−しら1(sira1)−
・白泡噛まず(しらあわかます)[=食(は)ます] 口から白い泡を吹かせるほど、馬を勇み立たせる。 用例:太平記−9「手縄かいくり、馬に白泡噛ませて」
・白川夜船(しらかわよぶね・よふね)・白河夜船 1.いかにも知っているような顔をすること。 類:●知ったか振り●利いた風●半可通 用例:俳・毛吹草−二「しら川よぶね見ぬ京物がたり」 2.ぐっすり寝込んでいて何が起こったか全く知らないこと。 類:●白河 俗説:京都を見物した振りをする人に白川(京都の地名)のことを尋ねたら川の名前だと勘違いして、夜に船で通ったから知らないと答えたという。
・シーラカンス 1.古生代デボン紀から中生代白亜紀までに栄えた魚。現存している。2.昔の生物で現在まで生き残っているものの代表。比喩的に、時代遅れの人、流行に疎い人のことを指す。 類:●生きた化石●時代の遺物
・白木の合子(しらきのごうし) 「合子」は蓋(ふた)がある椀のことで、漆(うるし)を塗ってない蓋付きの椀のこと。飾り気がないことの喩え。また、質素である、剥(は)げない、などの喩えとしても使う。
・白ける(しらける) 盛り上がっていた気持ちや雰囲気(ふんいき)が萎(な)える。 類:●興が醒める●気拙(まず)くなる 用例:評判・色道大鏡−四「つれの客も、我事なればあつかひも成がたくしらくるもの也」
・知らざるを知らずとせよ是知れるなり(しらざるをしらずとせよこれしるなり) 知らないことは正直に知らないとはっきりさせるのが、真に知ることである。 出典:「論語−為政」
・白々しい(しらじらしい) 1.白く見える。白々としている。明らかである。 用例:和漢朗詠−下「しらしらししらけたるとし月光に雪かきわけて梅の花をる」 2.興醒(ざ)めな感じである。 用例:平中−三六「そこに、久しく馬に乗りながら、立てらむことの、しらしらしければ」 3.知っていながら知らない振りをする様子。また、はっきりと偽りと分かる様子。 類:●しらばくれている●空々しい●見え透いている 用例:浄・ゑしま物語−下「しらじらしく申さんも、おもはゆく」 用例の出典@:和漢朗詠集(わかんろうえいしゅう) 詩歌集。2巻。藤原公任撰。平安時代中期の成立。朗詠にふさわしい和漢の歌を集めたもの。白楽天をはじめとする漢詩文588首と『古今集』『拾遺集』を中心とした和歌216首からなる。 用例の出典A:平中物語(へいちゅう・へいぢゅうものがたり) 歌物語。作者不詳。天徳3年(959)〜康保2年(965)頃までの成立か。平中とよばれた平貞文(定文)を主人公とした恋愛説話38段からなる。家集の貞文集を母体としたと言われる。「貞文日記」。 用例の出典B:ゑしま物語(えしまものがたり) 浄瑠璃。・・・調査中。
・知らず三点(しらずさんてん) 俳諧師が点付けをするとき、分からない句に当たった場合、当たり障りがないように五段階の中くらいの三点を付けること。
・知らず識らず(しらずしらず) 無意識のうちにいつの間にか。知らないうちに。ついつい。 例:「知らず識らず涙がにじんでいた」
・白玉の疵(しらたまのきず) 白玉のように美しい物に疵があるという意味から、美しく優れた物にあるほんの少しの疵や、立派な人物にある僅(わず)かな欠点のこと。多く、「もし疵がなければ完全であるのに」と残念がる気持ちを込めて用いる。 類:●玉に瑕
・しらっぱくれる・しらばくれる 知っていながら知らない振りをする。 類:●そら惚(とぼ)ける●白を切る 用例:雑俳・川柳評万句合−宝暦11「初ての勤はどふか白(しラ)ばくれ」 ★「しら」は「知らぬ」の「しら」。
・白露の身(しらつゆのみ) 草の上で白く光っている露が日に当たって儚(はかな)く消えてしまうという意味で、朝露のように儚い身のこと。束(つか)の間の命のこと。
・知らぬ顔の半兵衛(しらぬかおのはんべえ) 素知らぬ振りをして少しも取り合わないこと。また、その人。 例:「知らぬ顔の半兵衛を決め込む」 ★豊臣秀吉の軍師、竹中半兵衛のこと。 参照:浄・木下蔭狭間合戦「そのとき半兵衛知らぬ顔」 参照の出典:木下蔭狭間合戦(このしたかげはざまがっせん) 浄瑠璃。時代物。10段。若竹笛躬(ふえみ)、近松余七(十返舎一九)、並木千柳合作。寛政元年(1789)。大坂道頓堀大西芝居初演。桶狭間の戦いや美濃の斎藤竜興の軍師竹中官兵衛と尾張の小田春永に仕える此下当吉との軍略比べなどに、此下当吉と対比させて描いた強盗石川五右衛門の因果物語や活動を取り合わせて脚色あたもの。