−てか(teka)−
・手が上がる(てがあがる) 1.技量が上達する。腕前が上がる。2.特に、字が上手になる。また、読み書きの力が付く。3.酒量が増える。4.方法がなくなる。お手上げとなる。 類:●手を上げる 用例:浄・心中二つ腹帯「こなたのやうに言ひ立つれば、詫言の手はあがれども」 5.仕事を失う。飯の食い上げとなる。
・手が空く(てがあく・すく) 仕事の切れ目で、また、仕事が一段落して暇な時間ができる。
・手が空けば口が開く(てがあけばくちがひらく) 1.仕事がなければ暮らしが立たない。2.暇になると無駄話が増える。
・手飼いの者(てがいのもの) 目を掛けて養った部下。 類:●子飼いの部下●手勢●手の者
・手が要る(てがいる) 人手を要する。 類:●人手が要る
・手が入れば足も入る(てがいればあしもいるい・はいれば-はいる) 1.些細なことを一度許せば、ついには全く侵されてしまうということ。2.次第に深入りしてゆくこと。
・手が後ろに回る(てがうしろにまわる) 後ろ手に縛(しば)られる。罪人として警察などに捕らえられる。
・手が掛かる(てがかかる) 手数が要る。世話が焼ける。 類:●世話が焼ける●手が焼ける
・手書きあれども文書きなし(てかきあれどもふみかきなし)・[=字書きあれども〜] 字の上手な人は多いが、優れた文章を書く人は少ない。字が上手いからといって、文章まで巧みなわけではない。 ★「手書き」は字の上手い人、「文書き」は文章の上手い人。
・手が利く(てがきく) 手先の技が巧みである。器用だ。また、腕前が優れている。
・手が切れる(てがきれる) 縁が切れる。関係がなくなる。 例:「悪い仲間とやっと手が切れた」
・手が込む(てがこんだ)・手の込んだ 細工・技巧などが緻密(ちみつ)である。手間が掛かっている。また、ものごとが、込み入っている。 例:「手の込んだ計略」
・手が下がる(てがさがる) 1.腕前が鈍(にぶ)る。2.特に、文字が下手になる。3.飲める酒の量が減る。酒量が落ちる。
・出来した(でかした) あることを遣り遂げたとき、或いは巧くやったときの誉め言葉。 類:●でかいた 用例:虎寛本狂言・墨塗「一段と出かいた」 用例の出典:墨塗(すみぬり) 狂言。各流。大名との別れに水入れの水を目に付けて泣く真似をする女の様子に気付いた太郎冠者が、水を墨に入れ替えると、女はそれと知らずに付けて、目の周りを真っ黒にする。
・手が付かない(てがつかない) 他の事が気になってその事に集中できない。また、事を始められない。 類:●手に付かない
・手が付く(てがつく) 1.新しいものを使い始める。新しい仕事に取り掛かる。 2.使用人の女などが、主人との間に情交関係ができる。 例:「ご領主様の手が付いた」 3.マージャン・トランプなどで、自分のところへ手役が来る。
・手が付けられない(てがつけられない) 処置のしようがない。どうしようもない。 類:●手に負えない●手に余る●手に合わない●力に余る●力に負えない
・手が出ない(てがでない) 相手があまりに優れていたり、情況があまりに酷かったりして、施す手段がない。 類:●手も足も出ない●二進も三進もいかない 例:「その値段ではとても手が出ない」
・手が届く(てがとどく) 1.細かい所まで配慮されている。世話が行き届く。 類:●行き届く 2.能力・権力・勢力などの範囲内にある。また、その範囲内に到達する。 類:●手に負えない 例:「あまりに高度な話で私には手が届かない」 3.ある年齢、時期などにもう少しで達する。近付く。 例:「70に手が届きそうな老人」
・手がない(てがない) 1.働き手がない。人手が足りない。2.施(ほどこ)すべき手段がない。どうしようもない。 3.平凡で面白味がない。野暮(やぼ)で愛想がない。 類:●手詰まり●策がない
・手が長い(てがながい) 手癖が悪い。盗み癖がある。[日葡辞書] 類:●手癖が悪い
・手が鳴る(てがなる) 人を呼ぶための手を鳴らす音が聞こえる。
・手が入る(てがはいる・いる) 1.捜査や逮捕のために、官警が立ち入ること。また、取り調べること。2.仕事や作品などを完成するまでの過程で、他人の訂正や補正が入る。
・手が離せない(てがはなせない) 何かに掛かり切りで別のことが出来ない。非常に忙しくて余裕がない。 類:●手が塞がる●手一杯
・手が離れる(てがはなれる) 1.ものごとが一段落して、その仕事をしなくてもよくなる。また、その仕事が終わる。2.幼児が成長して、世話が楽になる。
・手が早い(てがはやい) 1.ものごとの処理がてきぱきとして敏速である。手早い。2.すぐに女性に手を出す。女とすぐに関係を結ぶ。3.すぐ、殴(なぐ)るなどの暴力を揮う質(たち)である。
・手が塞がる(てがふさがる) 仕事の最中で、他の事に手を出す余裕がない。何かを断るときの決まり文句としても用いられる。 類:●手が離せない 例:「今ちょっと手が塞がってるんだよ」
・手が回る(てがまわる) 1.手配りが十分に行き届く。2.自由に遣り繰りする。巧く事が運ぶ。3.捜査や逮捕の手配がされる。犯人の立場からいう。 例:「もう警察(サツ)の手が回ってる」
・手が見える(てがみえる) 1.他人に見せたくない欠点や弱点、秘密などが知られる。 類:●手の内が見える 2.力量・勢力などが分かる。特に、相手が大したことのないと分かる。 類:●底が知れる
・手が焼ける(てがやける) 世話が焼ける。 類:●世話が焼ける●手が掛かる
・手が良い(てがいい・よい) 1.遣り方が巧(うま)い。洒落ている。巧みだ。2.字が上手(うま)い。
・手柄を立てる(てがらをたてる) 他に抜きん出た働きをして栄誉や賞賛を受ける。また、事を立派に成し遂げる。
・手が悪い(てがわるい) 1.遣り方が良くない。質(たち)が悪い。2.字が下手である。悪筆だ。3.トランプや麻雀で、持ち札や配牌が良くない。