの) 世渡りをするには見栄を張るのが普通であるということ。見栄を張るのは人の人情であるということ。 類:●内裸でも外錦(そとにしき)●世は張物
・世間は広いようで狭い(せけんはひろいようでせまい) 世の中は広いようだが、案外狭いものである。意外な場所で知人に会ったときなどに言う。
・世間晴れて(せけんはれて) 公然と。大っぴらに。 類:●天下晴れて
・世間を狭くする(せけんをせまくする) 世間の信用を失うようなことをして、交際の範囲を狭くする。 類:●肩身を狭くする●肩身が狭い
・世間を張る(せけんをはる) 世間体(せけんてい)を取り繕う。広く付き合ったり、世間に対して見栄を張ったりする。 用例:浮・世間胸算用−1「世間を張つて棟の高き内にはそれほどの風があたつて」
・世間を渡る(せけんをわたる) この世の中で暮らしていく。生きてゆく。