−しの(sino)−
・鎬を削る(しのぎをけずる) 1.互いの刀の鎬を削り合うような激しい斬り合いをする。 用例:曾我物語−九「互ひに鎬を削り合ひ、時を移してたたかひけるに」 ★切り合う時、鎬が互いに強く擦れて削り落ちるように感ずるからいう<広辞苑第四版(岩)> 2.比喩的に、激しく争う。 例:「年末商戦に鎬を削る」 参考:鎬(しのぎ) 刃物の、刃と峰(=背)との境界で、鍔元(つばもと)から切っ先までの稜(りょう)を高くしたところ。
・駟の隙を過ぐるが如し(しのげきをすぐるがごとし) 四頭立ての馬車が、戸の隙間の向こうを一瞬に走り過ぎるようだ。月日の経過が早い喩え。 出典:「礼記−三年問」
・四の五の(しのごの) あれやこれや。なんのかの。また、あれこれぐずぐずと言うこと。 例:「四の五の言わずさっさと片付けろ」 ★丁半賭博からできた言葉。賽子(さいころ)の4と5の形が似ているところから。 ★カブ賭博で、4と5は中途半端な数であることからとも。
・篠を束ねる(しのをつかねる・たばねる) 篠竹を束ねたように、大粒で隙間ない雨が降る。大雨が強く激しく降る様子。 類:●篠を突く
・篠を突く(しのをつく) 1.篠を突き立てるように、大粒の雨が激しい勢いで降る様子。 用例:雲は天才である「雨が篠を付く様ですし」 例:「篠を突く雨」 2.矢が篠を束ねたように何本も突き刺さって立っている様子。 類:●針鼠 用例の出典:雲は天才である 小説。石川啄木。明治39年(1906)ただし生前未発表。明治38年渋民村小学校代用教員となった後、小学教員の使命を痛感し、「詩人のみ真の教育者なるべし」として書かれた。 人物:石川啄木(いしかわたくぼく) 明治末期の浪漫派の歌人、詩人。本名一(はじめ)。岩手県出身。1886〜1912。与謝野鉄幹夫妻に師事。口語体の三行書きの生活派の歌をよみ、評論「時代閉塞の現状」などで社会主義への関心を示す。歌集「一握の砂」「悲しき玩具」、小説「雲は天才である」など。
・篠を乱す(しのをみだす) 激しく降る雨に、風が加わって荒れる様子。