−しつ2(situ2)−
・しっぺ返し(しっぺがえし・しっぺいがえし) 1.竹篦(しっぺい)で打たれたのを打ち返すということで、即座に仕返しをすること。また、ある仕打ちを受けて、同じ程度、同じ方法で仕返しをすること。 類:●仕返し 用例:役者論語「あの方より置みやげを贈られたるに、はなむけを又送りなば、余りしっぺい返しにておもしろからずと」 例:「強行に推し進めたそのしっぺ返しが来たのだ」 2.子供の遊戯の一つ。竹べらを数個、片手の甲の上に並べ、手を返したり滑らせたりして、それらを下に落として、全部を表か裏かに揃えるもの。 ★「しっぺいがえし」の転。 用例の出典:役者論語(やくしゃばなし) 芸談集。二世八文字屋自笑編。安永5年(1776)。4巻4冊。主に元禄時代頃の歌舞伎役者の芸談などを集めた書。役者の舞台での心得を述べた杉九兵衛の「舞台百ケ条」、名女形芳沢あやめの芸談「あやめぐさ」、坂田藤十郎の芸談を中心に聞書きした「耳麈集」「続耳麈集」その他3編を集録。「やくしゃろんご」とも。
・しっぽり 1.しっとりと、全体が十分に濡れる様子。また、雨などが静かに降る様子。 類:●しっとり 用例:虎寛本狂言・右近左近「しっぽりと汗をかくものか」 2.情が篭もって、静かに落ち着いた様子。しめやかな様子。 類:●しんみり 用例:俳・毛吹草−五「雨の日ぞしっほりとなけ時鳥」 3.男女間で、情愛が細やかな様子。睦(むつ)まじい様子。 用例:浮・好色万金丹−一「頭からしっぽりと思はせ、馴染の女郎を退かするやうに」
・尻尾を切る(しっぽをきる) 集金した金の一部や、釣り銭などを誤魔化す。
・尻尾を出す(しっぽをだす・いだす) 化けた狐や狸が尻尾を出して正体を現わすという意味で、隠し事や誤魔化しがばれる。本性が露見する。 類:●化けの皮が剥がれる●ぼろを出す●地が出る
・尻尾を掴む(しっぽをつかむ)[=掴まえる] 1.化けた狐や狸の尻尾を掴んで正体を暴(あば)くということで、他人の秘密や弱み、誤魔化しや悪事の証拠を握る。 例:「尻尾を掴んでいるので彼は僕に逆らえない」 2.悪人などの立ち回り先を知る。 例:「犯人の尻尾を掴まえた」
・尻尾を振る(しっぽをふる) 犬は餌を呉れた人に対して尾を振ることから、媚び諂(へつら)って相手に取り入ること。 類:●尾を振る●追従を言う 例:「町の顔役に尻尾を振る」
・尻尾を巻く(しっぽをまく) 降参する。負ける。 類:●尻尾(しりお)を巻く●白旗を揚げる 例:「尻尾を巻いて逃げ出す」
・疾雷耳を掩うに暇あらず(しつらいみみをおおうにいとまあらず)[=及ばず] 相手の行動が急激で防ぐ暇がない。 出典:「六韜−竜韜・軍勢」「疾雷不及掩耳、迅雷不及瞑目」
・失礼しちゃう(しつれいしちゃう) 見損(みそこ)なわれたことに対する抗議の気持ちを込めていう言葉。「呆(あき)れた」「馬鹿にしている」という気持ちを込めて使われる。 例:「足が大根みたいだなんて、失礼しちゃうわね」
・失礼ながら(しつれいながら) このような事を言ったり尋ねたりすると失礼に当たるが、という意味を込めて、謙遜の気持ちを表し、人の言葉に軽く反論を加えたりするときの前置きとして使う。また、出し抜けに、相手に問い掛けたりするときにも言う。
・実を言うと(じつをいうと)[=言えば] ものごとを打ち明けたり、真実を語ったりする時に、話の冒頭に用いる。 類:●本当のことを言うと●実は 例:「実を言うと、お金の持ち合わせがないんだ」
・実を尽くす(じつをつくす) 真実を尽くす。誠意・真心を尽くす。親切にする。
・湿を悪んで下きに居る(しつをにくんでひくきにおる) 湿気の多いところを嫌がりながらも、現実には湿気の多い低い場所にいる。悪いことだと分かっているのに、なお悪いことをし続けている喩え。 出典:「孟子−公孫丑・上」「今悪辱而居不仁、是猶悪湿而居下也」