−てん(は)(ten6)−
・転婆(てんば) 1.慎(つつし)みや恥じらいに欠けた、活発な女。 類:●お転婆 2.過(あやま)ち、しくじること。粗忽(そこつ)であること。また、その人。 用例:伎・傾城天の羽衣−四幕「ヱヱきついてんばどもじゃ」 3.親不孝で、従順でない子供。 ★2.と3.は、男女いずれにもいう<国語大辞典(小)> 用例:浄・児源氏道中軍記−二「不孝な子も多からふが、儕れに上こすてんばも有るまい」 用例の出典:傾城天の羽衣(けいせいあまのはごろも) 上方歌舞伎。宝暦3年(1753)。並木正三。質屋の娘お千代と丁稚(でっち)太吉の悲恋。「せり」を初めて使った。
・天馬空を行く(てんまくうをゆく)
・天は高きに居って卑しきに聞く(てんはたかきにおってまずしきにきく)[=卑(ひく)きに〜] 天帝は高い所に居ながら下界の人々の声を聞き、その善悪を監視し、厳正な判断をする。 出典:「史記−宋微子世家」
・天罰覿面(てんばつてきめん) 天罰がすぐ現れること。悪事を働いて即座に天罰を受けること。 類:●因果覿面
・天は二物を与えず(てんはにぶつをあたえず) 一人の人間がそういくつもの才能や資質を備えてはいない。
・天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず(てんはひとのうえにほとをつくらず、ひとのしたにひとをつくらず) 人間は本来平等であって、貴賤上下の差別があるものではない。 出典:「学問のすゝめ」 用例の出典:学問のすゝめ(がくもんのすすめ) 啓蒙的論文集。17冊。福沢諭吉。明治5(1872)〜9年刊。人間の自由平等、独立の思想に基づいて、従来の封建道徳を鋭く批判し、実用的学問の必要を説いた。 人物:福沢諭吉(ふくざわゆきち) 教育家、啓蒙思想家。慶応義塾の創立者。大分県の人。1834〜1901。長崎に留学、ついで大坂の緒方洪庵の適塾に学び、のち江戸に蘭学塾を開いて子弟を教授。この間、独力で英学を学ぶ。万延元年幕府遣米使節に随行して渡米。文久元年(1861)再び西欧諸国を視察して、「西洋事情」「世界国尽」を著す。慶応4年(1868)塾を慶応義塾と命名。維新後、「明六雑誌」や「時事新報」を創刊、国民の啓蒙に尽力した。主著「学問のすゝめ」「文明論之概略」「福翁自伝」。
・天は自ら助くる者を助く(てんはみずからたすくるものをたすく)
・天は見通し(てんはみとおし) 天は全てを見通しているから、善悪それぞれに必ず報いがある。 類:●神は見通し●お天道様はお見通し
・天秤に掛ける(てんびんにかける) 1.二つのうちどちらかを選ばなければならないとき、両方の優劣・軽重・損得などを比較する。 類:●秤にかける 2.身の処し方に困らないように、対立しているどちらにも関係を付けておく。どちらが優勢になっても自分の都合が良いように図る。 類:●両天秤に掛ける
・田夫野人(でんぷやじん) 教養のない粗野な人。 類:●田父野老
・天変地異(てんぺんちい) 天空に起こる変動と地上に起こる変異。 類:●天変地夭(ちよう)
・転蓬(てんぽう) 1.風に吹かれ、根を離れて、転がっていく蓬(よもぎ)。2.転じて、人が漂泊すること。また、旅人の喩え。
・てんぽの皮(てんぽのかわ) 一か八か、運に任せて思い切ってすること。その場の出任せでことを行なうこと。 用例:滑・膝栗毛−五「『てんぽのかは、やって見ませう』とまんぢう二十とりよせ」 類:●儘よてんぽの皮 ★「てんぽ」は、「転蓬(てんぽう)」の変化。一説に「手棒(てんぼ)」からで、不器用の意からとも。