−しん(か)(sin2)−
・心外(しんがい) 1.思いも寄らないこと。考え通りでないこと。 類:●思いの外●意外●案外 例:「そんなことを言われるとは心外だ」 2.予期に反して悪い結果となり、残念であること。 類:●以ての外●遺憾 用例:浮・武家義理物語−六「御念比あそばす事。いかにしても心外なり」
・陣笠連(じんがされん) 1.雑兵の仲間。また、手下の者たち。2.一定の主義・主張もなく、人の下風(かざしも)に立って甘んじている者たち。3.政党などで、幹部に追従し自分の主義・主張を持たない議員たち。幹部でない平(ひら)代議士たち。
・人間到る所青山あり(じんかんいたるところせいざんあり) 人間はどこで死んでも、骨を埋める場所ぐらいはあるということ。大望を達するため、郷里を出て大いに活動すべきであるということ。 出典:月性の詩「題壁」「男子志を立てて郷関を出ず、学もし成らざれば死すとも還らず。骨を埋むるにあにただ墳墓の地、人間到る処青山有り」 参考:青山(せいざん) 死んで骨を埋めるのに相応(ふさわ)しい土地。また、墳墓の地。 源典:蘇軾「予以事繋御史台獄…授獄卒梁成以遣子由・其一」「是処青山可埋骨」 人物:月性(げっしょう) 幕末の僧。詩人。1817〜58。字は知円。号清狂。周防の妙円寺の住職。仏道、詩文を学び、京都、江戸に出て吉田松陰、梅田雲浜ら多くの志士とまじわる。海防を論じ、尊王攘夷論を主張。「男児立志出郷関」の詩は有名。没後「清狂遺稿」が編まれている。
・人間万事塞翁が馬(じんかんばんじさいおうがうま・にんげん〜) → 塞翁が馬
・心機一転(しんきいってん) ある事をきっかけに、気持ちがすっかり変わること。特に、好い方に変わるときに使う。 例:「心機一転、ぐうたらな生活を改める」
・心気が湧く(しんきがわく) 心が惹(ひ)かれて、じっとしていられなくなる。
・辛気臭い(しんきくさい) 1.思うようにならないで、じれったい。 類:●歯痒い●間怠い●もどかしい●隔靴掻痒 用例:滑・七偏人−四「噫々(ああああ)しん気臭い」 2.気がくさくさして滅入(めい)ってしまうようである。 ★主に関西地方で<大辞林(三)> ★接尾語の「臭い」は、そのような傾向がある・そんなふうに思える・それに似ている・〜らしいなどの意。 例:「胡散臭い」「洒落(しゃら)臭い」「いんちき臭い」「面倒臭い」
・新規蒔き直し(しんきまきなおし) 改めて事をすること。初めに戻ってもう一度新たに遣り直すこと。 例:「新規蒔き直しを図る」 ★巻物を広げると、元に戻すためには初めから巻き直す必要があるというところから、「巻直」の字を当てるべきだともいう<国語大辞典(小)>
・神機妙算(しんきみょうさん) 《四熟》 神が行なうような絶妙の謀(はかりごと)。常人にはとても思い付かない優れた謀。 類:●神機妙道●神算鬼謀●神籌妙算 用例:社会百面相「なお神機妙算わくがごとく候えども、次の汽車にて茅崎まで背進つかまつり候」
・仁義を切る(じんぎをきる) 1.博徒・てきや・露天商・香具師(やし)などの仲間で、初対面の時に特殊な形の挨拶(あいさつ)を交わす。 ★「辞儀」の転か<大辞林(三)> 2.関係者に、予(あらかじ)め話を付けておく。 類:●仁義を通す
・心気を砕く(しんきをくだく) 心を労する。色々と気を揉(も)む。
・心気を燃やす(しんきをもやす)[=沸(わ)かす] 気を揉む。じれったく思う。 用例:浄・用明天皇職人鑑「ええまだ盃は取れまいと、心気を燃やしてゐる所に」
・真金は鍍せず(しんきんはとせず・めっきせず) 本物の金であるなら、鍍金(めっき)する必要がない。真に才能があるなら、上辺(うわべ)を飾る必要がないということ。 出典:李紳「答章孝標詩」「仮金方用真金鍍、若是真金不鍍」
・心血を注ぐ(しんけつをそそぐ) 全精神、全肉体を込めてものごとを行なう。熱中する。苦心する。苦労する。 類:●根を詰める
・人口に入る(じんこうにいる)[=落つ・乗る] 世間の人々の噂に上(のぼ)る。世人の噂になる。
・人口に膾炙す(じんこうにかいしゃす) 膾(なます)と炙(あぶり肉)は誰の口にも美味く感ぜられ、多くの人に賞味されるというところから、詩文などが広く人々の口に上って持て囃されること。広く世間の人々の話題となること。 出典:林嵩(唐代)「周朴詩集序」「一篇一詠、膾炙人口」 参考:「膾炙」の出典=「孟子−盡心・下」「膾炙與羊棗孰美」
・沈香も焚かず屁も放らず(じんこうもたかずへもひらず)[=線香も〜] お香を焚(た)くといった風雅なこともしないし、かといって不作法に人前でおならをするわけでもない。 1.特に目立つ特徴のない、極(きわ)めて平凡な人の喩え。また、どうでも構わないような者のこと。 類:●凡人 2.徳行もしなければ悪行もしない、役にも立たない代わりに害にもならない人の喩え。 類:●可もなく不可もなし●毒にも薬にもならぬ 参考:沈香(じんこう) 熱帯産の沈香から製する天然香料。
・真骨頂(しんこっちょう) 1.本来持っているありのままの姿。真実の姿。本当の様子。 類:●真面目(しんめんもく) 例:「真骨頂を発揮する」 2.「骨頂」の最上の意味から、その道の奥義や極意。 類:●真髄●真価 例:「これぞ北斗神拳の真骨頂だ」 ★「骨頂」は、「骨張る」の音読。「骨頂」の「頂」は当て字<国語大辞典(小)>
・心骨に刻す(しんこつにこくす) 「心骨」は心の奥底のこと。心の奥底に刻み付けて長く忘れない。 類:●肝(きも)に銘じる
・身骨を砕く(しんこつをくだく) 一所懸命で事に当たる。苦心の限りを尽くして事に当たる。 類:●粉骨砕身
・人後に落ちる(じんごにおちる) 人より下位になる。他人に引けを取る。 類:●牛後に付く 出典:李白「流夜郎贈辛判官詩」「気岸遥凌豪士前、風流肯落他人後」 人物:李白(りはく) 中国唐代の詩人。701〜762。字は太白、号は青蓮居士。若くして諸国を漫遊し、のち出仕したが、安史の乱などで不遇であった。玄宗と楊貴妃の牡丹の宴で酔中に「清平調」三首を作った話は有名。詩聖杜甫に対して詩仙と称される。詩文集に「李太白集」がある。
・心魂に徹する(しんこんにてっする) 1.心に深く沁み込むほど、深く心に記す。 類:●肝(きも)に銘じる 2.信念を堅くする。堅く心に決める。