−そこ(soko)−
・底意地悪い(そこいじわるい) 見たところはそうではないのに、本当は意地が悪い。根本的な心の在り方が悪い。
・底が浅い(そこがあさい) 内容に深みがない。力量などがそれほどでもない。技量が、熟練していない。
・底が入る(そこがいる) 飲食する。特に、本格的に飲食する前に、既にある程度飲食していること。 用例:浄・児源氏道中軍記−三「こんなちっさい土器(かはらけ)では、底がいらぬ気が晴ぬ」 用例の出典:児源氏道中軍記(ちごげんじどうちゅうぐんき) 浄瑠璃。竹田出雲。延享元年(1744)。近松門左衛門の『十二段』を改作したもの。
・底が堅い(そこがかたい) 下げてきた相場が、もっと下がりそうでいて下がらない。 類:●底堅い
・底が知れない(そこがしれない) 1.深過ぎてその底が分からない。容量の際限が測れない。2.心の中を窺(うかが)うことができない。
・底が知れる(そこがしれる) 相手の力量や勢力が分かる。特に、相手が大したことのないと分かる。 類:●手が見える
・底が割れる(そこがわれる) 心の中や真実がすぐ相手に見破られてしまう。 例:「話の底が割れている」
・底知らず(そこしらず) 1.底が知れないこと。2.大酒飲みのこと。 用例:咄・醒睡笑−五「ただ世上には底知らずぢゃと申す」
・底知れず(そこしれず) 深くて、その底がわからないこと。程度が甚(はなは)だしいこと。 類:●計り知れない
・粗忽ながら(そこつながら) 失礼、無礼を詫びるつもりの前置き。突然の申し入れではあるが…。失礼なことではあろうが…。
・其処とも知らず(そこともしらず) どこであるかも分からないで。宛てがない状態。 用例:平家−六「そこともしらずあこがれ行く」
・底の国(そこのくに) 地の底の国。死者が行くとされた、地面の下にある国。 類:●根の国●黄泉(よみ)
・底の水屑となる(そこのみくずとなる)[=藻屑(もくず)となる] 水死する。 類:●藻屑となる
・そこはかとなし 1.どこがどこという訳ではない。何という訳でもない。場所、事物、理由、原因などをこれとはっきり示すことのできない状態を表わす。 類:●そこはかとなくなる 用例:源氏−明石「ただそこはかとなく過ぐしつる年月は」 2.取り留めもない。 3.際限がない。無限である。 用例:新古今「神無月風に紅葉の散る時はそこはかとなく物ぞ悲しき」 ★「其処(そこ)は彼(か)と」の意とされるが、「いづこをはかりとも覚えざりければ/伊勢−21」のような言い方もあるので、「はか」は「計(はか)り」と同源で、目当て・当てど、の意か<第辞林(三)> ★「徒然草」の「そこはかとなく書きつくれば」を、「後から後から書いていけば」と訳すべきとする説もある。
・其処へ持って来て(そこへもってきて) そういう状態のところへ、もう一つ加えて。 類:●その上 例:「そこへ持って来て金もない」
・底もあり蓋もあり(そこもありふたもあり) 複雑な事情がある。
・底を入れる(そこをいれる) 1.飲食をする。本格的に飲食するまえに、とりあえず、軽く飲食しておく意にいうことが多い。2.だめを押す。納得させる。3.相場が最低値になる。底値になる。 類:●底を叩く●底を突く
・底を打つ(そこをうつ) 相場で、値段が下がり切る。底値になる。 類:●底を突く●底を入れる 例:「株価が底を打つ」
・底を叩く(そこをたたく・はたく) 1.中にあるものを全部出し尽くす。2.相場で、底値になる。 類:●底を入れる
・底を突く(そこをつく) 1.貯蔵しておいたものがなくなる。2.相場で、底値になる。 類:●底を入れる
・底を払う(そこをはらう) 全てを出し尽くす。すっかり出し切ってなくなる。 類:●底を叩く
・底を割る(そこをわる) 1.腹の底を見せる。隠し事をせず、心中を明らかにする。 例:「底を割って話す」 2.相場が底値よりもなお下がる。