−した2(sita2)−
・下に置かれず(したにおかれず) 1.(「置かれず」の「れ」は可能の助動詞) 下座(しもざ)には置けないということで、粗略にできないこと。丁重に扱わなければならない。2.(「置かれず」の「れ」は受身の助動詞) 粗略な扱いを受けない。丁重に持て成される。
・耳朶に触れる(じだにふれる) 耳に入る。聞き及ぶ。聞こえる。
・下にも置かない(したにもおかない) 非常に丁重に取り扱って下座にも置かない。大層丁寧に持て成す。
・舌の先(したのさき) 1.舌のはし。舌の先端。2.口先。言葉の上だけ。
・舌の剣は命を絶つ(したのつるぎはいのちをたつ) 人を傷付けるような言葉は往々にして命まで取るという意味から、言葉を慎まないと自他共に命取りになるような事態に陥るという場合のたとえに用いる。 類:●舌は禍(わざわ)いの根●舌は禍福の門●口は禍の門
・舌の根の乾かぬ内(したのねのかわかぬうち) 言葉が終わるか終わらないうちに。言い終わってすぐ。多く、前言に反したことをすぐ言ったり、行ったりすること。 類:●声の下から●言葉の下から
・下腹に毛がない(したばらにけがない) 老いた狸や狼は下腹に毛がないという言い伝えから、腹黒い人や老獪(ろうかい)な人を指して言う言葉。。
・下腹者(したはらもの) 二心(ふたごころ)ある人。
・舌は禍の根(したはわざわいのね)[=門(かど)] 言葉は禍を招く元。禍は多く言葉から起こるものであるということ。 類:●舌の剣は命を絶つ●口は禍の門
・下火になる(したびになる) 1.火の勢いが衰える。多く、火事について言う。 例:「火事はもう下火になった」 2.転じて、ものごとの勢いが弱まること。盛りを過ぎて勢いがなくなること。 例:「韓流ブームは下火になった」
・下紐解く(したひもとく) 1.相手に思われていると自分の下紐が自然に解(ほど)けるという俗信から、下紐が解ける。また、花が開くこと。 用例:伊勢−111「恋しとは更にもいはじしたひものとけむを人はそれと知らなん」 2.下紐を解いて衣服を脱ぐという意味で、男女が共寝をする。身を任せる。 類:●下紐を許す 用例:伊勢−37「われならでしたひもとくな朝がほのゆふかげ待たぬ花にはありとも」
・下紐を許す(したひもをゆるす) 女性が男性に肌身を許す。女性が男性に身を任せる。
・下目に見る(しためにみる)[=懸(か)く] 人を軽んじる。軽蔑する。見下(くだ)す。 類:●三下に見る
・舌も引かぬ内(したもひかぬうち) まだ言い終わらない。言い終えてすぐ。 類:●舌の根の乾かぬ内
・舌柔らか(したやわらか) すらすらと、ものを言う様子。
・しだらでん 大雨や大風の様子を形容する言葉。どよめき騒ぐこと。 用例:俳・犬子集−三「五月雨や山鳥の尾のしだらでん」 ★「震動雷電」からの変化。
・したり顔(したりがお) 巧くやったと言わんばかりの、得意げな顔つき。自慢げな様子。 類:●自慢顔 用例:枕−185「したり顔なるもの、正月一日に最初にはなひたる人」
・舌を返す(したをかえす)[=が返る] 前言に沿わない行動をしたり、相手次第で違ったことを言ったりする。 類:●二枚舌を使う●舌を二枚使う
・舌を出す(したをだす) 1.陰で謗(そし)ったり、嘲(あざけ)ったりする。 例:「腹の中では舌を出しているに違いない」 2.自分の失敗を恥じたり、誤魔化そうとしたりする仕種(しぐさ)。
・舌を鳴らす(したをならす) 1.相手を感嘆、賛美する気持ちを表す動作。2.軽蔑(けいべつ)や不満などの気持ちを表す動作。
・舌を二枚に使う(したをにまいつかう) 二通りの言い方をするという意味から、前後の言葉が矛盾していたり、話す相手によって違った言い方をしたりすることをたとえていう場合に用いる。 類:●二枚舌を使う●舌を返す
・舌を吐く(したをはく) 酷(ひど)く呆れる。 用例:金色夜叉「直行は舌を吐きて独語(ひとりご)ちぬ」
・舌を振る(したをふる) 驚き恐れる。 類:●舌を巻く●舌を振るう 用例:保元−上「人目をおどろかし、舌を振らずといふものなし」
・舌を振るう(したをふるう) 1.弁舌を振るう。雄弁を振るう。 2.非常に驚き恐れること。 類:●舌を振る
・舌を巻く(したをまく) 1.相手に言い込められたり、圧倒されたりして沈黙する。2.驚きや恐れのため、または、感嘆して、言葉も出ない状態。 出典:「漢書−揚雄伝」
・地団太を踏む(じだんだをふむ) 怒りや悔しさに身悶(みもだ)えしながら、激しく地を踏み鳴らす。 類:●地踏鞴(じたたら)を踏む