−しつ1(situ1)−
・失意泰然得意淡然(しついたいぜんとくいたんぜん) ものごとが上手くいかなくなっても、焦(あせ)らず、落ち着いて、時節の到来を持つべきであり、得意の時期には、奢(おご)らず、慎(つつ)ましい態度で当たるべきだということ。
・四通八達(しつうはったつ) 道路が、どの方面へも通じていること。人の往来が賑やかなところ。 類:●四通五達 例:「四通八達の地」
・日月自明(じつげつじめい) 太陽と月が明るいことと同じくらい確かなことである。 類:●自明の理 出典:「荘子−田子方」「若天之自高、地之自厚、日月之自明、夫何修焉」
・日月地に墜ちず(じつげつちにおちず) 人が守らなければならない道義や正義などが、滅びないでまだ残っている。 用例:多聞院日記−天正8年9月26日条「日月地におちず、神慮頼み奉る計りなり」 ★「日月」は真理・正義などの象徴<広辞苑第四版(岩)>
・日月に私照なし(じつげつにししょうなし) 1.太陽や月は偏(かたよ)ることなく、全てを平等に照らすということ。恩を施(ほどこ)すのが、私心なく公平であることの喩え。 出典:「礼記−孔子間居」「孔子曰、天無私覆、地無私載、日月無私照。奉斯三者、以労天下」 2.あらゆる人間は、世の中において、同じ恩恵を受ける定めにあるということ。
・疾言遽色(しつげんきょしょく) 口早な物言いと慌(あわ)てふためいた顔付きという意味から、うろたえて落ち着かない様子。
・漆膠の契り(しっこうのちぎり) 「漆膠」はうるしとにかわのこと。強く結び合って離れない契り。男女、夫婦が深く言い交わすこと。
・十歳の翁百歳の童(じっさいのおきなひゃくさいのわらべ)[=童子] 若くても知恵や分別を備(そな)えている者もあれば、経験を積み重ねてきたはずなのに思慮分別(ふんべつ)が足りない者もあるということ。人間の賢さは、年齢には関係がないものだということの喩え。また、人間の器は、外見では量(はか)れないものであるということ。 類:●三歳(七歳・八歳)の翁百歳の童
・十死一生(じっしいっしょう) 1.「九死一生」を一段と強めていった言葉。殆ど生きる見込みがないこと。また、そのような状態から辛うじて命が助かること。 用例:日葡辞書「十死一生ノ戦イヲナス」 2.「十死一生の日」のこと。
・十死一生の日(じっしいっしょうのひ) 陰陽道で、全てに渡って大悪日とされる日。特にこの日、戦闘することを忌んだ。民間暦では、嫁取り、葬送に悪いとされる。 類:●十死●十死日●十死一生●万死一生●万死一生の日
・質実剛健(しつじつごうけん) 飾り気がなく、真面目(まじめ)で、強く、しっかりしている様子。
・十指に余る(じっしにあまる) 10本の指では数え切れない。際立ったものを数え上げていくと10個以上になる。10より多い。 例:「十指に余る肩書きを持っている」
・十指の指す所(じっしのさすところ) 大勢の意見が一致すること。多くの人が正しいと認めるところ。 類:●十目(じゅうもく)の見る所十指の指す所 出典:「礼記−大学」「十目所視、十手所指、其厳乎」
・失笑を買う(しっしょうをかう) 愚かな言動のために他の人から笑われる。失笑の対象となる。
・知ったか振り(しったかぶり) あることを実際は知らないのに、然(さ)も知っているような様子をすること。また、知っていることを得意がる様子。また、そのような素振りをする人。 類:●物知り立て●知ったぶり
・叱咤激励(しったげきれい) 大きな声で強く励ますこと。
・知ったことではない(しったことではない)・知ったことか 与(あず)かり知るところではない。関知することではない。関係ない。 例:「あいつが勝手に決めたんだ。知ったことじゃない」
・しっちゃかめっちゃか 《俗》 ものごとが混乱した様子。物が散乱した様子。 類:●滅茶苦茶●てんやわんや 例:「敵味方入り乱れてしっちゃかめっちゃか」 語源:戦前の料亭や芝居の世界で使われていた隠語の「しっちゃか面子(めんこ)」からかという。本来は「不器量な女性」の意味。 ★「しっちゃか」の語源(説) 奈良時代の弦楽器「ちいちゃか(弛衣茶伽)」からかという。貴族の間で使われていた楽器で弦が23本もあり、名人しか使いこなすことが出来なかった。その騒々しい音色に寝ていた鶏も朝と間違えて鳴き出すと言われた。
・十中八九(じっちゅうはっく) 10のうち8か9。転じて、大方。大抵。殆ど。大部分。
・出な者(しつなもの) 厚かましい人。差し出がましい人。 ★「しつ」は「しゅつ(出)」の変化<国語大辞典(小)>
・室に怒る者は市に色す(しつにいかるものはいちにいろす) 家の内での怒りを、人が集まる市井で喋ること。 類:●八つ当たり 出典:「戦国策−韓策」「怒於室者色於市」
・室に入りて戈を操る(しつにいりてほこをあやつる・とる) 他人の部屋に入り込んで、そこの主人の持ち物の戈(ほこ)を取って乱暴を働く。転じて、相手の主張する議論を逆用して攻撃すること。また、師の論や学問を使って、却(かえ)って師を攻撃すること。 出典:「後漢書−鄭玄伝」「康成入吾室、操吾戈、以伐我乎」
・失敗は成功の元(しっぱいはせいこうのもと)・本・基[=母] 失敗しても、それによってこれまでの方法の悪い点が分かるので、成功へ一歩近付くことになる。失敗があってこそ成功に辿(たど)り着けるのだということ。 類:●Failure
is a stepping-stone to success.
・十把一絡げ(じっぱひとからげ) 1.色々な種類のものを無差別に一纏(まと)めにすること。 例:「売れ残りを十把一絡げにする」 2.その他多くのものと同様に、軽く見ること。また、数は多くても価値がないこと。 例:「十把一絡げに扱われる」 ★刈った稲などの十把(じっぱ)を一束(いっそく)に纏めて縛(しば)るという意味から。
・疾風迅雷(しっぷうじんらい) 強い風と激しい雷。また、非常に素早く凄まじいこと。
・疾風怒涛(しっぷうどとう) 強い風と逆巻く荒波。
・疾風怒濤時代(しっぷうどとうじだい) ドイツ語 Sturm und Drangの訳語。18世紀後半のドイツに起こったゲーテを中心とする革新的な文学運動。 参考:シュトルムウントドラング(「嵐と大波」の意) 18世紀後半のドイツでゲーテやシラーを中心に起こった文学上の革新運動。合理的、静的な古典主義に対して、天才的な感情や個性を尊重し、動的、非合理性を強調するもの。ロマンティシズム運動の先駆となった。 人物:ゲーテ(
ヨハン・ウォルフガング・フォン) ドイツの詩人、小説家、劇作家。1749〜1832。フランクフルトに生まれ、ライプチヒ、ストラスブールなどの大学に学んだのちシュトルム・ウント・ドラングの芸術運動に参加。「若きウェルテルの悩み」で一躍名声を博し、詩、小説、戯曲などに数々の名作を生んだ。政治家としても活躍。傍ら自然科学も研究した。代表作は「西東詩集」「詩と真実」「ヘルマンとドロテア」「ウィルヘルム・マイスター」「ファウスト」など。
・疾風に勁草を知る(しっぷうにけいそうをしる) 激しい風が吹いて初めて強い草が見分けられる。転じて、苦難や事変に遭遇して初めてその人の節操の堅さや意志の強さなどが分かる。 出典:「後漢書−王覇伝」「光武謂覇曰、潁川従我者皆逝、而子独留努力、疾風知勁草」
・櫛風沐雨(しっぷうもくう) 風に髪を梳(くしけず)り、雨に体を洗う。転じて、風雨に曝(さら)されて奔走し苦労すること。 類:●雨に沐(かみあら)い風に櫛る 出典:「荘子−天下」