−その(sono)−
・その暁(そのあかつき) 1.迷いから脱け出て涅槃(ねはん)の正理(せいり)に帰するその時。特に、弥勒(みろく)三会(さんえ)の暁。2.あるものごとが実現したその時。
・其の悪を攻めて人の悪を攻むること無かれ(そのあくをせめてひとのあくをせむることなかれ) 自分の悪い点を責め正して、他人の悪い点は攻め立ててはいけない。 出典:「論語−顔淵」
・その足で(そのあしで)[=にて] どこかへ出掛け、そのまますぐに別の場所へ行くこと。
・その内とお化けは出た例が無い(そのうちとおばけはでたためしがない)[=今度と〜・後でと〜] 「その内必ず…」という約束は、お化けが出たことがないのと同様に、実現したことがない。相手の約束が当てにならないときに言う。 ★落語から出た言葉か。
・その折(そのおり) 1.その時。その当時。2.特に、死ぬ瞬間。 用例:山家集−中「そのおりの蓬(よもぎ)がもとの枕にも」
・その代わり(そのかわり) それに代わること。それに代わるもの。 類:●それと引き換え
・その気になる(そのきになる) あることに惹(ひ)かれて、そうしようという気持ちになる。
・その事に候(そのことにそうろう・さぶろう)[=侍(はべ)り] 応答する時に用いる言葉。そのことです。そこなのですよ。それなんですよ。
・その頃(そのころ)[=頃おい・時分] 話題に取り上げている、その時期。 類:●その程
・その罪を悪んでその人を悪まず(そのつみをにくんでそのひとをにくまず) 罪は憎むべきだが、その罪を犯した人を憎むのはよくない。 出典:「孔叢子−刑論」「古之聴訟者、悪其意、不悪其人」 出典:孔叢子(くぞうし・こうそうし) 秦代以降。孔子の九世の孫・孔鮒(こうふ)撰とされるが、後人が手を加えたもの。便宜的に、萬暦5年か、とされる。7巻23編。孔子、及びその一族の代々の言行録を集大成した書。朱子学の教科書としても用いられた。『孔子家語』と共に孔子伝説の変遷を窺うことができる貴重な書ではあるが、焚書で散逸したはずのものとの説が有力であり、王粛(おうしゅく)或いはそれ以降の者の「偽作」とされる。
・その手は食わない(そのてはくわない) そんな誤魔化しには乗らない。そのような計略には引っ掛からない。 類:●その手は食べない
・その手は桑名の焼き蛤(そのてはくわなのやきはまぐり) 「食わない」の「くわな」と焼蛤で有名な「桑名」とを言い掛けた洒落(しゃれ)。その手は食わない、その手には乗らないということ。
・その時はその時(そのときはそのとき) そうなったらその時に考えれば良いという意味で、今から心配する必要はないということ。先のことをあれこれ悩む必要はないということ。
・その場逃れ(そのばのがれ) 後の責任を負うつもりもなく、その場だけを取り繕(つくろ)って済ませること。また、その態度や口実。 類:●その場凌ぎ●一時逃れ●姑息
・その日暮らし(そのひぐらし) 1.その日の収入で、その日をやっと暮らすこと。生活に少しのゆとりもないこと。また、そのような生活。2.なんとなく、漫然(まんぜん)とその日を送ること。また、そのような生活。
・其の身正しければ令せずとも行なわる(そのみただしければれいせずともおこなわる) 為政者(いせいしゃ)自(みずか)らがちゃんと自分を律していれば、命令しなくても、正しい政治が行なわれるものである。 出典:「論語−子路」「子曰、其身正、不令而行、其身不正、雖令不従」 ★「史記−李将軍列伝・賛」にも、李広(りこう)に対する司馬遷の評として、引用されている。