−しん(な)(sin5)−
・信なき亀は甲を破る(しんなきかめはこうをやぶる) 約束を違(たが)えると災いを受ける。 説話:約束を守らなかった亀が甲羅(こうら)を割って死んでしまったという「今昔物語」「塵添嚢抄」所収の話など。 用例の出典:塵添嚢抄(じんてんあいのうしょう) 室町中期の辞書。20巻。編者は釈氏某比丘とあるが未詳。天文元年(1532)成立。「嚢鈔」に「塵袋(ちりぶくろ)」の一部を加え、取捨・補訂をほどこしたもの。俗語や神仏関係の語の意義・起源、和漢の故事などについて解説する。一種の百科辞書。
・神に入る(しんにいる) 技術が非常に優れていて、人間の技とは思えない境地に達している。 例:「技、神に入る」
・心に障る(しんにさわる) 神経に障る。感情を害すること。 類:●癇に障る
・紳に書す(しんにしょす) 万が一忘れてしまうことがないように、紳(=中国の正装のときの帯)の端に書き付けておくということ。転じて、よく覚えておき、いつも手本として参考にすること。 出典:「論語−衛霊公第十五」「子張書諸紳」
・真に迫る(しんにせまる) 演技や文章などで表現されたものが、本物とそっくりに見える。いかにも現実のように感じられる。実感がある。
・之繞を掛ける(しんにゅうをかける・しんにょうを〜) 程度を一層甚(はなはだ)だしくする。大袈裟(おおげさ)にする。 類:●輪を掛ける●衣を掛ける
・真の一声(しんのいっせい) 能楽の用語。脇能の前ジテが登場する時に演奏される大鼓・小鼓と笛との合奏の囃子(はやし)。静かにしかもさわやかに演奏する。この囃子で登場した役は、その直後に必ず一声を謡(うた)う。
・真の闇より無闇が怖い(しんのやみよりむやみがこわい) 真っ暗の闇は確かに怖いが、それよりも前後をよく考えない無鉄砲な者の方が、とんでもないことを仕出かしてしまうから恐ろしい。 類:●馬鹿と闇夜ほど怖いものはない