−しゆ(あ2)(siyu1-2)−
・十人十色(じゅうにんといろ) 好みや考えなどは、人によってそれぞれ皆、異なるということ。 類:●蓼食う虫も好き好き
・十人寄れば十国の者(じゅうにんよればとくにのもの) 人が多勢集まれば、それぞれが出身地を異にしていて、風俗・習慣・話題などが違っているということ。世間は広いということ。または、集まった人々が多種多様である。
・十年一日(じゅうねんいちじつ・いちにち) 長い期間ずっと同じ状態にあること。 類:●旧態依然 例:「十年一日まったく進歩がない」
・十年の労帳(じゅうねんのろうちょう)[=労(ろう)] 平安時代、叙位のとき、諸宮司の主典(さかん)など六位の官人で、10年に亘って勤務して五位に昇進するべき人を列記した帳簿。
・十年一昔(じゅうねんひとむかし) 10年経(た)てば、一応、昔のこととなる。社会を見たとき、だいたい10年を一区切りとして、その間に著しい変化があるということ。
・十の島(じゅうのしま) 平仮名の「あほ」の字を分解して「十のしま」と読んだもの。ばか。愚か者。
・重箱で味噌を擂る(じゅうばこでみそをする) 1.重箱では味噌を擂ろうとしても擂り残しができることから、外見がどんなに立派であっても適した器(うつわ)でなければ役に立たないことの喩え。2.外見ばかりを整えることの喩え。3.細かいところに頓着(とんちゃく)しないで、大目に見ることの喩え。
・重箱の隅を杓子で払う(じゅうばこのすみをしゃくしではらう)[=を擂り粉木(すりこぎ)で洗う] 四角い重箱の隅を丸い杓子で払っても、擂粉木で洗っても、隅に物が残るところから、あまり細かいところまで追求しないで、大目に見るべきだということの喩え。
・重箱の隅を楊枝で穿る(じゅうばこのすみをようじでほじくる)
・秋波を送る(しゅうはをおくる) 女性が、異性の関心を惹(ひ)こうとして、媚びを含んだ目付きで見る。 類:●色目を使う●ウインクする 参考:秋波(しゅうは) 美人の涼しげな美しい目元。また、女性の媚びを表す色っぽい目付き。色目。流し目<国語大辞典(小)>
・戎馬を殺して狐狸を求む(じゅうばをころしてこりをもとむ) 小さな利益のために大きな犠牲を払うことの喩え。 類:●獣を得て人を失う 出典:「淮南子−説山訓」「殺戎馬而求狐狸、援両鼈而失霊亀」
・愁眉を展く(しゅうびをひらく)・開く 顰(しか)めていた眉を元に戻すということで、悲しみや心配がなくなって、ほっと安心した顔付きになる。悲しみや心配がなくなる。安心する。 類:●眉目(びもく)を開く 出典:劉兼の詩「春游詩」「羞聴黄鶯求善友、強随緑柳展愁眉」
・秋風索莫(しゅうふうさくばく) 《四熟》夏が過ぎて秋風が吹くと、自然界が衰えを見せ、もの寂しい光景に変わるということ。盛んだったものが衰えて、もの寂しくなる様子。
・秋風耳を過ぐ(しゅうふうみみをすぐ) 秋の風が耳元を吹き過ぎるようなものである。痛くも痒(かゆ)くも感じず、興味も関心も持たないことの喩え。 類:●馬耳東風 出典:「呉越春秋−呉王寿夢伝」「富貴之於我、如秋風之過耳」
・聚蚊雷を成す(しゅうぶんらいをなす) 1.蚊が集まって、その羽音が雷のような大きさになるということ。蚊が煩(うるさ)いことの形容。また、ごく小さなものでも数多く集まると侮(あなど)れないものになるということの喩え。 2.品性の卑(いや)しい者どもの讒言(ざんげん)の喩え。 出典:「漢書−景十三王・中山靖王勝伝」「夫衆煦漂山、聚蚊成雷、朋党執虎、十夫橈椎」
・衆盲象を模す(しゅうもうぞうをもす) 多くの盲人が象を撫でてみて、その手に触れた部分の印象だけで象のことを云々(うんぬん)するように、凡人は大人物や大事業の一部分しか掴めず、大局からの見方はできないということ。 類:●群盲象を評す ★元来は、涅槃経・六度経などで、人々が仏の真理を正しく知り得ないことをいったもの<大辞林(三)>
・十目の見る所十指の指さす所(じゅうもくのみるところじっしのさすところ) 10人が10人皆そう認めるところ。多くの人の判断や意見が一致すること。 類:●十指の指す所 出典:「礼記−大学」「十目所視、十手所指、其厳乎」 
・柔も亦茹わず剛も亦吐かず(じゅうもまたくらわずごうもまたくらわず) 弱い者を侮(あなど)らず、強い者を恐れない。 出典:「詩経−大雅・烝民」「柔亦不茹、剛亦不吐」
・柔能く剛を制す(じゅうよくごうをせいす) しなやかなものが、その柔軟性によって、固いものの鋒先(ほこさき)を逸(そ)らし、結局勝つことになる。転じて、柔弱な者が、却(かえ)って剛強な者に勝つ。 出典:「三略−上略」「柔能制剛、弱能制強」 出典:三略(さんりゃく) 中国の兵書。3巻。周の太公望の撰で、黄石公(こうせきこう)が土橋の上で漢の張良に授けたと伝えられるが、後世の偽撰書とされる。老荘思想を基調にした治国平天下の大道から戦略・政略の通則を論述。日本には遣唐使上毛野真備(かみつけのまきび)が初めて伝える。「六韜」と併称して、「六韜三略」という。 参考:六韜(りくとう) 中国、兵法の書。周の太公望の撰とされ、「荘子−徐無鬼」に「金版六囁」(「囁」は「とう」で「韜」に同じ)とあるが、現存するものはそれに仮託した偽作。1973年、山東省の銀雀山漢墓出土竹簡の中から残簡が発見され、戦国時代末期の成立であることがほぼ確定された。文韜・武韜・竜韜・虎韜・豹韜・犬韜の6巻から成る。
・獣を得て人を失う(じゅうをえてひとをうしなう) 得ることが少なく、失うことだけが大きいという喩え。代償が高過ぎること。 類:●戎馬を殺して狐狸を求む●一文惜しみの百知らず●一文惜しみの百損 反:■蝦で鯛を釣る 故事:「国語−晋語・七」「雖有功、猶得獣而失人也」 晋の太夫・魏絳(ぎこう)が悼公(とうこう)を諌めた言葉。西方や北方の民族を征伐しても、中国本土の民心を失い叛乱が起こりでもしたら大変なことになる。まるで、動物を捕らえたが人間を犠牲にしたようなものである。
・雌雄を決す(しゆうをけっす) 二者が、戦って勝敗を決める。二つの者(物)の、優劣を決める。 類:●決戦 出典:「史記−項羽本紀」「天下匈匈数歳者、徒以吾両人耳、愿与漢王挑戦、決雌雄、毋徒苦天下之民父子為也」 ★「雌雄」については、孟嘗君の食客・馮驩(ふうかん)が秦王に進言したとする言葉にも見える。「史記−孟嘗君列伝」「斉秦雄雌之国也、勢不可両立為雄、雄者得天下矣。秦王曰、何以使秦無為雌而可。馮驩曰、如斉復用孟嘗、則雌雄所在未可知」<斉と秦は雄雌の国で、両方とも雄という訳にはまいりません(以下略)>
・重を越す(じゅうをこす) 程度を上回る。一層甚(はなは)だしい。 類:●輪を掛ける