−せち(seti)−
・世知賢い(せちがしこい) 世知に長じていて賢い。また、損得の打算に敏感で、勘定(かんじょう)高い。 類:●抜け目ない 用例:咄・百物語−上「よろづせちがしこき人ありて」 ★近世上方語<大辞林(三)> 用例の出典:百物語(ひゃくものがたり) 咄本(落語)。三遊亭圓朝作(といわれる)。怪談の百物語を題材に作られたもの。
圓朝は自ら蒐集した幽霊画を高座の後に掲げて人々の恐怖を煽(あお)っていた。
・世知がまし(せちがまし) 世知に長(た)けている風である。世知賢く見える。 ★「がまし」は接尾語<国語大辞典(小)>
・世知辛い(せちがらい) 1.小賢(ざか)しい。計算高い。打算的でこせこせしている。 類:●抜け目がない 用例:談・八景聞取法問−四「兒才(さるがしこい)といふのか世智辛(セチカライ)といふのか」 2.世渡りが難しい。暮らし難(にく)い。住み難い。 例:「世知辛い世の中」 用例の出典:八景聞取法問(はっけいききとりほうもん) 談義本。5巻5冊。梅牆述。宝暦4年(1754)・・・詳細調査中。
・世知弁(せちべん) 1.僅かのことにも損得を気にすること。勘定高いこと。けち臭いこと。 用例:史記抄−19「せかせかとせちべんなる者よりは、ましぢゃぞ」 2.「世智弁聡(せちべんそう)」の略。仏教用語。八難の一つ。世知に長けているせいで邪見(じゃけん)に陥(おちい)ること。 用例:米沢本沙石集−3・9「内々は世知弁にて心まさなく」
・世知弁坊(せちべんぼう) 吝嗇(りんしょく)な者を卑(いや)しめていう言葉。 類:●吝(しわ)ん坊●けちん坊