−たた(tata)−
・叩き込む(たたきこむ) 1.打って中へ入れる。打ち込む。 例:「ホームランを叩き込む」 2.乱暴に投げ込む。打(ぶ)ち込む。 例:「牢屋に叩き込む」 3.時間を掛けて技などを修得する。修行を積む。 用例:洒・箱まくら−中「市村さんもたたきこんであるさかい〈略〉目が高い」 4.覚え込ませる。よく飲み込ませる。 例:「頭に叩き込んでおけ」
・叩き出す(たたきだす) 1.叩くことを始める。打ち始める。2.叩いて外に出す。また、乱暴に追い出す。 用例:浄・女殺油地獄−中「たたき出して此方へ越さっしゃれ」 3.金属を叩いて、模様などを浮き出させる。
・叩き付ける(たたきつける) 1.激しく投げ付ける。また、ぶつけるように強く叩く。転じて、徹底的に遣っ付ける。 類:●叩き伏せる 用例:浄・嫗山姥−四「呻哮る喉笛を二つ三つたたき付」 2.自分の考えを無理に押し付ける。高圧的に従わせる。 用例:浄・曾根崎心中「私合点致さぬを、老母をたらしたたきつけ」 3.激しい勢いで、ものを差し出す。また、憤然として相手にものを言う。 例:「辞表を叩き付ける」 4.幼児の背中を軽く叩いて寝かし付ける。 用例:伎・東海道四谷怪談−二幕「蚊帳の内へ入り、赤児をたたきつけてゐる」 5.仕事などを手早く片付ける。 用例:雑俳・川柳評万句合「松過ぎの駕一ち日にたたきつけ」
・叩き直す(たたきなおす) 1.曲がったものを叩いて真っ直ぐに戻す。2.比喩的に、悪い性行、気持ちなどを正しく直す。邪悪に捻じ曲がった心を正しくする。 例:「腐った性根を叩き直してやる」 用例:浄・心中刃は氷の朔日−上「皆人の地金をへらす焼釘は、たたきなをいて」 用例の出典:心中刃は氷の朔日(しんじゅうやいばはこおりのついたち) 浄瑠璃。世話物。3段。近松門左衛門。宝永六年(1709)大坂竹本座初演。大坂北野の藍(あい)畑で、鍛冶屋平兵衛と曾根崎新地平野屋の小かんが心中した事件を脚色したもの。
・叩きのめす(たたきのめす) 1.徹底的に叩く。激しく叩いたり蹴ったりして、起き上がれないようにする。 用例:滑・浮世風呂−四「たたきのめしてやらう」 2.強い言葉などで責め立てて、意気をすっかり失わせる。 例:「彼女の言葉で叩きのめされた」
・叩けば埃が出る(たたけばほこりがでる)[=立つ] 表面上は正しく見えていても、細かく詮索すれば、欠点や弱点が見付かる。 類:●垢(あか)は擦るほど出る
・叩けよさらば開かれん(たたけよさらばひらかれん) 1.イエス・キリストの言葉。ひたすら神に祈り、救いを求めれば、神は必ず応えてくださる。 出典:「新約聖書−マタイ福音書7章」 2.転じて、一般的に、迷わずに、積極的に努力すれば自ずと道は開けるということを勧める教訓。
・只ならず(ただならず)・只ならぬ 普通のことではない。只事ではない。 1.普通ではない。様子が曰(いわ)くありげである。様子ありげである。 用例:源氏−葵「かかる御有様を聞き給ひても、ただならず」 2.普通よりも優れている。並外れて秀でている。 用例:徒然草−二四「ものふりたる森のけしきもただならぬに」 3.身体の様子がいつもとは異なっているということで、妊娠している。 例:「ただならぬ身」 用例:宇津保−俊蔭「彼の女君ゆめのごとありしに、ただならずなりにけり」
・只の鼠でない(ただのねずみではない) 普通の鼠ではないという意味で、油断のならない者だ。一癖ある奴だ。尋常の人物ではない。
・只の人(ただのひと) 1.並みの人。常の人。 類:●常人 ★古くは、公卿殿上人など高貴な人でない者をさす<国語大辞典(小)> 2.専門家に対して、一般の人。3.僧侶に対して、俗人。
・多々益々弁ず(たたますますべんず)[=善(よ)し]
・畳み掛ける(たたみかける) あることを続けざまに行なう。相手に余裕を与えず、矢継ぎ早に働きかける。 用例:評判・色道大鏡−四「たたみかけくぜつしかくるきゃくあらば」 例:「攻撃を畳み掛ける」
・畳水練(たたみすいれん) 畳の上で水泳の練習をするように、方法や理屈は知っているが、実地での練習をしないため、実際の役に立たないこと。 類:●畳の上の水練●机上の空論
・畳の上で死ぬ(たたみのうえでしぬ) 外にいて起こる事故死や変死などではなく、自分の家の中で変わったこともなく平穏に死ぬような、ごく普通の死に方をすること。主に、否定の形で「畳の上で死ねない」と使う。
・畳の上の水練(たたみのうえのすいれん)
・畳の塵を毟る(たたみのちりをむしる)[=縁(へり)を〜][=捻(ひね)る] 1.手持ち無沙汰で退屈な有様。 類:●畳の目を読む 2.恥ずかしがっている様子。
・畳の目を読む(たたみのめをよむ) することがなく、畳の編み目の数でも数えているより仕方がないという意味で、手持ち無沙汰で退屈している状態のこと。また、黙って俯(うつむ)き恥ずかしがっている場合にも用いる。 類:●畳の塵を毟る●畳の縁を毟る
・只より高いものはない(ただよりたかいものはない) 1.只で物を呉れるときは、往々にして条件が付いてくるものであり、その条件が難しいものだったりして、却(かえ)って高く付くものだということ。 類:●馳走終わらば油断すな 2.只で物を貰ったのが元で、禍(わざわい)を被(こうむ)ること。
・踏鞴を踏む(たたらをふむ) 「踏鞴」は、足で踏んで風を送る大形の鞴(ふいご)のこと。勢いよく突いたり打ったりして的が外れ、力が余って、空足を踏むこと。勢い余って数歩先へ歩いてしまうこと。
・駄々を捏ねる(だだをこねる)[=言う] 幼児などが、自分の望みが叶わないとき、親などに甘えて我が儘(まま)を言う。むずかって身体をくねらせる。拗(す)ねる。 類:●駄々を踏む●駄々を言う ★「駄々」は当て字<大辞林(三)> ★「駄々」は、「じだたら(地蹈)」が変化して「じだだ」「じだんだ」となり、それのさらに変化した語という<国語大辞典(小)>