−すん(sun)−
・寸陰を惜しむ(すんいんをおしむ) 一寸の光陰を惜しむ。 類:●一寸の光陰軽んずべからず ★陶侃(とうかん)の言葉。聖王禹(う)でさえ一寸の光陰を惜しんだのだから、我々凡人は(10分の1の)一分(ぶ)の光陰を惜しむべきだ。 出典:「十八史略−東晋・明帝」
・寸が詰まる(すんがつまる)[=詰む・約(つづ)まる] 丈(たけ)が短くなる。
・ずんぐり 背が低くて肉付き良く太っている人の形容。また、太くて短いもの。 用例:滑・浮世風呂−二「かみがたすぢの女。ずんぐりとした風俗」 例:「ずんぐりした建物」
・ずんぐりむっくり 「ずんぐり」を強めた言葉。背が低くて肥えている者の形容。
・寸進尺退(すんしんしゃくたい) 一寸進んで一尺退(しりぞ)くこと。僅かばかり進んでたくさん退くこと。また、得るところが少なく、失うところが多いことの喩え。 類:●尺進尋退●一歩前進二歩後進 反:■寸退尺進 出典:「老子−六九章」「吾不敢為主而為客、不敢進寸而退尺」
・寸善尺魔(すんぜんしゃくま) 一寸の善と一尺の魔ということ。世の中は、善いことが少なくて、悪いことばかり多いということ。善事には邪魔が入り易いということ。 類:●好事魔多し●月に叢雲(むらくも)花に風●魔障多し
・寸草春暉(すんそうしゅんき) 《四熟》 芽を出したばかりの短い草は、降り注(そそ)ぐ春の陽光に比べたら、ほんの僅(わず)かな存在に過ぎない。父母の恩や父母の愛情に比べたら、子供が返せるものなど、ほんの僅かであるということ。 類:●寸草之心 出典:孟郊「遊子吟」「誰言寸草心
報得三春暉」<一寸の草のような子供の心が、三月の春の太陽の輝きのような親の愛情に応えられると、誰が言うのだろうか>
・寸退尺進(すんたいしゃくしん) 少しさがって、たくさん進むこと。
・寸足らず(すんたらず) 1.普通より寸法が足りないこと。背丈が低いこと。また、その物やその人。2.比喩的に、普通よりも、幾らか劣っていること。
・寸鉄人を殺す(すんてつひとをころす)[=刺す] 「寸鉄」は、小さい武器のこと。転じて、短いが深い意味を含んだ言葉のこと。ちょっとした言葉でありながら、人の心に深く食い入るようなもの。小さい武器で相手の急所を突くこと。ごく短い言葉で人の急所を突くこと。 参照:「鶴林玉露−地集一・殺人手段」 出典:鶴林玉露(かくりんぎょくろ) 随筆集。18巻。羅大経。中国、南宋時代。1248〜52年成立。天・地・人の三集に分け、文士・道学者・山人の言葉を記したもの。論評、逸話、見聞など。議論に詳しく考証は簡略である。
・既のこと(すんでのこと)[=ところ] もう少しのところで。ほとんど。 類:●すってのこと 用例:伎・梅柳若葉加賀染−大切「病犬がうしゃアがって、すんでの事に喰ひ付かうとしやしたから」 ★「すでのこと」の変化<国語大辞典(小)> 用例の出典:梅柳若葉加賀染(うめやなぎわかばかがぞめ?) 歌舞伎。鶴屋南北。文政2年(1819)。通称「柳沢騒動」・・・詳細調査中。
・すんなり 1.体裁良く細長い様子。すらりとしている、しとやかである、しなやかであるなど。 用例:浄・本朝三国志−二「柳の腰はほそく共心はふとき女武者<略>細柄の長刀かいこふですんなり、すなりとあゆみくる」 2.ものごとが支障なく進む様子。穏やかである、抵抗感がなく、素直であるなど。 例:「犯行をすんなり認めた」
・寸の首(すんのくび) 咽喉笛一寸ばかりのところ。
・寸の間(すんのま) ちょっとの間。僅かの空間や時間。
・寸馬豆人(すんばとうじん) 遠くの小さく見える人と馬のこと。遠景の人馬の形容。また、特に画中の遠景の人馬。 類:●豆人●寸馬
・寸分違わず(すんぶんたがわず) ちょっとの違いもなく。ほんの少しの狂いもなく。
・寸法を付ける(すんぽうをつける) 計画している事の手順や手筈(てはず)などを整える。
・寸を進めずして尺を退く(すんをすすめてしゃくをしりぞく) 一寸前進するよりも、むしろ一尺後退すべきである。無闇にこちらから戦いを挑むようなことはせず、できれば戦いを避けて、災いを招かないようにすべきである。いかにして戦いを仕掛けるかではなく、どうすれば戦わずに済むかを考えよということ。 類:●寸進尺退 出典:「老子−六十九章」
・寸を幄げて尺を信ぶ(すんをまげてしゃくをのぶ) 「幄」は、「屈」と同じ。一寸退(しりぞ)いても一尺前進するということで、小利を捨てて大利を取る喩え。小さいことに拘(こだわ)らず大事を成し遂げること。 類:●尺を枉(ま)げて尋(ひろ)を直(の)ぶ●小の虫を殺して大の虫を生かす 出典:「淮南子−氾論訓」