−しん(さ)(sin3)−
・辛酸を嘗める(しんさんをなめる) 辛(つら)い目に遭う。大変な苦労を経験する。 例:「世の辛酸を嘗める」 類:●苦杯を舐める●塩を踏む
・真実一路(しんじついちろ) ひたすら真実だけを求めて生き抜くこと。 類:●一意直到●竹を割ったような 反:■巧言令色(こうげんれいしょく)
・人事は棺を蓋うて定まる(じんじはかんをおおうてさだまる) 一個の人間の是非善悪や価値は、死後になって初めて決定する。死んで初めて明らかになる。 類:●棺を蓋うて事定まる
・唇歯輔車(しんしほしゃ) 「輔」は頬骨、「車」は歯茎のこと。一方が亡べば他方も立ち行かなくなるように、利害が密接で離れられない関係。互いに助け合い補い合っていくような間柄。 類:●唇亡びて歯寒し●持ちつ持たれつ 出典:「春秋左氏伝−僖公五年」
・仁者に敵なし(じんしゃにてきなし) 仁者は愛情をもって人と接するので、これを憎む人がいない。また、仁政を施す為政者には、民衆が心から従って敵対する者がいない。 類:●情けに刃向かう刃なし  出典:「孟子−梁恵王・上」 梁(りょう)の恵王が、国辱(こくじょく)を雪(すす)ぐにはどうしたら良いかと尋ねたとき、仁政を施(ほどこ)して民の心を安んじれば良いとして、孟子が言った言葉。
・仁者は憂えず(じんしゃはうれえず) 仁者は心が広く、道理に従い天命に安んずるから、心を煩(わずら)わせることや、心配することが何もない。 出典:「論語−子罕」「知者不惑、仁者不憂、勇者不懼」
・仁者は山を楽しむ(じんしゃはやまをたのしむ)[=好む] 仁者の、天命に安んじ欲に動かされずに自然を楽しむ心境を、山の静かで不動な様子に喩えた言葉。 出典:「論語−雍也」 
・浸潤の譖(しんじゅんのそしり・しん) 水が物に次第に沁み込むように、少しずつ讒言(ざんげん)して人を陥(おとしい)れること。 出典:「論語−顔淵」「浸潤之譖、膚受之愬不行焉、可謂明也已矣」
・尋常一様(じんじょういちよう) ごく普通で、他のものと特別な差がない。 類:●日常茶飯事
・信賞必罰(しんしょうひつばつ) 功労があった者には約束通り賞を与え、罪を犯した者は必ず罰すること。情に囚われず賞罰を厳正に行なうこと。 出典:「韓非子−内儲説・上」「一曰、衆端参観、二曰、必罰明威、三曰、信賞尽能」
・針小棒大(しんしょうぼうだい) 針ほどの小さいことを棒ほどに大きく言い立てること。ものごとを大袈裟に誇張して言うこと。 例:「針小棒大に言い触らす」
・寝食を忘れる(しんしょくをわすれる) ものごとに熱中して、寝ることも食べることも忘れる。 類:●根を詰める●現を抜かす 例:「寝食を忘れて実験に没頭する」
・人事を尽くして天命を待つ(じんじをつくしててんめいをまつ)[=に委(まか)せる] 人間の力としてできる限りのことをして、その結果はただ運命に任せるのみ。 類:●天は自ら助くる者を助く 出典:読史管見(とくしかんけん) 儒書。宋代。胡寅(こいん)。書名は「史書を読んでの愚見」の意味。・・・調査中。
・薪尽火滅(しんじんかめつ) 薪(たきぎ)がなくなって、火が消える。 1.仏教用語。釈迦の入滅のこと。 類:●薪尽く 出典:「法華経−序品」「仏此夜滅度、如薪尽火滅」 2.転じて、一般に、人が亡くなること。
・信心過ぎて極楽を通り越す(しんじんすぎてごくらくをとおりこす) 信心も度が過ぎると却(かえ)って邪道に陥(おちい)り、救われず、害になるばかりである。
・信心は徳の余り(しんじんはとくのあまり) 神仏を信心するのは、生活にゆとりがあって初めてできるものである。生活に追われていたら、信心している暇はない。 類:●後生は徳の余り
・人心の同じからざるはその面の如し(じんしんのおなじからざるはそのおもてのごとし) 人の心は、その顔付きが銘々違っているように、それぞれ違っているものだ。 出典:「春秋左伝−襄公三一年」
・薪水の労(しんすいのろう) 1.薪(たきぎ)を採り水を汲(く)んで、炊事(すいじ)をする苦労。 類:●薪を採り水を汲む●洒掃薪水(さいそうしんすい) 2.人に仕(つか)えて、日常の雑事を厭(いと)わずに働くこと。 用例:奥の細道「芭蕉の下葉に軒をならべて、予が薪水の労をたすく」 出典:「文選−陶靖節(とうせいせつ)」「今、此の力を遣はして、汝が薪水の労を助けしむ」
・甚助を起こす(じんすけをおこす) 男が、他人の恋を嫉妬する。 類:●焼き餅を焼く ★「甚助」は、「腎張(じんば)り」・・・淫欲が盛んなこと、を人名のように言った言葉。
・人生意気に感ず(じんせいいきにかんず) 人は、自分を理解して呉れる相手の潔(いさぎよ)さに感じて仕事をするもので、金銭や名誉など私欲のためにするのではない。 参照:「唐詩選」の巻頭を飾る「述懐(魏徴の作)」という題の詩の一節。 出典:唐詩選(とうしせん) 中国の詩選集。7巻。中国、明の李攀竜撰と伝えられるが書籍商人の偽託という。唐代の詩人127人の作品465首を詩体別に収録。唐詩正統派の格調を伝える。日本には江戸初期に伝来。唐詩入門書として流布。
・人生行路難し(じんせいこうろかたし) 人の一生には様々な苦労があり、決して容易なものではない。
・人生七十古来稀なり(じんせいしちじゅうこらいまれなり) 七十歳まで長生きする者は昔から極めて稀(まれ)である。 類:●古稀 出典:杜甫「曲江」
・人生字を識るは憂患の始め(しんせいじをしるはゆうかんのはじめ) 人は字を覚え、学問をして道理が分かるようになると、そのために何かと苦労が多くなるものである。無学で何も知らない方が、却(かえ)って気楽であるということ。 類:●知らぬが仏●聞けば聞き腹  出典:蘇軾「石蒼舒酔墨堂」「人生識字憂患始、姓名粗記可以休」<姓名がどうにか書ければそれで良いではないか> ★「人生識字糊塗始」は、これを捩(もじ)った魯迅(ろじん)の言葉。
・人世の炎涼は除き難し(じんせいのえんりょうはのぞきがたし) 季節の寒暖(かんだん)はなんとか凌(しの)げるものだが、人の世の人情の篤(あつ)さ冷たさからは、なかなか逃(のが)れられないものである。世を処していくうちに、人情の篤さ冷たさを否応(いやおう)なく感じさせられるものだということ。 出典:「菜根譚−後集・132」「天運之寒暑易避、人世之炎涼難除」 出典:菜根譚(さいこんたん) 中国の雑学書、処世訓。明(みん)末。洪自誠。成立年未詳。2巻。儒教を中心に仏教、道教を加味し処世法を教えた警句風の短文約350条から成る語録。「人間はいつも菜根(不味い食物)を齧(かじ)っていたら、万事が巧くいく」という語から付けられた書名。
・人生のための芸術(じんせいのためのげいじゅつ) ギュイヨーやトルストイが唱えた、「芸術は人生に益する所があって初めてその存在意義がある」という主張。 人物:ギュイヨー(ジャン・マリー) フランスの哲学者、詩人。1854〜88。社会連帯性の方向を目ざす生の原理に立ち、義務と強制のない道徳を提唱。また芸術を生に基づく社会的共感の発現とみなした。主著「社会学的見地から見た芸術」「将来の無宗教」。
・人生は朝露の如し(じんせいはちょうろのごとし) 人間の一生は、朝の露が陽を受けてすぐに消えてしまうように、極めて儚(はかな)く脆(もろ)いものである。 類:●人生夢の如し●浮世の夢 出典:「漢書−蘇武伝」「人生如朝露、何久自苦如此」 季陵が蘇武に言った言葉。
・人生僅か五十年(じんせいわずかごじゅうねん) 人間の一生は極めて短いということの喩え。
・人跡繁ければ山も窪む(じんせきしげければやまもくぼむ・ひとあと〜) 山頂への人の往き来が多くなれば、山さえもいつかは窪むであろう。小さなことでも、積み重なれば大きな結果になるということの喩え。 類:●砂長じて巌となる●釣瓶縄井桁を断つ
・寝石を視て伏虎と為す(しんせきをみてふっことなす) 転がっている石を見て、蹲(うずくま)る虎かと思って肝を冷やす。動揺している者はあらぬ物に怯えるものだということ。 類:●弓影を疑いて蛇蠍と為す●落ち武者は芒の穂にも怖ず 出典:「菜根譚−後集四十八」 故事:「史記−李将軍列伝」 漢の李将軍は、岩を虎が伏していると間違い矢を射掛けたら岩に矢が刺さった。後に、岩と分かってから再び矢を射掛けたら、今度は刺さらなかった。
・心臓が強い(しんぞうがつよい) 恥知らずで遠慮がない。図々しい。また、恥ずかしがらないで平然としている。 類:●心臓に毛が生える●肝に毛が生える 反:■心臓が弱い
・心臓に毛が生える(しんぞうにけがはえる) 極めて図々しく、平然としている様子。 類:●心臓が強い
・深窓の佳人(しんそうのかじん) 身分の高い家で大切に育てられ、世の穢(けが)れを知らない美女。 類:●箱入り娘
・迅速果断(じんそくかだん) 《四熟》 ものごとを素早く決断し、実行すること。思い切りが良く決行が素早いこと。 類:●即断即決●進取果敢●当機立断 反:■熟慮断行■優柔不断