−たい(さ1)(tai3-1)−
・台座が来る(だいざがくる) 後になってから苦情が持ち込まれる。他人がした、好ましくないものごとの処理が身に降り掛かってくる。後始末をさせられる。とばっちりが来る。 類:●尻が来る●尻を拭う●尻拭いをする
・台座後光に離れる(だいざごこうにはなれる) 仏像の台座と後光とを失うという意味で、僧侶が堕落して寺院から追い出されること。
・台座後光を仕舞う(だいざごこうをしまう)[=失う] 仏像から台座と後光を取ってしまうと、まるで威厳がなくなるところから、面目が丸潰れになること。全く失敗すること。命を失うこと。
・台座の別れ(だいざのわかれ) 胴体を台座に喩えて、斬られて、首と胴とが別々になること。首を切られて死ぬこと。 類:●台座後光を仕舞う●笠の台の生き別れ
・台座を据える(だいざをすえる) 尻を据えるという意味で、心を決めてどっしりと落ち着いている様子。
・台座を放す(だいざをはなす) 胴体を台座に喩えて、首を斬ること。
・泰山の无は石を穿つ(たいざんのあまだれはいしをうがつ・りゅうは〜) 泰山から滴(したた)り出る水の雫(すずく)が一滴一滴と落ちるうち、ついに石に穴を空けるということ。小さな力でも根気よく続ければ成功するということの喩え。 類:●雨垂石を穿つ
・泰山の安きに置く(たいざんのやすきにおく) 泰山のように、揺るぎないものにする。ものごとをどっしりと安定させる。
・泰山は土壌を譲らず(たいざんはどじょうをゆずらず)・太山は〜 大事業を成す者は、度量が広く、どんな小さな意見をも良く取り入れるということ。李斯(りし)の言葉。 類:●河海は細流を択ばず 出典:「十八史略−秦・始皇」 参照:中国、古代の諺。「管子−形嗾」「戦国策−秦策」「韓非子−大体」など 泰山が大きな山となったのは、どんな小さな土くれをも拒まずに包容したからである。 人物:李斯(りし) 秦の政治家。?〜前208年。郡の小吏から出、呂不韋の舎人となり、始皇帝の天下統一後丞相になった。荀子に学び、韓非の法治主義(法家)を実践し、焚書坑儒、文字の統一、郡県制など一連の専制国家政策を強行したが、二世皇帝胡亥のとき、趙高に欺(あざむ)かれて刑死した。
・泰山北斗(たいざんほくと) 山の泰山と北斗星。転じて、ある一つの道で最も高く仰(あお)ぎ尊ばれる人。 類:●泰斗 出典:「唐書」
・大山鳴動して鼠一匹(たいざんめいどうしてねずみいっぴき)
・泰山梁木(たいざんりょうぼく) 山の泰山、家の梁木のように、たよりになるたのもしい人。また、たよりになる尊いもの。 出典:「礼記−檀弓・上」 ★孔子が自分の死期を予知して詠ったという言葉に基づく。
・泰山を挟んで北海を超ゆ(たいざんをわきばさんでほっかいをこゆ) 泰山を小脇に抱えて北海(渤海湾=ぼっかいわん)を飛び越えるということ。人間の力では到底不可能なことの喩え。 出典:「孟子−梁恵王・上」「挟太山以超北海、語人曰、我不納、是誠不能也」
・大したもんだよ蛙のしょんべん(たいしたもんだよかえるのしょんべん) 1.啖呵(たんか)売りの口上(こうじょう)の一つ。この商品は大したものだと、その効能を売り込んで言う。 ★「たいした」は、「田ぃした(田へした)」と掛けていて、「蛙の〜」に繋(つな)がる。 ★江戸時代末期に成立したと考えられる。 2.一般に、ものごとが大したものであるときに、少し囃(はや)して言う。
・大事に懸ける(だいじにかける) 大切にする。丁寧(ていねい)に扱う。
・大事の中に小事なし(だいじのなかにしょうじあり) 大事を行なう場合には、小事を顧(かえり)みる余裕はない。大事のときは、小事になど構っていられない。
・大事の前の小事(だいじのまえのしょうじ)
・大事は小事より起こる(だいじはしょうじよりおこる) 大事を行なう前は、どんな小事にも油断をしてはいけない。 類:●大事の前の小事
・大樹将軍(たいじゅしょうぐん) 1.樹の下にいる将軍。馮異(ふうい)のこと。 出典:「後漢書−馮異伝」「諸将並坐論功、異常独屏樹下、軍中号曰、大樹将軍」 2.転じて、将軍または征夷大将軍の異称。 故事:後漢の馮異は兵法に通じ、光武帝(こうぶてい・劉秀)に仕えて戦功を立てたが、謙虚な人柄で決して自分から誇(ほこ)らなかった。諸将は隊列が止まるたびに我先にと手柄話をしているのに、一人その場を退(しりぞ)いて樹の下に座っていたので「大樹将軍」と渾名(あだな)された。馮異の軍の規律は高く、掠奪に参加しなかったため敵にも慕われ、投降した兵士たちは皆馮異の部下になりたいと願った。
・大樹の下に美草なし(たいじゅのしたにびそうない) 1.茂った大木の下は日陰なので、良い草が生育しないという意味で、大人物の下では、人は意欲を失うので、有能な人は育たないという喩え。 類:●大木の下に小木育たず 2.人材の育つ条件に欠けるところには、有能な人間は集まらないものであるということの喩え。
・大樹の将に顛れんとするは一縄の維ぐ所に非ず(たいじゅのまさにたおれんとするはいちじょうのつなぐところにあらず) 倒れようとする大木を僅か一本の縄で支えることはできない。国家が転覆するとき、一人の力ではどうにもならないことの喩え。 類:●大廈の顛れんとするは一木の支うるところに非ず 出典:「後漢書−徐チ伝」「大樹将顛、非一縄所維、何為栖栖不遑寧処」
・大乗的見地(だいじょうてきけんち) 小さな事に心を囚(とら)われることなく、全体の成り行きを考えて事を決しようとする観点。自己の立場や私情を捨てて、ものごとを大きく捉(とら)えること。 類:●大局的見地
・大丈夫(だいじょうぶ) 1.立派な男。「だいじょうふ」とも読む。 類:●丈夫(ますらお) 出典「孟子−滕文公・下」「景春曰、公孫衍張儀、豈不誠大丈夫哉」 ★周尺の一丈を男子の身長としたところから<広辞苑第四版(岩)> ★中国語では「大丈夫」が「亭主関白の夫」を指す場合もある。 2.人が、極めて健康である様子。とても気丈(きじょう)である様子。非常に頼もしく心強い様子。 用例:人情・春色梅児誉美−初「さぞこわかったらふモウモウ気を大丈夫におもちヨ」 3.危な気(げ)ない様子。間違いない様子。 用例:滑・浮世床−初「あの息子もよく(かせい)で利口者だから身上は大丈夫(デヘジャウブ)だ」 4.(副詞的に)間違いなく。確かに。きっと。 類:●十中八九 用例:人情・英対暖語−二「其様なことは大丈夫ござゐません」 ★2〜4は、日本での特別な意味で、「丈夫」(→参考)の強調表現から。 参考:丈夫(じょうぶ) @健康・達者である。A作りが頑丈である。B確かな様子。確実な様子。 用例:謡曲・舟弁慶「御座舟のことを仰せ付けられて候ふ間、丈夫に申し付けて候」