−しよ(さ)(siyo3)−
・如才ない(じょさいない) 1.人やものごとに対して手抜かりがない。行き届いていて愛想が良い。等閑(なおざり)にしない。 類:●気が利く 用例:評判・色道大鏡−四「我ために女在(ヂョサイ)なき人を、密によびたててくはしくとふべし」 2.抜け目がない。気がきいて調子がいい。愛想(あいそ)がいい。 例:「如才なく振る舞う」 用例:浮・西鶴置土産−一「女在(ヂョサイ)なき女郎に帥中間から讚を付さすはしれた事」 ★近世以降の語<大辞林(三)> 用例の出典@:色道大鏡(しきどうおおかがみ) 江戸時代の評判記。18巻。藤本(畠山)箕山著。延宝5年(1677)序。京都を中心とした花街の遊女の風俗、習慣を記し、類書中の白眉とされる。 用例の出典A:西鶴置土産(さいかくおきみやげ) 浮世草子。5巻。井原西鶴の第一遺稿集。北条団水編。元禄6年刊。成稿は元禄5〜6年か。遊興の果てに零落した人々のさまざまな姿を、滑稽な中にも哀感をこめて描破した15の短編を収載。
・所在ない(しょざいない) 1.地位や身分が低い。 用例:上杉家文書(年月日未詳)「われらこときのしょさひなきもののちきゃうをかり候て」 2.することがなくて退屈である。 類:●手持ち無沙汰 例:「所在なさそうに立ったり坐ったりしている」 用例の出典:上杉家文書(うえすぎけもんじょ) 天正3年(1575)。上杉家軍役帳。米沢藩主上杉家伝来の文書。約1700通。主に4種類に分けられ、中世文書の赤箪笥入「乾」文書983通、両掛入文書130通、精選古案両掛入文書117通と近世文書の赤箪笥入「坤」文書522通からなる。関東管領上杉氏関係と越後守護代長尾氏関係の史料が見られる。改めて表装し保存したのではない、という点では珍しい古文書である。
・女子と小人とは養い難し(じょしとしょうじんとはやしないがたし) 女性と品性の卑(いや)しい者は、とかく扱(あつか)い難いものである。女性の多くは道理を理解せず、気安くすれば付け上がり、突き放せば恨むからである。 出典:「論語−陽貨」「唯女子与小人、為難養也。近之則不遜、遠之則怨」 ★中国封建時代には、女性は学問から遠ざけられており、道理に暗かったためにこう言われた。
・庶女天に叫ぶ(しょじょてんにさけぶ) 平民の女が、天の神に向かって無実の罪を訴える。己の冤罪(えんざい)を叫ぶことの喩え。 類:●庶女振風●東海の孝婦 故事:「蒙求−上」「淮南子曰、庶女告天、雷電下撃、景公台隕、支体傷折、海水大出」 斉の国にある寡婦がいた。姑には娘がいたが、この娘は財産を独り占めにしようと思い、母親を殺して、寡婦が殺したのだと訴え出た。寡婦は冤罪の証を立てることができず、処刑されてしまった。そこで、寡婦の怨霊が天神に向かって無実を訴えると、天がこれに感じて風雷を起こした。
・初心忘るべからず(しょしんわするべからず) 1.能楽で、若年の頃に学んだ芸や、その当時の未熟さ、また、時期時期での初めての経験を忘れてはいけないという教え。 ★世阿弥の「花鏡」にある言葉。 2.転じて、一般に、習い始めた時分の、謙虚な張り詰めた気持ちを常に失ってはならない。また、最初に思い立った一念を忘れてはいけないということ。 出典:花鏡(かきょう・はなのかがみ) 室町中期の能楽論書。1巻。世阿弥。応永31年(1424)成立。著者40歳頃から60歳前後までの体験を題目6か条、事書12か条の秘伝として収める。
・所存の外(しょぞんのほか) 1.心に考えていたこととは違っていること。意外であること。2.転じて、非常に残念であること。遺憾(いかん)である。 用例:曾我−4「卒爾の見参こそ、所存の外なれ」
・所存の臍を固める(しょぞんのほぞをかためる) 心に思うところ、または考えの中心になる部分を決めるという意味から、断固として決意を固めること。