−しん(た)(sin4)−
・身代有り付く(しんだいありつく)[=済む・取り組む] 俸禄を得る身分になる。出仕する、仕官する。 類:●身上済む
・身代打つ(しんだいうつ)[=明(あ)く] 家の財産を注ぎ込む。全財産を投げ出す。
・進退これ谷まる(しんたいこれきわまる) 進むことも退(ひ)くこともできないで途方に暮れる。窮地(きゅうち)に追い詰められる。 類:●二進も三進も●手も足も出ない●立ち往生 出典:「詩経−大雅・桑柔」「人亦有言、進退維谷」
・身代畳む(しんだいたたむ) 全財産を失う。家屋敷を処分する。 類:●破産する
・身体髪膚これを父母に受く(しんたいはっぷこれをふぼにうく) 我々の身体(からだ)は、毛の一本、膚の一片に至るまで、両親からいただいた大切なものであるから、我が身を傷付けないように努めることが孝行の第一歩である。 用例:百座法談−三月二七日「身体髪ふは父母のたまはれる処也」 出典:「孝経−開宗明義」「子曰、《略》、身体髪膚受之父母、不敢毀傷、孝之始也」
・進退両難(しんたいりょうなん) 《四熟》 進むも退くも両方ともに困難なこと。どうにもこうにもならないこと。 類:●二進も三進も行かない
・身代を棒に振る(しんだいをぼうにふる) 財産を無駄に使い尽くす。資産を使い果たす。
・死んだ子の年を数える(しんだこのとしをかぞえる) 言っても仕様のない過ぎ去った事について、くどくどと愚痴(ぐち)を言うこと。 類:●死児の齢を数う
・死んだ猫の子で、にゃんとも言えぬ(しんだねこのこで、にゃんともいえぬ) 地口(じぐち)の一つ。死んだ猫(=猫の子)はにゃんとも鳴かないことから、それについてはなんとも言えないということ。
・心胆寒からしむ(しんたんさむからしむ) 心から怖れて震え上がらせること。ぞっとさせる。
・人中の騏驥(じんちゅうのきき) 人々の中にいる一日に千里も走る名馬という意味から、非常に優れた人物のこと。 出典:「南史−徐勉」 類:●人中の龍
・人中の獅子(じんちゅうのしし) 傑出した人物。 類:●人中の龍
・人中の龍(じんちゅうのりゅう・りょう) 才能が非凡で、計り知れないような人物。 用例:椿説弓張月拾遺「まことに御曹司は人中の竜(りよう)」 出典:「晋書−宋繊伝」「吾今而後知先生、人中之龍也」 用例の出典:椿説弓張月拾遺(ちんせつゆみはりづきしゅうい) 読み本。曲亭(滝沢)馬琴。葛飾北斎画。文化7年(1810)。椿説弓張月の第46−56回まで。後に残篇(第57〜68回)が出る(文化8年)。→「椿説弓張月」
・尽忠報国(じんちゅうほうこく) 忠義を尽くして国恩に報(むく)いること。また、それほどの忠節を尽くすこと。 出典:「北史−文苑・顔之儀伝」「公等備受朝恩、当尽忠報国、奈何一旦欲以神器仮人」 故事:「宋史−岳飛伝」 南宋末の忠臣・岳飛(がくひ)は、この四文字を背中に刺青(いれずみ)していた。
・陣中見舞い(じんちゅうみまい) 1.戦場に軍人を尋ね、金品を贈ってその苦労を労(ねぎら)うこと。また、そのとき持参した金品。 2.比喩的に、仕事で忙しい人や選挙運動中の人などを尋ねて、慰めること。
・沈丁花は枯れても香し(じんちょうげはかれてもかぐわし) 沈丁花は、枯れてもなお良い香りを漂(ただよ)わせる。元々良いものは、仮令(たとえ)盛りを過ぎても値打ちを失わないものだという喩え。 類:●腐っても鯛●破れても小袖●襤褸でも八丈●千切れても錦
・新陳代謝(しんちんたいしゃ) 「陳」は、古いもののこと。「謝」は、辞し去る、衰えるなどの意味。 1.古いものが次第になくなって、新しいものがそれと入れ代わること。2.生体内で、必要な生活物質が摂取され、不用物は排泄(はいせつ)される作用。 類:●物質代謝
・人テイ(じんてい) 前漢の呂后(りょこう)の故事から、手足を切られて豚のようになった人間のこと。 故事:「史記−呂后本紀」「使居厠中、命曰、人テイ[けいがしら/「比」の間に「矢」]」 高祖(劉邦)は、太子の盈(えい=後の恵帝)を廃して寵愛する戚(せき)夫人の子・如意(じょい)を立てたいと願っていた。実現こそしなかったが、呂后はそれを恨み、高祖の没後に如意を毒殺、更に、戚夫人の手足を切り、目と耳と喉を潰して殺した。そして戚夫人の死体を『人豚(ひとぶた)』と名付けて厠(かわや)に投げ込んだ。
・死んでの長者より生きての貧乏(しんでのちょうじゃよりいきてのびんぼう) 死んだ後で金持ちになるよりは、貧乏でも生きている方が幸せだ。 類:●死んで花実が咲くものか
・死んで花実が咲くものか(しんではなみがさくものか)[=花実は咲かぬ] 生きていればこそ良いこともあるだろうが、死んでしまったのでは再び良いことに巡り会うことも出来ない。死んだらお終(しま)いだ。 類:●死んでは花が咲かぬ●死んでの長者より生きての貧乏●死ぬ者貧乏
・死んでも命があるように(しんでもいのちがあるように)[=ありますように] どうあっても生き延びたい。死地にあって、生への執着が非常に強い者の願い。また、危険を伴うことをしなくてはならないとき、死にたくない気持ちをおどけていったりもする。
・死んでも死に切れない(しんでもしにきれない) 心残りがあって、このままでは死ぬことができない。
・震天動地(しんてんどうち) 天を震わせ、地を動かす。天を震わせ地を動かすほどの音や力のこと。音響、騒動、または威勢などが物凄いこと。転じて、世の中を驚かせるようなこと。 類:●驚天動地
・心頭に落とす(しんとうのおとす) 心の中で色々と考えを巡らすこと、心に留めて思案すること。
・震動雷電(しんどうらいでん) 地震と地鳴りと雷と稲妻とが同時に起こったような騒々しさのこと。どよめき騒ぐこと。 類:●しだらでん
・心頭を滅却すれば火もまた涼し(しんとうをめっきゃくすればひもまたすずし) 無念無想の境地に至れば、火さえも涼しく感じられる。どのような苦難に遭遇しても、それを超越した境地に入っていれば、少しも苦難と感じない。 出典:杜荀鶴の七言絶句「夏目題悟空上人院詩」「三伏閉門披一衲、兼無松竹蔭房廊、安禅不必須山水、滅却心頭火亦涼」 日本の故事:禅家の公案とされ、天正10年(1582)甲斐(かい)国の恵林寺が織田信長に焼き打ちされた際、住僧快川(かいせん)がこの偈(げ)を発して焼死したという話が伝えられる。
・しんどが利(しんどがり) 苦労したことだけが唯一の儲けであるという意味で、働いても何も得るところがないこと。 類:●骨折り損の草臥れ儲け ★「しんど」は、「しんろう(心労・辛労)」の変化した「しんどう」が、さらに変化した語か<国語大辞典(小)>