−ちん(tin)−
・珍客も長座に過ぎれば厭われる(ちんきゃくもちょうざにすぎればいとわれる) 久し振りに訪れたお客様でも、いつまでも長居をしていると、結局は嫌がられてしまうものだということ。訪問は、適当に切り上げることが大切である。 出典:ハンス・クリスチャン・アンデルセンの格言
・沈魚落雁(ちんぎょらくがん) 1.人間の目には美人に見えるても、魚や鳥はこれを見て恐れて逃げるという意味で、美の基準は定め難いものであるということ。 出典:「荘子−斉物論」「毛噬麗姫、人之所美也、魚見之深入、鳥見之高飛」 2.1.が後世転用されて、魚や雁も恥じらって姿を隠すほどの美人を指す言葉として使われる。際立って艶(あで)やかな美人の形容。 類:●閉月羞花 出典:「通俗篇−禽魚」「沈魚落雁」 ★「沈魚落雁閉月羞花」ともいう<国語慣用句辞典(集)>
・狆くしゃ(ちんくしゃ) 狆(ちん)のように、目・鼻・口が顔の中央に集まって、くしゃっとした顔。多く、不美人の形容として用いる。 ★一説に狆がくしゃみをしたような顔という説もある。
・ちんけ 最低である。劣っていてつまらない。 例:「ちんけな奴だ」 ★「ち」は賽子(さいころ)博打で「一」のこと<大辞林(三)>
・椿事(ちんじ)[=珍事] 1.珍しいできごと。滅多にないこと。2.思い掛けない重大なできごと。特に、悪いできごとに使う。 類:●変事●一大事 ★元来は「椿」ではなく「木偏に舂(ショウ・トウ)」であった。「[木+舂]事」は、出来事を数える言葉・単位詞。
・珍事中夭(ちんじちゅうよう) 1.「中夭」は災難のこと。思い掛けない災難。2.思い掛けない珍奇なこと。
・沈思黙考(ちんしもっこう) 沈黙して深く考え込んでいる状態。
・椿寿(ちんじゅ) 大椿(だいちん)という伝説上の大木についての「荘子」の記述から、人が長生きすること。長寿であること。 類:●長寿●大椿●椿齢 出典:「荘子−内篇・逍遥遊」「上古有大椿者、以八千歳爲春、八千歳爲秋」
・陳勝呉広(ちんしょうごこう) ものごとの魁(さきがけ)をする人。真っ先に事を行なう人。 類:●首唱者●陳呉 出典:「史記−陳勝世家」 ★陳勝と呉広は共に最初に秦に叛(そむ)いて兵を挙げ、それによって各地に兵を挙げる者が出て、秦を滅亡に導いた。
・枕席に侍す(ちんせきにじす)[=侍(はべ)る] 婦人が男子と共に寝る。夜の伽(とぎ)をする。 類:●枕席を薦む●枕席を払う
・枕席を薦む(ちんせきをすすむ)[=払う] =枕席に侍す
・ちんちくりん 1.非常に背の低いこと。また、その人。小さい物や小さい人を嘲(あざけ)っていう言葉。2.背丈に比べて着物が短か過ぎること。 類:●つんつるてん 例:「ちんちくりんのオーバー」
・ちんともかんとも 打ち消しの言葉を伴って、一言も〜しない。 類:●うんともすんとも 用例:浮・好色一代女−五「ちんともかんともいはせず」
・狆猫婆(ちんねこばばあ) 自分に都合良い者には追従(ついしょう)を言い、そうでない者には無愛想にする者。そういう者を罵(ののし)って言う言葉。
・ちんぴら 俗語。 1.小物のくせに大物を気取ったりする者や、子供のくせに大人ぶったことをする生意気な者を嘲(あざけ)っていう言葉。 例:「この、ちんぴらやくざめ」 2.転じて、不良少年少女。また、暴力団などの下っ端(ぱ)。 例:「ちんぴらに絡(から)まれる」 ★大正・昭和初期の隠語辞典類には、子供のスリをさす語などの記述がある<語源由来辞典> ★語源は諸説あるが、子供を嘲って言う大阪方言の「ちんぺら」からかという説が有力。
・珍糞漢(ちんぷんかん・ちんぶんかん)・珍紛漢・陳奮翰 訳の分からない言葉。訳の分からない事。また、その人。 類:●珍紛漢紛 用例:浄・蘆屋道満大内鑑−二「早速主従打寄り内証で読んで見ても、ちんぶんかんにて合点行かず」 ★儒者の用いた漢語をひやかしていったところからとも、外人のことばの口まねからともいう<国語大辞典(小)> 用例の出典:蘆屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ) 浄瑠璃。時代物。5段。竹田出雲。享保19年(1734)大坂竹本座初演。信田妻(しのだづま)伝説を集大成した作品。
・珍糞漢糞(ちんぷんかんぷん)・珍紛漢紛 訳の分からない言葉。訳の分からない事。また、その人。
・珍味佳肴(ちんみかこう) 珍しい味の食物と良い肴(さかな)。大層な御馳走。
・珍無類(ちんむるい) 他に例のないほど珍妙なこと。滑稽窮まりないこと。また、非常に珍しいこと。
・沈黙は金、雄弁は銀(ちんもくはきん、ゆうべんはぎん) 沈黙の方が、優れた弁舌よりも価値があるということ。時に、沈黙は雄弁よりも説得力を持つことがあることの喩え。 類:●Silence is golden. 出典:西洋のことわざ。 ★イギリスの思想家・歴史家、トーマス・カーライルの「衣装哲学」に見える言葉で、彼がスイスで見たドイツ語の碑文だという。
・沈黙を破る(ちんもくをやぶる) 1.黙っていた人が声を出して話し始める。 類:●静寂を破る 2.再び活動を始める。 例:「長い沈黙を破って大作を発表した」
・椿葉の影再び改まる(ちんようのかげふたたびあらたまる) 八千年を以って一春とするという「大椿(だいちん)」の葉が再び改まるほど長い年月を経ることで、永続すること。永く栄えること。 出典:「荘子−内篇・逍遥遊」「上古有大椿者、以八千歳爲春、八千歳爲秋」 参照:大椿
・枕流漱石(ちんりゅうそうせき) →石に漱ぎ流れに枕す