−てん(さ)(ten3)−
・天才と狂人は紙一重(てんさいときょうじんはかみひとえ) 「天才」と呼ばれる人は、常人とは違った精神構造を持ち、往々にして冗談を解さなかったり、奇行に走ったりするものである。見方によっては、狂人と見られてもおかしくない。 ★イタリアの犯罪学者ロンブローゾの言葉。 参考:アスペルガー症候群 高機能広汎性発達障害(高機能自閉症)。自閉スペクトラムに分類される障害。知能が正常範囲にあり、文法的には正確な言葉を話す事が出来る。しかし、微妙な皮肉、冗談、本音と建て前の違いなどを理解できない。不器用で行動や興味が限られていることもあり、対人関係に悩みを抱え易い。
>「その他の点では自閉症的である人で、1つの精神的能力ないし術が異常に発達していること。」(ドーランド医学辞典)
・天災は忘れた頃にやって来る(てんさいはわすれたころにやってくる) 災害は往々にして、被害の痛手から立ち直って、気を抜いているころに襲ってくるものである。防災を怠(おこた)るべきではないという警句。 ★寺田寅彦が用いたとされる言葉。随筆集の中に記述はないが、講演などで言ったものか。「災害は忘れた頃にやって来る」が正しいと伝わる。
・天定まって人に勝つ(てんさだまってひとにかつ)・天定まって亦(また)能(よ)く人に勝つ 悪は一時(いっとき)栄えることがあっても、結局は滅びる。一時は真理の行われないことがあっても、遂には自然の理に復して悪は滅び、善が栄える。 出典:「史記−伍子胥伝」「人衆者勝天、天定亦能破人」
・天使が通る(てんしがとおる) フランスの慣用句Un ange passe.の訳。今まで続いていた対話や座談が途切れて、一座の者が気まずく沈黙してしまうこと。 用例:平凡「雪江さんも黙つて了(しま)ふ、松も黙つて了ふ。何処でか遠方で犬の啼声が聞える。所謂天使が通つたのだ」
・電車道(でんしゃみち) 1.路面電車の軌道が敷設(ふせつ)されている道路。2.相撲で、立ち合った途端に、一直線に押して寄り切ること。また、一般に、障害物もなんのその一直線に突き進むことの喩えとしても言う。 例:「電車道の寄りで快勝」
・天寿を全うする(てんじゅをまっとうする) 病気や事故などのためでなく、長生きをして寿命が尽きて死ぬこと。 類:●大往生を遂ぐ
・天井が支える(てんじょうがつかえる) 天井が支えてもうそれ以上は登れないという意味で、昇進の見込みがないこと。また、ものごとがそこで終わりになって、残りの可能性が見付からなくなること。
・天井が抜ける(てんじょうがぬける) 1.そのことを大っぴらにできる。公認される。2.有頂天になる。止め処(ど)がなくなる。羽目を外す。
・天井から目薬(てんじょうからめぐすり) 回り遠くて効果が覚束(おぼつか)ないことの喩え。 類:●二階から目薬●焼け石に水●杯水車薪
・天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん) 1.仏教用語。個々の人間は、自分がこの世で唯(ただ)一人の尊い存在であることを自覚すべきである、ということ。 類:●唯我独尊 2.誤解から、この世界に我よりも尊(とうと)いものはないということ。 類:●唯我独尊 ★「我」は、釈迦本人のことではなく「個々の人」のことであるとする。更に、経典『長阿含経』の巻一には「天上天下に唯だ我のみ尊たり(天上天下唯我為尊)、必ず衆生の生老病死を度す」とあり、釈尊誕生の以前過去世の毘婆尸(ヴィバッシン)菩薩の言葉であるとも言われる。 出典:「碧巌録」・「長阿含経」他 出典:阿含経(あごんきょう) 経典。釈迦が弟子に説いたもの(小乗経典)。5世紀初に漢訳。須弥山(しゅみせん)という世界観が著されている。「中阿含」、「長阿含」、「増一阿含」、「雑阿含」の四種がある。
・天井の節穴を数える(てんじょうのふしあなをかぞえる) 何もすることがなくて退屈なこと。
・天井を抜く(てんじょうをぬく) 1.公然と事を行なう。大っぴらにその事をする。2.思う存分に事を行なう。また、限度や止め処がない様子。有頂天になる。 類:●羽目を外す
・天井を見せる(てんじょうをみせる) 人を仰向けにして起き上がらせないということで、人を痛め付ける。苦しめる。 用例:滑・浮世風呂「お袋に天井を見せられたな」
・天知る、地知る、我知る、人知る(てんしる、ちしる、われしる、ひとしる) 誰も知るまいと思っても天地の神は照覧し、自分も知り、それを仕掛けるあなたも知っていることだ。隠し事というものはいつか必ず露顕(ろけん)するものだ。 類:●四知 故事:「後漢書−楊震伝」 中国、後漢の楊震が王密から金十斤を贈られ、「暮夜無知者(夜なのだから誰も知る者はいません、だから大丈夫です)」と言われたとき、「天知、神知、我知、子知、何謂無知(どうして誰も知らないと言えるのだ)」と答え、密は恥じて去っていった。
・天真爛漫(てんしんらんまん) 人格などが、少しも飾ったところがなく、ありのままであること。無邪気で屈託(くったく)のないこと。 類:●天衣無縫 例:「天真爛漫な笑顔」
・天水桶に龍(てんすいおけにりゅう) 天水桶のような有り触れたつまらないところに、際立って優れたものが在るということ。また、そのもの。 類:●掃き溜めに鶴
・点数を稼ぐ(てんすうをかせぐ) 相手の心証を良くするなど、自分の評価を上げる。評価を上げようと色々手を尽くすことを軽蔑していう。 類:●ポイントを稼ぐ
・点睛を欠く(てんせいをかく) 全体の中の最も肝心な部分が抜け落ちていることの喩え。 ★一般には「画竜点睛を欠く」というように使う。
・転石苔を生ぜず(てんせきこけをしょうぜず) 1.活発に活動を続けている人は、いつまでも新鮮さを保っているということ。 類:●転がる石に苔むさず●流水腐らず●A
rolling stone gathers no moss. 2.一ヶ所に落ち着かない者は大成しないということ。浮気者は真の愛情を得られない。 類:●石の上にも三年●A
rolling stone gathers no moss. ★1.は、米国的な解釈、2.は英国的な解釈、とする。