−しか(sika)−
・四海兄弟(しかいけいてい) 真心を以って人と付き合っていれば、世の中の人が兄弟となるということ。また、世界中の人々は全て兄弟のように親しくし、愛し合うべきであるということ。 類:●四海同胞 出典:「論語−顔淵」「四海之内、皆兄弟也」 ★「人皆兄弟あり、我独り亡し」と言った司馬牛(しばぎゅう)を励ました子夏(しか)の言葉。
・四海波静か(しかいなみしずか) 四方の海が静かなこと。転じて、国の内外が平和に治まること。 類:●天下太平 楊万里の「六合塵清、四海波静」 人物:楊万里(ようばんり) 詩人、学者。南宋。1127〜1206。字は延秀。号は誠斎。范成大、陸游、尤袤(ゆうぼう)と共に南宋四大家の一人とされる。詩には、田園生活を詠んたものが多い。
・死灰復燃ゆ(しかいまたもゆ)[=再び〜] 一旦衰えたものが再び盛んになること。また、一度落着した事柄がまた起こる喩え。 類:●枯れ木に花●老い木に花 出典:「史記−韓安国列伝」「安国坐法抵罪、蒙獄吏田甲辱安国、安国曰、死灰独不復然乎」
・四角四面(しかくしめん) 性格などが厳格なこと。非常に真面目(まじめ)なこと。堅苦しいこと。また、その人やその様子。 類:●四角●石頭 用例:浮・風流曲三味線−四「四角四面な殿子と聞ましたに」 用例の出典:風流曲三味線(ふうりゅうきょくじゃみせん) 浮世草紙。江島其磧。刊本、横本6巻6冊。大阪の富豪淀屋辰五郎の驕奢生活とその没落を脚色したもの。
・四角な座敷を丸く掃く(しかくなざしきをまるくはく) 座敷は四角いのに、真ん中だけを丸く掃いて、掃除(そうじ)を済ませてしまう。ものごとを好い加減にすることの喩え。 類:●手を抜く
・四角八方(しかくはっぽう) あらゆる方面。あちらこちら。 類:●四方八方●諸方●四隅(しぐう)八方 用例:太平記−5「忽に四角八方へ逃げ散ず」
・四角張る(しかくばる) 堅苦しい。真面目腐(まじめくさ)った態度を取る。 用例:雑俳・柳多留−六九「四角ばる息子は茶屋で丸く成り」
・鹿三代に松一代、松三代に鳥一代(しかさんだいにまついちだい、まつさんだいにとりいちだい) 松の木の寿命は鹿三代分であるが、鳥の寿命はその松の三代分に相当する。鳥はとても長生きであるということ。 ★「鶴は千年」などと言うが、丹頂鶴の平均寿命は25〜30年、最長でも60年ほどらしい。鹿は、15〜20年程度。一般的な松は、500〜1000年と言われる。
・自画自賛(じがじさん) 1.自分の描いた絵に自分で賛を書くこと。 類:●自画賛●自賛 2.自分の行為や、自分自身を褒(ほ)めること。 類:●自賛●手前味噌 参考:「賛」は、その絵の題として、あるいはその絵にちなんで書かれた詩、歌、文章などのこと。
・四月馬鹿(しがつばか) 英語April foolの和訳。西洋の風習に倣(なら)ったもので、公然と 嘘を吐(つ)き、人を担いで良いとされる日。四月一日。 類:●エープリルフール 用例:山口青邨「四月馬鹿ローマにありて遊びけり」 ★起源は、16世紀のフランスという。
・鹿爪らしい(しかつめらしい) 1.いかにも道理に適(かな)っているようである。尤(もっと)もらしい。また、もったいぶっている。 例:「経緯を鹿爪らしく説明した」 2.堅苦しく真面目腐った感じがする。形式ばっている。 類:●堅苦しい ★「しかつべらしい」の変化。「しかづめらしい」とも。「鹿爪」は当て字<国語大辞典(小)>
・地が出る(じがでる) 隠していた本性が露見(ろけん)する。 類:●尻尾を出す●化けの皮が剥がれる
・自家撞着(じかどうちゃく) 同じ人の言行や文章などが前と後とで食い違って、辻褄が合わないこと。また、自分自身の言動が矛盾すること。 例:「自家撞着におちいる」 類:●自己矛盾●矛盾
・しがない 1.頼りにできない惨(みじ)めな様子。転じて、取るに足りない。詰まらない。 例:「しがないサラリーマン」 用例:洒・辰巳婦言「あんまりしがねへこったから、つい一日一日とおくって」 2.貧しい。乏(とぼ)しい。 例:「しがないその日暮らし」 用例:浄・妹背山婦女庭訓−二「鹿といふは質置くこと。一体しがないおれなればぶち殺すは常住のこと」
・歯牙に掛くるに足らず(しがにかくるにたらず・しげに〜) 格別取り立てて言うほどの値打ちがないことの喩え。 類:●歯牙にも掛けない 用例:荻生徂徠「復安澹泊」「要皆免園冊子、豈足掛歯牙乎」 出典:「史記」 参考:「歯牙」は、言葉・口先の意味で、口で論ずるに値しないこと。
・歯牙に掛ける(しがにかける・しげに〜)・懸ける[=の間(かん)に置く] 取り立てて言う。問題にする。
・歯牙にも掛けない(しがにもかけない)・懸けない 問題にしない。人を、相手にしない。無視する。
・地金を出す(じがねをだす) 普段隠している本性(ほんしょう)を表わす。 類:●化けの皮を現わす●馬脚を露す
・地金同士(じがねどうし) 体裁(ていさい)を飾る必要のない者同士。親しい仲間。 類:●仲間同士
・地金の錆(じがねのさび) 生まれ付き持っている悪癖。
・地金を出す(じがねをだす) 本性を暴露する。本性を現わす。
・歯牙の間に置く(しがのかんにおく) 論議の対象とする。問題とする。 出典:「史記−叔孫通伝」「何足置之歯牙間、郡守尉、今捕論。何足憂」 ★「歯牙に挂(か)く」とも。
・鹿の角を蜂が刺す(しかのつのをはちがさす・ししの〜) 固い鹿の角を蜂が刺しても、鹿は何とも感じないことから、全く感じないで平気でいること。なんの痛痒も感じないこと。 類:●蛙の面(つら)へ水●暖簾に腕押し●牛の角を蜂が刺す
・屍に鞭打つ(しかばねにむちうつ) 亡くなった人を悪く言う。また、惨(むご)いことをする喩え。 類:●死屍に鞭打つ
・屍を晒す(しかばねをさらす) 野外で死に、弔(とむら)われずに放置される。 例:「屍を戦場に晒す」
・鹿待つ所の狸(しかまつところのたぬき) 期待に反して、取るに足りない、つまらないものを手に入れてしまったこと。獲物が一つもないよりはマシであるという意味でも使う。
・自家薬籠中の物(じかやくろうちゅうのもの) 自分の薬箱の中の薬のように、自分の思うままに利用できるもの。また、自分のものとして取り入れたもの。 出典:「唐書−元行沖伝」・「十八史略−唐・中宗」
・然るべき(しかるべき)[=べし] 1.適当な。相応(ふさわ)しい。そうあるべき。相当な。 類:●時宜を得ている 用例:平家−二「しかるべき便もあらば、いかにもして彼島へわたて、其行衛をきかむとて」 2.問い掛けられたりしたとき、賛成の意思を表明する。ようございましょう。 用例:曾我物語−六「一献すすめてとをらばや、しかるべく候とて、長の方ゑ使をたてて」 3.当然なこと。当たり前である。 例:「一言の挨拶が有って然るべきだ」 4.そうなる運命である。そういう因縁(いんねん)である。そうなる筈である。尤(もっと)もである。 用例:宇治拾遺−二・八「此烏は式神にこそありけれと思ふに、しかるべくて、此少将の生くべき報やありけん」 5.そうして構わない。そうすることができる。 用例:平家−一〇「しかるべう候者(さうらはば)、御ゆるされを蒙て、ちかづきまひり候て、今一度見参にいり」 6.優れている。立派である。身分がある。相当である。ちゃんとしている。 用例:太平記−八「此武者可然(しかルベキ)者にてや有けん、あれ討すなとて」
・歯牙禍を為す(しがわざわいをなす) 讒言(ざんげん)は禍を齎(もたら)すものであるということ。 出典:「史記−晋世家」「卜曰、歯牙為禍」
・鹿を馬(しかをうま) 誤りを強引に押し通すこと。また、人を騙(だま)し、愚弄すること。 類:●鹿を指して馬という●鷺を烏 故事:「史記−秦始皇本紀」 中国、秦の趙高(ちょうこう)が、自分の権力を以って、皇帝(胡亥)に対して鹿を馬と言って押し通した。
・鹿を逐う(しかをおう)[=争う] 「鹿」は天子の位のこと。帝位や政権などを得ようとして争う。 例:「中原に鹿を逐う」 出典:「史記−淮陰侯伝」「秦失其鹿、天下共逐之」
・鹿を逐う者は山を見ず(しかをおうものはやまをみず)
・鹿を指して馬となす(しかをさしてうまとなす)
・時間の問題(じかんのもんだい) 結果が大方分かってしまって、最早(もはや)そのときが来るのを待つだけである。