−しし1(sisi1)−
・獅子吼(ししく) 1.獅子が吼(ほ)えること。2.仏教用語。釈迦(しゃか)の説法。その、自信に満ち、一切を畏(おそ)れ承伏させる説法。 出典:「大般涅槃経」 ★獅子が吼えると、その声にあらゆる獣が畏れ服するところから。 3.真理や正道を説(と)いて、異端や邪説を喝破すること。熱弁を振るって正論を説くこと。また、正しいことを胸を張って言い切る時などにも言う。 類:●懸河の弁 4.嫉妬深い妻が夫にがみがみ言うこと。 類:●ヒスを起こす ★宋の蘇軾(そしょく)が呉徳仁に寄せた詩で、陳季常の妻の嫉妬深さを「河東の獅子吼」といったところから<国語大辞典(小)>
・志士苦心多し(ししくしんおおし) 志士は、不屈の魂をもって事にあたり、簡単にはその志を変えないため、こと志と違い苦心することが多い。 出典:晋の文人陸機(りくき)の詩
・肉食った報い(ししくったむくい)
・獅子窟中に異獣なし(ししくっちゅうにいじゅうなし) 獅子が住む洞穴の中に獅子以外の獣はいないという意味で、優れた先生の元には良い弟子だけが集まる。または、優れた人の周りにはやはり優れた人が集まること。
・志士仁人は生を求めて以もって仁を害することなし(ししじんじんはせいをもとめてもってじんをがいすることなし) 志士や仁者は、自分の生存のために、博愛の徳に背(そむ)くようなことはしない。自分の生命を捨てても、人道を全(まっと)うするものである。 出典:「論語−衛霊公」「子曰、志士仁人無求生以害仁。有殺身以成仁」
・獅子身中の虫(しししんちゅうのむし)
・事実は小説より奇なり(じじつはしょうせつよりきなり) 世の中に実際に起こる出来事は、虚構の小説より却(かえ)って奇妙で不思議である。イギリスの詩人、バイロン(George
Gordon Byron)の言葉。 人物:バイロン(ばいろん) ( ジョージ−ゴードン) イギリスの詩人。ロマン派の代表者。1788〜1824。ケンブリッジ大学を卒業し、上院議員となったが、「ハロルド卿の巡遊」で一躍新進詩人の名声を博す。反俗の青年貴族としてヨーロッパ大陸を遍歴し、ギリシア独立戦争に加わり、客死。劇詩「マンフレッド」、長詩「ドン=ジュアン」など。
・死して後已む(ししてのちやむ) 命がある限り努力し続ける。 出典:「論語−泰伯」「曾子曰、士不可以不弘毅。任重而道遠。仁以為己任。不亦重乎。死而後已。不亦遠乎」 参考:任重くして道遠し
・獅子に鰭(ししにひれ) 陸上では百獣の王といわれる獅子に鰭が付けば、水中でも自由に暴れ回れるようになる。強い者が益々強く有利になること。 類:●虎に翼●鬼に金棒
・獅子に牡丹(ししにぼたん) 獅子の堂々たる姿に、絢爛(けんらん)豪華な牡丹の花を配した図柄。転じて、取り合わせや配合が良いこと。 類:●牡丹に唐獅子●梅に鶯(うぐいす)●紅葉に鹿●竹に虎
・死屍に鞭打つ(ししにむちうつ) 死体を鞭で打つということから転じて、死んだ人の生前の言行を非難すること。 類:●屍を鞭打つ 故事:「史記−伍子胥伝」 伍子胥が父兄の敵である楚の平王の死体を墓から掘り出して鞭打った。 人物:伍子胥(ごししよ) 中国、春秋時代。楚の人。のち、呉の臣。?〜前485年。名は員(うん)。父の奢と兄の尚が楚の平王に殺されたため、呉に奔(はし)り、闔廬(こうりょ・在位前514〜前496)の宰相となった。やがて楚を破ったときには平王は死んでいたが、その墓を暴(あば)いて死体を鞭打った。後越を破った時、王夫差(ふさ)が越王勾践(こうせん)を殺さなかったことを諫(いさ)めて容(い)れられず自殺した。
・獅子の子落とし(ししのこおとし) 獅子は、子が生まれて3日経つとその子を千尋(せんじん)の谷へ投げ落とし、生き残った子だけを育てるという俗説がある。 1.自分の子に、苦しい試練を与えてその才能を試し、立派な人間に育てること。2.一般に、部下や後輩などを厳しく育てることの喩え。 ★ここで言われる「獅子」はライオンではなく、中国の清涼山に棲むとされる伝説上の聖獣のこと。文殊菩薩(もんじゅぼさつ)の乗り物とされる。 ★出典は、(未詳ながら)能の『石橋』の派生、長唄の『連獅子』(江戸末期)らしい。 出典(?):連獅子(れんじし) 歌舞伎所作事。長唄。能「石橋(しゃっきょう)」の小書からきた親子の獅子の踊り。河竹黙阿弥作詞、二世杵屋勝三郎作曲。文久元年(1861)初演。花柳寿輔・芳次郎父子が演じたため「馬場連」とも呼ばれる。明治五年(1872)に改修された方を「瀬戸連」と呼ぶ。 参考:石橋(しゃっきょう) 能楽の曲名。五番目物。各流。室町時代初期の観世元雅(かんぜもとまさ)か。寂昭(じゃくしょう)法師が入唐し清涼山で石橋を渡ろうとすると、一人の童子が現れて橋の渡り難いことを説き、橋のいわれを語る。やがて獅子が現れ、咲き乱れる牡丹(ぼたん)の花の間を勇壮に舞い、御代の千秋万歳を寿(ことほ)ぐ。題材は、「華厳経」に取っていると考えられる。
・獅子の座(ししのざ)[=法座(ほうざ)・床(ゆか・とこ)] 1.獅子は百獣の王であるように、仏(ほとけ)は人中で最も尊いものである。仏が座るところ。仏の座席。仏像の台座。または、高徳の僧などが座る席。 類:●獅子座 2.能や歌舞伎などで、獅子に扮したものが就く座席のこと。
・獅子の歯噛み(ししのはがみ) 獅子が恐ろしい表情で怒る様子。転じて、猛り怒るありさま。 用例:太平記−6「獅子の歯噛みをして、降人に出でんと思ふ者は無かりけり」
・死児の齢を数える(しじのよわいをかぞえる)
・獅子の分け前(ししのわけまえ) 強者が弱者を使役して、その利益を独占すること。 寓話:「イソップ」 獅子が弱い動物を働かせて、その成果を独占して、少しの分け前も与えなかった。