−てい(tei)−
・棣鄂の情(ていがくのじょう) 「常棣」は庭桜(にわざくら)のこと。「鄂」は、花がぱっと開く形容。庭桜の花は幾つも集まり、外観が非常に美しいことから、兄弟が仲良くしていることの喩え。兄弟の情のこと。 出典:「詩経−小雅・常棣」「常棣之華、鄂不イイ[韋+華][韋+華]、凡今之人、莫如兄弟」
・庭訓(ていきん・ていくん)
・丁固生松(ていこせいしょう) 出世を暗示する夢を見ること。また、そのような夢。 類:●三刀の夢 故事:「蒙求−213」 三国時代、呉の梓丁固はいたって下賤な仕事に従事していたが、ある時、自分の腹に松が繁茂する夢を見た。覚めてから考えてみるに、「松」の字は3つに分けると「十八公」である。これは、努力すれば自分も18年後に公になれるということであろうと判断し、青雲の志(こころざし)を立て、朝早くから夜遅くまで勉学修養に努力した結果、18年後に官位に就くことができた。
・亭主関白(ていしゅかんぱく) 亭主が一家で最高の位置にあることの喩え。 1.亭主が客より上座に着くこと。2.家庭内で、亭主が絶対的権威を握っていること。特に、妻に対して、夫が非常に威張っていること。 反:■嚊天下
・亭主の好きな赤烏帽子(ていしゅのすきなあかえぼし)
・亭主の前の見せ麻小笥(ていしゅのまえのみせおごけ) 嫁が、態(わざ)と亭主の前で、麻小笥を出して苧績(おうみ)の夜なべ仕事をして見せるということ。転じて、亭主の前で嫁が勤勉な振りをして見せること。また、人前で体裁だけ働き者らしく振る舞うことの喩え。 類:●姑の前の見せ麻小笥 参考:麻小笥(おごけ) 細く裂いて長くつないだ麻を入れておく円筒形の器。桶。檜(ひのき)の薄板を曲げて作る。
・亭主八杯客三杯(ていしゅはっぱいきゃくさんばい)[=三杯客一杯] 客を持て成すとき、主人が客より多く酒を飲むこと。客を出汁(だし)にして酒を飲むこと。
・亭主を尻に敷く(ていしゅをしりにしく) 妻が夫を蔑(ないがし)ろにして、家庭内での実権を握っていること。 類:●尻に敷く●嬶天下
・貞女は二夫を更えず(ていじょはにふをかえず) 貞操の堅い女は、夫の死後に再婚して他の男を夫とすることはしない。 類:●貞女は両夫に見えず●(男)忠臣は二君に事えず 出典:「史記−田単伝」「忠臣不事二君、貞女更二夫」
・貞女は両夫に見えず(ていじょはりょうふにまみえず)[=二夫(にふ・じふ)に〜]・[=並べず] 貞女は夫が死んだ後も再婚しないものである。貞女は二人の夫を持つことをしない。
・貞女を立てる(ていじょをたてる) 女としての節操を貫くという意味で、一般に、女として一人の夫に対して貞操を守り通すこと。
・鄭人履を買わんとす(ていじんくつをかわんとす・ていひと〜) 本末を転倒した愚か者の喩え。融通(ゆうずう)が利かない者。なにごとにおいても杓子定規な考え方をする者。 類:●度を持つことを忘る●愚の骨頂 出典:「韓非子−外儲説・左上」「鄭人有且買履者、先自度其足而置之其坐、至之市而忘操之」 鄭(てい)に、履き物を買おうとしている者があった。予(あらかじ)め足の寸法を測ったが、その寸法書きを持っていくのを忘れてしまった。履き物を手にしてからそれに気付き、家へ取って返し、寸法書きを持って再び来ると、既に市場は終わっていた。結局、履き物は買えずじまいだった。ある人が「どうして自分の足に合わせてみなかったのだ」と尋ねると、「寸法書きは信用できても、自分の足は信用できないからさ」と答えた。
・泥酔(でいすい) 正体をなくすほど酷(ひど)く酒に酔うこと。 類:●泥(でい)の如し 出典:「後漢書−儒林列伝・周澤」の原注→「漢官儀」「一日不齋酔如泥」<一日だけの齋(ものい)みをしない日は、酔っ払って泥のようになっている> ★泥土のようにぐにゃぐにゃになるからと言う。 ★「泥(デイ)」は、中国の空想上の虫のことで、南の海中に住み、身体には骨がなく、陸(おか)に上がると酔っ払って泥土のようになるとされるところからという説もあるが、こちらは後から作られたものらしい。 出典:漢官儀(かんかんぎ) 漢官典職儀式撰。後漢の応劭(おうしょう)撰。197年。10巻。戦乱で古い書物の多くが散逸したのを嘆き、朝廷の制度や百官・式典などを見聞して集め綴ったもの。
・手痛い(ていたい) 1.程度が激しい様子。 類:●手酷い●厳しい 例:「手痛い打撃を受ける」 用例:平家−四「あれ御らん候へ。橋のうへのいくさ手いたう候」 2.損害が甚(はなは)だしく、心が動揺するほどである。 例:「最後の詰めのところで手痛いミスを犯す」
・体たらく(ていたらく) そのような体(=様子)であること。有り様。様子。状態。 例:「なんという体たらくだ」 用例:日葡辞書「コノセカイノテイタラク」 用例:源平盛衰記−35「此の山の体たらく、峰高うして」 ★近世以後は、あまりよくない有様や、その様子を軽蔑したり悪くいったりする場合に用いる<国語大辞典(小)>
・泥中の蓮(でいちゅうのはちす)
・手一杯(ていっぱい) 1.力の限りすること。自分の思う通りに、十分にすること。 用例:虎寛本狂言・右近左近「さこは口ききには有り地頭殿は手一ぱいにする」 2.余裕がないこと。ぎりぎりであること。 類:●精一杯●手が離せない 例:「自分のことで手一杯で他を顧みる余裕がない」 用例の出典:右近左近(おこさこ) 狂言。各流。女狂言の一つ。田の稲を左近の牛に食われた右近は、妻を地頭に見立てて訴訟の練習をしているうちにとんだ泥仕合になってしまう。和泉・鷺流では「内沙汰(うちさた)」という。なお、「おこ」は愚者の意とする説もある。
・体の好い(ていのいい・よい) 外から見た様子が良いという意味で、見掛けだけは良くて、内実が伴わないこと。体裁が好い。 例:「聞こえは良いが、体の好い断り口上でだ」
・泥の如し(でいのごとし) 人が酒に酔って正体を失った様子の喩え。 類:●泥酔 ★「泥(デイ)」は、中国の空想上の虫のことで、南の海中に住み、身体には骨がなく、陸(おか)に上がると酔っ払って泥土のようになるとされた。
・泥裏に土塊を洗う(でいりにどかいをあらう) 1.泥の中で土の塊(かたまり)を洗っても汚れが落ちる道理はないという意味で、人の穢(けが)れや醜(みにく)さが、洗い落とせないほど酷(ひど)いことの喩え。2.無益な骨折りをすることの喩え。
・手入れ(ていれ) 1.良い状態に保つために、整えたり繕(つくろ)ったりして、手を掛けること。 用例:浄・鑓の権三重帷子−上「少身者の馬の手入、飼をろくにかはぬゆへ」 例:「庭木の手入れが行き届いている」 2.犯人の検挙や捜査のために、警官が踏み込むこと。 例:「賭博場に手入れがあった」 3.貴人や大名などに縁故を求めて、その屋敷に出入りすること。また、賄賂を贈ること。 用例:浮・日本永代蔵−一「今はん昌の武蔵野なれ共、隅から角まで出入して、更に冢(つかみ)取もなかりき」 4.囲碁で、自陣の欠陥部所の補完のために石を打つこと。 用例の出典:鑓の権三重帷子(やりのごんざかさねかたびら) 浄瑠璃。世話物。近松門左衛門。享保2年(1717)。3大姦通物の一つ。茶道の師匠市之進の妻おさいと弟子の小姓笹野権三は、敵役の落とし穴にはまって姦通という濡れ衣を着せられ、不義者となって駆け落ち。市之進に女敵討ちを通じて名誉を立てさせるという筋書き<近松門左衛門でござーい!> 『堀川波鼓』『大経師昔暦』と共に、近松三姦通物の一つ。