−せつ2(setu2)−
・絶体絶命(ぜったいぜつめい) 「絶体」「絶命」は共に九星占いでいう凶星の名。転じて、どうしても逃れようのない切羽詰まった状況にあること。追い詰められて進退が窮まること。 例:「絶体絶命の窮地」 類:●剣が峰
・舌端火を吐く(ぜったんひをはく) 弁舌鋭く説(と)き立てる。勢い鋭く論ずる。
・雪中の松柏(せっちゅうのしょうはく) 松や柏は冬でもその色を変えない。 1.困難や苦難に遭(あ)って初めて、人の真価が分かるものである。また、君子の真価は普段は分からないが、大事に遭遇して初めて表われるものだということ。 2.苦難に遭っても主義や主張を変えない。節操が極めて固いことの喩え。 ★ここでの「柏」は、檜(ひのき)の一種のコノテガシワのこと。 出典:謝枋得(しゃほうとく)の詩「初到建寧賦詩二首−一」「雪中松柏愈青青、扶植綱常在此行、天下久無キョウ[龍/共]勝潔、人間何独伯夷清」
・雪中の筍(せっちゅうのたけのこ・たかんな) 1.有り得ないものの喩え。 類:●兎角亀毛 2.孝心が深い喩え。孝心が天に報われることの喩え。 故事:「呉志−孫皓伝」の注に引かれる「楚国先賢伝」 中国、三国時代呉の孟宗が、冬に竹林に入って哀嘆したところ、母の好む筍を得たという。 出典:楚国先賢伝(そこくせんけんでん) 呉志(三国志)の裴注にある文章。・・・調査中。
・雪隠浄瑠璃(せっちんじょうるり) 雪隠のように他に人のいないところで語るばかりで、人前ではやれない下手(へた)な浄瑠璃。また、広く、拙(まず)い芸のこと。 ★「せっちん」は「雪隠(せついん)」からの転か。「雪隠」は、離れたところにある雪(すす)ぎ場の意味か。中国・霊隠寺の雪竇(せっとう)という厠掃除の長の故事からともいうが、中国語辞典に「雪隠」は無い。また一説に、「西浄(せいちん)」の転訛ともいわれる。
・雪隠大工(せっちんだいく) 雪隠の工事以外に使えない大工という意味で、腕前の良くない下手(へた)な大工を嘲(あざけ)っていう言葉。
・雪隠詰め(せっちんづめ) 1.将棋で相手の王将を、また、十六六指(じゅうろくむさし)という遊戯で親石を、盤の隅に追い込んで詰めること。2.逃げ場のないところに追い詰めること。
・雪隠で饅頭(せっちんでまんじゅう) こっそり隠れて利益を一人占めにすること。こっそりと巧(うま)いことをするたとえ。
・雪隠の火事(せっちんのかじ) 「焼け糞」の洒落。 ★雪隠(=便所)が火事になると、糞が焼け焦げるということから。
・雪隠の錠前(せっちんのじょうまえ) 便所の中でする咳払いのこと。昔、便所に入っているときに人が来た場合、咳払いをして使用中であることを知らせたことから。
・雪隠虫も所贔屓(せっちんむしもところびいき) どんな汚いところでも、住み慣れたところが良いと思うのが人情であるということ。
・雪泥の鴻爪(せつでいのこうそう) 雪融(ど)けの泥濘(ぬかるみ)の上を鴻(ひしくい)が歩いた爪跡という意味で、跡形が残らないこと。特に、人の行いや、世間の出来事などが消えてしまって、後から尋ね難いことにいう。人の事跡などは痕跡(こんせき)が残らないものだということ。 出典:蘇軾「和子由ベン池懐旧」
・切ない時は親(せつないときはおや) 1.苦しいときや困ったときに頼りになるのは、やはり親であるということ。2.苦しいときや困ったときには、親を口実にしてその場を切り抜けなさいということ。 類:●切ない時の神頼み●叶わぬ時は親を出せ
・舌に掛ける(ぜつにかける) 口先で巧く言い包(くる)めて相手を丸め込むこと。お世辞を言って相手を口説き落とすこと。
・殺の報殺の縁(せつのほうせつのえん) 人を殺すと、その報(むく)いが来て、自分が殺される縁に繋(つな)がるということ。
・切羽詰まる(せっぱつまる) ものごとが差し迫ってどうにもならなくなる。抜き差しならなくなる。 類:●手も足も出ない●二進も三進も行かない●抜き差しならない●退っ引きならない 用例:人情・仮名文章娘節用−後「せっぱつまったそのときは、又外に思案もあらうから」 ★「切羽」は鍔(つば)と鞘(さや)が接する部分に付ける金具。敵が向かって来ているのに、切羽が鞘に詰まって刀が抜けない状態。 ★また、敵が鍔際(つばぎわ)まで迫ってきていて手も足も出ない状況のこと、ともいう。
・切羽(せっぱはばき) 「」は刀身を固定する金具のこと。切羽にぴったりと付くものという意味で、膝詰め談判をすること。 類:●膝詰め談判●詰め開き
・節を折る(せつをおる)[=屈する] 節操を曲げて人に従う。自分の意向を曲げて人に従う。節操を守り通そうとする心が挫(くじ)ける。
・節を遂ぐ(せつをとぐ) 節操を貫き通すという意味で、あらゆる困難を排して責任や義務を全うすること。或いは、信念を貫くこと。 類:●節を全うす 反:■節を折る■節を屈する■節を曲ぐ
・節を全くす(せつをまったくす)[=全(まっと)うす] 節操を守り通す。