−てん(か)(ten2)−
・天蓋がばれる(てんがいがばれる) 空の蓋(ふた)が破れるという意味から、雨や雪が降ってくる。天候が崩れる。
・天涯孤独(てんがいこどく) 1.故郷から遠く離れた土地で、ただ一人で暮らすこと。 「天涯」の出典:李白「王昭君」「一上玉関道、天涯去不帰」 2.身寄りが一人もいないこと。 例:「両親を早くに亡くし、天涯孤独の身」
・天下一品(てんかいっぴん) 天下にただ一つしかない品。また、他に比べるものがないほど優れていること。 例:「天下一品の銘酒」
・点額(てんがく) 試験に落第すること。 故事:「水経注−河水」 竜門を登り得た鯉は竜となり、そうでないものは額をぶつけ、点(きずつ)いて帰る。 参考:登竜門 出典:水経注(すいけいちゅう) 中国の地理書・流域の歴史書。北魏の弭道元(れきどうげん)撰。40巻。中国各地の1,252もの河川を詳細に辿(たど)り、河川の流路に基づく沿革・都邑・景観・伝説などを記述している。「水経」に注を加えたもの。 参考:水経(すいけい) 中国の地理書・水路誌。撰者未詳。一説に漢の桑欽、または、晋の郭璞撰。三国時代(3世紀)頃成立。中国各地の河川の水系を簡単に記した書。
・天下御免(てんかごめん) 誰に憚(はばか)ることもなく、公然と、そうしても許されること。世間一般に公認されていること。
・天下の憂いに先立ちて憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ(てんかのうれいにさきだちてうれい、てんかのたのしみにおくれてたのしむ) 志士仁人(じんじん)は、天下国家の憂いを世の人々が未だ憂えない前に憂え、人々が楽しんだ後に楽しむものである。何よりも天下国家のことを先にして、自己一身のことは問題にしない。政治を行なう者の心構えを説いた言葉。 類:●先憂後楽 出典:「岳陽楼記」 出典:岳陽楼記(がくようろうき) 長編詩。宋代。1046年。范仲淹(はんちゅうえん)=范文正公。「岳陽楼」は、湖南省岳陽の町を囲む城壁西門の楼のこと。水戸藩の庭園「後楽園」の名は、「先憂後楽:(士はまさに)天下の憂(うれい)に先だって憂い、天下の楽(たのしみ)に後れて楽しむ」の一節から命名された。
・天下の才(てんかのさい) 1.天下に稀(まれ)な才能。また、それを持った人。2.天下を治める才能。
・伝家の宝刀(でんかのほうとう) 1.その家に代々伝わっている名刀。2.転じて、いざという大事なとき以外滅多に用いない物・事柄・手段。 類:●奥の手●切り札 例:「いよいよとなったら、伝家の宝刀を抜く」
・天下は天下の天下、一人の天下にあらず(てんかはてんかのてんか、ひとりのてんかにあらず・いちにんの〜) 国家は国民全体の共有のものであり、君主一人が思う儘にして良いものではない。 出典:「六韜−文師」
・天下は回り持ち(てんかはまわりもち) 運命はいつまでも固定したものではなく、次々に各人に循環するということ。貴賤貧富は、次々に人々の間をめぐっていくということ。
・天下晴れて(てんかはれて)[=晴る] 世間に憚(はばか)るところがない。誰にも遠慮することがない。 類:●世間晴れて●公然と●気兼ねなく ★多く「天下晴れて」の形で用いられる<国語大辞典(小)>
・天下布武(てんかふぶ) 「天下に武を布(し)く」。天下を統一し、それを武士が統治するということ。戦国武将・織田信長が使用した印章の印文。 ★岐阜に進出した永禄10年(1567)から用い始めた<広辞苑第四版(岩)>
・天下無双(てんかむそう) 天下第一で、並ぶ者がいないこと。 類:●日の下開山●天下無比 例:「天下無双の豪傑」 ★古くは「てんかぶそう」<大辞林(三)>
・天から和尚はいない(てんからおしょうはいない) 「天から」は「最初から」の意味。最初から和尚だったのではなく、修行時代もあったという意味。初めは、誰でも未熟であるということ。また、一足(いっそく)跳びの出世などを望むものではないということ。 類:●端から和尚はない●生まれながらの長老なし●沙弥から長老にはなれぬ●仏になるも沙弥を経る●河童も一度は川流れ
・天から降ったか地から湧いたか(てんからふったかちからわいたか) 人などが、目の前に突然現(あらわ)れる様子。 例:「天から降ったか地から湧いたか、そこには鞍馬天狗が立っていた」
・天機洩漏すべからず(てんきせつろうすべからず) 重大な機密は、決して漏(も)らしてはならないということ。 出典:「儒林外史−七」「天機不可漏洩、所以晩生就預先回避了」 ★「天機」は万物を造り出す天のからくり。転じて、極秘中の極秘を指す言葉。 出典:儒林外史(じゅりんがいし) 中国の通俗小説。清の呉敬梓(ごけいし)。雍正末期(1730年代前半)から乾隆初年(1736)ごろ成立。全55回。科挙試験を目指している様々な人間像と、科挙制度に毒されている社会諸相を淡々とした筆致の口語で詳細に描写したもの。
・天狗になる(てんぐになる) 天狗のように鼻が高くなるということで、転じて、得意になって自惚(うぬぼ)れること。高慢なこと。
・天狗の囮(てんぐのおとり) 1.天狗を捕まえるための囮になるもの。2.転じて、鼻が高い女性のこと。
・天狗の投げ文(てんぐのなげぶみ) どこから来たか分からない怪しい手紙。
・天狗の鉞(てんぐのまさかり) 石器時代の遺物の石斧(せきふ)・石槌(せきつい)などのこと。 参考:江戸時代の人々は山の中で出会う不思議な現象を天狗と結び付けることが多かった。どこからともなく聞こえる笑い声を「天狗笑い」、突然木が倒れることを「天狗倒し」、どこからともなく飛んでくる石を「天狗礫(つぶて)」、茂みにある小さな空き地を「天狗の相撲場」などと呼んだ。
・電光石火(でんこうせっか) 稲妻の光や石を打った時に出る火花のこと。 1.極めて短い、また、儚(はかな)い時間の喩え。2.動作や振舞いが極めて素早いことの喩え。 例:「電光石火の早技」
・天勾践を空しゅうすることなかれ、時に范蠡なきにしもあらず(てんこうせんをむなしゅうすることなかれ、ときにはんれいなきにしもあらず)[=なし、〜] 天は勾践を見放すようなことはしない。必ず范蠡のような忠臣が現れて助けて呉れる、ということ。 参考:「勾践」は中国春秋時代の越の王、「范蠡」は呉との戦に敗れた勾践を助け、再び呉を滅ぼした忠臣の名前。 故事:「太平記」 児島高徳が密(ひそ)かに桜の幹に書き記して、隠岐(おき)へ流される途中の後醍醐天皇に奉(たてまつ)った詩の句とされる。
・天こ盛り(てんこもり) 高く盛ること。食物などを器に堆(うずたか)く盛ること。 類:●山盛り ★「てんこ」は「てんこつ」の略、「てんこつ」は諸方言で頂上の意<国語大辞典(小)>
・天之に年を仮す(てんこれにとしをかす) 天が寿命を貸し与える。長生きをする。 出典:「春秋左氏伝−僖公二十八年」