−しこ(siko)−
・死語(しご) 1.古く使用されていた言語で、現在では実生活上全く通じなくなっているもの。 ★「古代ギリシャ語」「古代ラテン語等。 2.一言語のなかで、過去に用いられたことのある単語で、現在全く用いられないもの。 類:●廃語●絶滅語 ★「薄手式土器」「争闘(→闘争)」「笑談(→談笑)」「ワカ(=スキヤキのこと)」等。 ★「平(ひら)に」「進(しん)ぜる」「如何様(いかよう)に」「舎弟(しゃてい=弟のこと)」「活動(=映画のこと)」などの老人語は、死語には属さない。 3.(俗語)暫(しばら)く前に流行した造語などで、現在使うと時代遅れで恥ずかしいもの。また、若者の間で用法や存在が、古臭くて妙だと感じられる単語。 ★「イケてる」「ナウい」等。
・試行錯誤(しこうさくご) 1.心理学用語。本能、習慣などのままに行なって、失敗を重ねながら、だんだんと適応するようになること。新しい学習を行う際、初めは盲目的な種々の反応が生じるが、偶然に成功した反応が以後繰り返され、次第に無駄な反応を排除してゆくこと。 例えば、迷路に入れた動物が餌に到達する道を覚える経過。2.課題が困難で、解決の見通しが容易に立たない場合、種々何回も試みて、失敗を重ねながら、次第に目的に迫って行くこと。 例:「試行錯誤を繰り返す」
・自業自得(じごうじとく) 仏教用語。自ら行った行為はその報いを自分の身に受けなければならないということ。また一般に、自分の行為の結果(特に悪い報い)を自分の身が受けること。 類:●自業自縛●自縄自縛
・時好に投ずる(じこうにとうずる) その時代の好みや流行に一致して、世間から歓迎される。
・時候外れ(じこうはずれ) 気候や天候に合わないこと。普通の時候に先立ったり遅れたりしている状態。 類:●季節外れ●時候違い
・扱く(しごく) 1.細長い物を、手の中に握り、その手を擦(こす)るように動かすこと。 類:●扱(こ)く 例:「槍を扱く」 用例:滑・浮世床−二「両手で羽織の折返しをズウイとしごいて」 2.苛(いじ)め付ける。痛(いた)め付ける。 用例:浄・新版歌祭文−油屋「ムムこりゃ理屈じゃ。そんならこいつもふしごいて仕廻はにゃならぬ」 3.厳しく訓練する。 例:「新入部員を扱く」
・地獄絵巻(じごくえまき) 1.亡者(もうじゃ)たちが地獄で受ける色々な責め苦の光景を描いた絵巻物。 ★勧善懲悪(かんぜんちょうあく)を説(と)くために描かれた。 2.まるで地獄で行なわれる苦行のような、凄惨(せいさん)な様子を扱った書物や映画など。 例:「復讐を扱った一大地獄絵巻」
・地獄から火を取りに来たよう(じごくからひをとりにきたよう)[=飛脚に来たよう] 痩(や)せ衰(おとろ)えて貧相(ひんそう)な様子。
・地獄極楽はこの世にあり(じごくごくらくはこのよにあり) 善悪の行為の応報は、あの世を待つまでもなくこの世の内で自(おの)ずから現れる。  類:●地獄も極楽も目の前にある
・至極に詰まる(しごくにきわまる) 抜き差しならなくなる。閉口する。
・地獄で仏に会う(じごくでほとけにあう)
・地獄にも鬼ばかりはない(じごくにもおにばかりではない) 地獄のように世知(せち)辛いこの世にも慈悲深い親切な人はいるものだ。 類:●渡る世間に鬼はない
・地獄にも知る人(じごくにもしるひと)[=近付き] 1.どのような場所でも、どのような苦難の境遇の中でも、知己(ちき)はできるものだ。2.どんな遠い知らない土地へ行っても知人に巡り会えるものだ。 類:●冥土にも知る人
・地獄の一丁目(じごくのいっちょうめ) 1.のっぴきならない羽目に陥(おちい)り、破滅(はめつ)に向かう第一歩。 例:「ここが地獄の一丁目」 2.とても恐ろしい場所。
・地獄の上の一足飛び(じごくのうえのいっそくとび) 極めて危険な行為。 用例:浮・五人女−3「地獄の上の一足飛び、玉なる汗をかきて木戸口にかけ出」
・地獄の馬で顔ばかりが人(じごくのうまでかおばかりがひと)[=面(つら)ばかりが人] 地獄にいるといわれる、顔だけが人間になっている馬。転じて、畜生同然の心を持った者を罵(ののし)っていう言葉。 類:●人面獣心
・地獄の釜の蓋が開く(じごくのかまのふたがあく) 正月と盆の16日をいう。この日には地獄の鬼が亡者の呵責(かしゃく)を休む日とされ、使用人にも「薮入り」として暇を与える習慣であった。 参考:薮入り(やぶいり) 草深い田舎に帰るという意味から、奉公人や嫁などが主人に暇をもらって実家に休息に行くこと。また、一般に、休日のこと。宿入り。宿下がり。
・地獄の沙汰も金次第(じごくのさたもかねしだい)[=銭次第] 地獄で受ける裁判も金を出せば有利になるというくらいだから、況(ま)してこの世では、金さえあれば何事も思うがままだという喩え。 類:●阿弥陀(あみだ)も銭程光る●欲の世の中●銭ある時は鬼をも使う
・地獄は壁一重(じごくはかべひとえ) 壁一つ隔てた隣(となり)は地獄であるということ。人は、僅(わず)かなことから罪悪を犯してしまうものだ。
・地獄耳(じごくみみ) 1.他人の秘密などを素早く聞き込むこと。また、そういう人。2.一度聞いたことをいつまでも忘れないこと。また、その人。 類:●強記(きょうき)●地獄覚え 3.聞いても決して他人に漏らさないこと。
・地獄も極楽も目の前にある(じごくもごくらくもめのまえにある) 地獄も極楽もこの世の姿であり、未来を待つまでもなく、この世での悪行には悪い報いがあり、善行には良い報いがある。
・地獄も住家(じごくもすみか) どんな酷いところでも住み慣れれば良くなる。 類:●住めば都
・しこたま 俗語。 1.数量が非常に多いこと。多く、飲食物や金銭について言う。 類:●たくさん●どっさり●夥(おびただ)しく 用例:滑・膝栗毛−四「しこたま買って上げやすは」 例:「焼酎をしこたま飲んだので二日酔いだ」 2.程度が甚(はなは)だしいこと。 類:●強く●強烈に●こっぴどく 例:「つんのめって額をしこたま打った」 ★「しこ」は「至極(シゴク)」の意という。「たま」は「たんまり」と同語原<新明解国語辞典第5版(三)> ★「しこ」は、多く、ひどくの意か<国語大辞典(小)> ★九州方言から、という説もある。
・仕込む(しこむ) 1.技能や芸を教えて身に付けさせる。躾(しつ)ける。 用例:評判・色道大鏡−一五「もとよりしこまぬ芸なれば、少もはたらかず」 例:「幼いうちから仕込んでおく」 2.酒、味噌、醤油などを醸造するために、原料を調合して桶などに詰め込む。 例:「酒を仕込む」 3.工夫(くふう)して中に入れて作る。内部に装置する。特に、刀身を杖の中に嵌(は)め込み、「仕込み杖」にすること。 用例:浄・出世景清−一「になひぼうにしこみたるくだんのあざ丸」 4.事に備(そな)えて計画や準備を整える。考えを練って手段を立てる。 用例:浮・風流西海硯−三「賤しき太鼓持にやつし、是迄仕込みし所に、謀顕はれ」 5.商店などで、すぐ売りに出せるように品物を買い入れておく。また、一般に、物を用意しておく。 類:●仕入れる 用例:浮・武道伝来記−一「小間物のいろいろを仕込(シコミ)」 例:「5日分の食料を仕込んできた」 6.飲食店などで、原料、材料などに予(あらかじ)め手を加えておき、すぐ出せるように準備する。 用例の出典:風流西海硯(ふうりゅうさいかいすずり) 浮世草子。八文字屋自笑・江島其磧。5冊。享保20年(1735)。義経もの。・・・詳細調査中。
・凝りが来る(しこりがくる)[=付く] 一つのことに凝(こ)り固まる。熱中する。夢中になる。
・士魂商才(しこんしょうさい) 武士の精神と商人の才とを兼ね備えること。 ★「和魂漢才」からの造語<国語大辞典(小)>