−した1(sita1)−
・舌在りや否や(したありやいなや) 私の舌は残っているか。遊説家にとっては舌が商売道具であり、弁舌が揮(ふる)えるなら、将来の見込みはあるということ。縦横家張儀(ちょうぎ)の言葉。 故事:「史記−張儀列伝」「張儀謂其妻曰、視吾舌、尚在不。其妻笑曰、舌在也。儀曰、足矣
」 楚の宰相の宴席で璧が紛失したとき、貧しい張儀が疑われ数百回笞(むち)打たれた。妻から「碌でもない読書や遊説をしなければ、こんな恥辱は受けずに済んだ」と言われ、「私の舌を見よ、舌はまだあるかないか」と聞いた。妻が笑って「舌はございます」と答えると、「(舌さえあれば)十分だ」と言った。
・時代が付く(じだいがつく)[=を帯びる・を食う] 年月を経て、古びた感じや、渋みなどの趣(おもむき)が出る。
・時代の寵児(じだいのちょうじ) 時の風潮に乗って成功し、人々に持て囃(はや)されている人。 類:●売れっ子●流行児●時代男
・舌が長い(したがながい) よく喋(しゃべ)る。多弁である。
・舌が回る(したがまわる) すらすらと淀みなく喋る。また、発音などをしっかりして喋ることができる。 類:●口が達者
・舌が縺れる(したがもつれる) 舌が自由に動かなくなって、言葉が巧く喋れなくなる。
・下心(したごころ) 1.心の底。心の中。本心。主に、悪い意味で使う。2.兼ねて心に期(ご)すること。前からの企(たくら)み。密かに持っている目的、希望。 類:●目論見 例:「下心が見え透いた振る舞い」 3.隠されている意味。 類:●寓意 用例:虎寛本狂言・今参「誠に下心がおもしろう御ざる」 4.漢字の部首・脚(あし)の一つ。「志」「思」や「恭」「慕」などの「心」「抻」の部分。本来は心臓の象形で、単独には「心」の形を取る。 用例の出典:今参(いままいり) 狂言。各流。新しく大名に抱えられる者が、大名は洒落(しゃれ)が好きだというので、その気に入るように言おうとするが、失敗を重ねる。
・舌先三寸(したさきさんずん) 口先だけの巧みな弁舌。 類:●舌三寸 例:「舌先三寸で言い包(くる)める」 ★「口先三寸」は、誤用。
・舌三寸(したさんずん) 心が篭(こ)もらず、口先だけである。また、その言葉。 類:●三寸の舌●舌先三寸
・親しき中にも礼儀あり(したしきなかにもれいぎあり)[=垣(かき)をせよ] 親密過ぎて節度を越えれば却(かえ)って不和の元になるから、礼儀を守り、馴れ合いで乱れないようにすることが必要である。 類:●近しき中にも礼儀あり
・仕出し女(しだしおんな) 流行の装いを凝(こ)らした女。着飾った女。 類:●仕出し女房
・舌足らず(したたらず)・舌っ足らず 1.舌の動きが正常でなく、物言いが不明瞭なこと。また、その様子。 類:●したつき 2.言葉や文章などの表現が不十分で、正確に伝わらないこと。言い足りないこと。 例:「舌足らずの文章」
・滴り積もりて淵となる(したたりつもりてふちとなる) 一滴一滴の雫(しずく)でも、たくさん集まれば、最後には深い淵となる。一つ一つは僅(わず)かなものでも、数多く集まれば大きな存在(=力)になるということ。 類:●塵も積もれば山となる
・舌鼓を打つ(したつづみをうつ)[=鳴らす] 1.美味いものを食べた時に舌を鳴らす。また、美味しいものを食べた様子を表すのにも使う。2.不愉快や不満を感じた時に、舌を鳴らす。 類:●舌打ちする 用例:浮・新色五巻書「さりとは憎い奴と舌鼓を打つ所へ帰りぬ」 ★「したづつみ」とも<大辞林(三)>
・下っ端(したっぱ) 身分や地位が低い者。
・下積み(したづみ) 1.他の物の下に積むこと。他のものの下に積まれること。また、船の安定を良くするために積む荷物や石。 反:■上(うわ)積み 2.人の下に使われていて目立たない地位にあること。ある機構の底辺部に属し、恵まれない状態にあること。また、その人。 例:「売れるまでの下積み時代」
・仕立て上げる(したてあげる) 1.整った形のものにする。作り上げる。 例:「着物を仕立て上げる」 2.人を教育して、意図的にある性格や職業の人間にする。弟子を育て上げる。 例:「いっぱしの大工に仕立て上げる」 3.事実ではないことを実際あったことのように作り上げる。 類:●捏(でっ)ち上げる 例:「仕立て上げた話」
・仕立て顔(したてがお) 特に作ったようなわざとらしい顔付き。
・下手に付く(したてにつく) 人より下の地位に就く。人の下風(かふう)に立つ。 類:●下手に出る●風下(かざしも)に立つ(=付く)●人の下風に立つ●風下に付く●後塵を拝す
・下手に出る(したてにでる) 遜(へりくだ)った態度を取る。 類:●下に出る 例:「下手に出てれば付け上がる」
・自他共に許す(じたともにゆるす)[=認める] 自分も他人も共に認める。誰でもがそうだと認めている。