−すい(sui)−
・西瓜頭(すいかあたま) 米国の俗語・watermelon headの和訳。都会の洗練された遣り方に慣れていない田舎(いなか)者のこと。また、道理や粋に通じていない者を罵(ののし)る言葉。 類:●ドジ●間抜け
・水火器物を一つにせず(すいかうつわものをひとつにせず) 性質が違うものは調和しない。また、善と悪とを同じ所に置くことはできないことともいう。 出典:「日葡辞書」
・粋が川へ陥る(すいがかわへはまる) 老巧な者や事情に通じている者が、却って失敗することがある。
・水火の責め(すいかのせめ) 水と火によって相手に苦痛を与えること。水責めと火責め。または、水と火を全く使わせないようにする刑罰。
・粋が身を食う(すいがみをくう) → 粋は身を食う
・水火も辞せず(すいかもじせず)[=辞さない] 水に溺れ、火に焼かれるほどの苦痛や危険をものともせず、力を尽くしてものごとに当たる。どんな苦痛や困難をも厭(いと)わない。
・水火を踏む(すいかをふむ) 非常に苦しい境涯に落ちる。また、危険をおかす。 出典:「列子−黄帝」
・酔眼朦朧(すいがんもうろう) 《四熟》酒に酔ってとろんとした目つきになり、目の焦点が定まっていない状態。また、酔ってぼんやりした様子。
・随喜の涙(ずいきのなみだ) 善行に接したとき、喜びのあまりに零(こぼ)す涙。心からありがたく思って流す涙。 類:●ありがた涙 参考:随喜(ずいき) 仏教用語。他人が行なう善を見て、これに従い、喜びの心を生ずること。転じて、大喜びをすること。
・炊臼の夢(すいきゅうのゆめ) 臼(うす)で飯を炊(た)いた夢。転じて、妻の死を知らせる夢。妻に先立たれることの喩え。 類:●臼に炊(かし)ぐの夢 出典:「酉陽雑俎−夢」「夢炊於臼中、問王生」 張胆(ちょうたん)という商人が旅先で、臼で飯を炊く夢を見て、王生という占者に占ってみてもらうと、臼の中で飯を炊くということは釜(ふ=婦と同音)がないからですと言った。張胆が帰ってみると、予言どおり、妻が数ヶ月も前に死んでいた。
・酔狂(すいきょう) 1.酒に酔って狂うこと。また、酔って常軌を逸する人。 類:●酒狂(さかぐる)い 用例:日蓮遺文−開目鈔「悪子の酔狂して父母を殺すをせいせざるべしや」 ★「酔狂(えいぐるい)」の漢字表記を音読みした語<大辞林(三)> 2.好奇心から風変わりなことをすること。物好きなこと。 類:●物好き●好事(こうず)●酔興 用例:談・艶道通鑑−四「華鳥に向ひ詩を吟ずれば楽天李白が酔狂を悔ませ」 用例の出典@:日蓮遺文(にちれんいぶん) 日蓮の著作・書状・図録を纏(まと)めて称するもの。日蓮宗徒によって集成された。完成は15世紀頃か? 日蓮宗の教義研究テキストとしての役割を担(にな)った。成立時期により「録内」と「録外」の2つがある。現存は著作・書状493点、図録65点、真跡断簡357点。「御書」「御抄」などとも呼ばれる。 用例の出典A:艶道通鑑(えんどうつがん) 神道講釈書。増穂残口。正徳5年(1715)。5巻6冊。恋愛至上主義とも言える自由恋愛論を説く。
・水魚の交わり(すいぎょのまじわり)
・推敲(すいこう)
・推参者(すいさんもの) 出しゃばり者。差し出がましい者。 類:●無礼者
・水晶の物に瑠璃を盛る(すいしょうのものにるりをもる) 澄み切っていて、身も心も引き締まるような様子である。
・水晶は塵を受けず(すいしょうはちりをうけず) 清廉で潔白な人は、少しの不正や不義を憎むものであるということ。また、不潔を憎むときにも言う。
・酔生夢死(すいせいむし) 有意義なことを何もなすことなく、一生を無為に過ごすこと。 出典:二程全書(にていぜんしょ) 中国、北宋の程(明道)・程頤(伊川)兄弟の文集・語録・著述を合刻した書。66巻。朱子によって大成される宋学の先駆となった。 人物:程子(ていし) 中国宋代の儒学者、程(ていこう)、程頤(ていい)兄弟の尊称。二程子とも。 ●程(ていこう) 中国北宋の儒学者。1032〜85。字は伯淳、号は明道。頤の兄。弟とともに性理学の基礎を築いた。著に、弟との共著「二程全書」など。 ●程頤(ていい) 中国北宋の儒学者。1033〜1107。字は正叔。号は伊川。兄の程とともに二程子と称され、ともに天理と人性との関連を論じた性理学の基礎を築いた。その弟子の楊時の門から朱子が出た。著に「伊川先生文集」、兄との共著「二程全書」がある。
・垂涎(すいぜん・すいえん・すいせん) 1.涎(よだれ)を垂らすこと。2.ある物をとても欲しがること。 例:「彼女はクラスの皆の垂涎の的だ」
・水草を追う(すいそうをおう) 水や草のある場所を追うという意味から、住居を定めずにあちらこちらと移り住むこと。
・好いた同士は泣いても連れる(すいたどうしはないてもつれる) お互いに愛し合っている男女は、辛(つら)くて泣いていながらも別れない。好き合った夫婦は、どんな苦労があっても、最後まで連れ添うものだということ。
・水中に火を求む(すいちゅうにひをもとむ) 水の中に入って火を探しても、得られるものではない。間違った手段で何かを求めても、何も得られないことの喩え。また、ないもの強請(ねだ)りをすることの喩え。 類:●木に縁りて魚を求む●天を指して魚を射る●水を煮て氷を作る
・翠帳紅閨(すいちょうこうけい) 「翠帳」は緑色の帳(とばり)のこと。翠帳を垂らして、紅色に飾った寝室。貴婦人の寝室。 出典:「本朝文粋−九」「翠帳紅閨、万事之礼法雖異、舟中浪上、一生之歓会是同」
・水滴も石を穿つ(すいてきもいしをうがつ) 縄も時間を掛けて擦(こす)れば木も切れ、滴(したた)る水もやがて石に穴を開ける。道徳を納める者も弛(たゆ)まずに努力し、求めるべきだということ。 類:●雨垂れ石を穿つ 出典:「菜根譚−後集109」「縄鋸木断、水滴石穿、学道者須加力索」 参考:「漢書−枚乗伝」「泰山之溜穿石、単極之[糸+更]断幹。水非石之[金+占]、索非木之鋸、漸靡使之然也」
・水天彷彿(すいてんほうふつ) 遠い海の沖合の水と空とが一続きになっていて見分けがつかないこと。その境界がはっきりしないこと。
・水到渠成(すいとうきょせい) 水が流れてくると、自然に土が削られ溝ができる。時が経てばものごとは自然に成功するということ。 類:●水到りて魚行く
・錐刀の末(すいとうのすえ) 錐(きり)などの先。 1.転じて、微小なものごとの喩え。2.僅(わず)かばかりの利益。 類:●錘刀の利 出典:「春秋左氏伝−昭公六年」「錐刀之末、将尽争之」
・錐刀の利(すいとうのり) → 錘刀の末 出典:「後漢書」
・粋の皮の段袋(すいのかわのだんぶくろ) 花柳界や男女の情愛などに関して十分知り尽くしていて、言動が頗(すこぶ)る粋であること。また、その人。 参考:段袋(だんぶくろ) 駄荷袋(だにぶくろ)から変化した言葉。布製の大きな荷物袋。
・随八百(ずいはっぴゃく) 「随(ずい)」は気侭なこと、「八百」は数が多いことを表わす。言いたい放題を並べ立てること。 類:●言いたい放題
・粋は身を食う(すいはみをくう)
・水泡に帰する(すいほうにきする)[=属する] 折角の苦労が無駄になる。無効に終わる。 例:「長年の苦労も水泡に帰した」 類:●元の木阿弥●水の泡●灰燼と化す
・酸いも甘いも噛み分ける(すいもあまいもかみわける)
・酸いも甘いも食う(すいもあまいもくう)[=嘗(な)める] 世間の表裏に亘(わた)る経験を積む。
・騅逝かず(すいゆかず) ものごとが思い通りに巧くゆかず、苦境に陥(おちい)ること。最後の土壇場に追い込まれること。 故事:「史記−項羽本紀」 項羽が漢の高祖に垓下(今の安徽省の一部)に囲まれたとき歌った「垓下歌」の歌詞「力抜山兮気蓋世、時不利兮騅不逝、騅不逝兮可奈何、虞兮虞兮奈若何」。
・推より行(すいよりぎょう) 推量することより行動することの方が大切だという意味で、こうであろう、ああであろうと推し量ってばかりいて、実際には自分で何も行なわないでいることを戒(いまし)めて言う。
・垂簾の政(すいれんのまつりごと) 幼(おさな)い帝(みかど)に代わって、皇太后や太皇太后などが政事を見ること。 反:■徹簾(てつれん) 出典:「旧唐書−高宗紀・上」「天后垂簾於御座後、政事大小、皆預聞之」 ★昔、中国では、男女の別を厳しくするため、皇太后なども直接群臣と会見することを憚(はばか)り、その座前に簾(すだれ)を垂れたていた。 人物:則天武后(そくてんぶこう)・武則天(ぶそくてん) 中国唐の三代皇帝高宗(こうそう)の皇后。中国史上唯一人の女帝。624〜705。高宗に代わって実権を握り、高宗の死後、実子の中宗(ちゅうそう)哲(てつ)、睿宗(えいそう)丹(たん)を次々と帝位に就(つ)けたが、690年、国号を周(「武周」ともいう)と改め、自(みずか)ら「聖神皇帝」と称した。705年、クーデターにより中宗が復位し、国号は再び唐となった。
・粋を利かす(すいをきかす)[=通す・遣(つか)う] 粋を十分に発揮する。男女の情愛に関する事柄を、気を利かして、物分かりよく捌(さば)く。