−ちや(tiya)−
・茶化す(ちゃかす) 1.真面目に取り合わずに、冗談のようにしてしまう。揶揄(からか)う。冷やかす。愚弄(ぐろう)する。 類:●混ぜ返す●茶にする 用例:談・根無草−後「動(ややもすれ)ば石芋(くはずのいも)石蛤(くはずのかい)で人をちゃかし」 2.誤魔化す。ちょろまかす。 類:●一杯食わせる 用例:浄・卯月の紅葉−上「十貫目といふ敷銀を、あの女めにちゃかさりょかと、涙がこぼれて口惜しいはいなふ」 ★「茶(=おどける。好い加減なことを言う)」からの派生か。「茶化」は当て字<国語大辞典(小)> 用例の出典:卯月の紅葉(うづきのもみじ) 浄瑠璃「与兵衛おかめひぢりめん卯月の紅葉」の通称。近松門左衛門。宝永3年(1706)。古道具屋の娘おかめの婿養子与兵衛が、家督相続を巡っておかめの父の妾と弟に家を追い出され、おかめも後を追って脱出。梅田堤で夫婦心中するが、与兵衛だけ生き残る<近松門左衛門でござーい!>
・ちゃきちゃき 1.血統に混じり気のないこと。 類:●正統●生粋(きっすい)●生え抜き 用例:浄・扇的西海硯−二「親は伊賀の平内左衛門とて、同じ平家のちゃきちゃき」 例:「ちゃきちゃきの江戸っ子」 2.仲間の中で優れていて注目されること。有望であること。また、仲間内で一番羽振りが良い者。 用例:伎・入間詞大名賢儀−口明「上方に於て、振付けのちゃきちゃきぢゃわいなう」 3.「江戸っ子のちゃきちゃき」から、江戸っ子のように勇み肌で、はきはきしている様子。 ★「ちゃくちゃく(嫡嫡)」の変化という<国語大辞典(小)>
・茶々を入れる(ちゃちゃをいれる)[=付ける] 文句を付ける。邪魔をする。妨害をする。妨(さまた)げる。 類:●水を注す●半畳を入れる
・ちゃっかり 抜け目ない様子や、図々しい態度を表わす言葉。 例:「妹はいつもちゃっかりおやつをせしめてくる」
・茶にする(ちゃにする)[=なす] 1.一休みして茶を飲む。休憩する。2.はぐらかして相手にしない。真面目に取り合わない。馬鹿にする。軽く見る。 類:●茶化す 用例:談・根無草−後「此大王を茶にしおるとは、言語道断」 3.人を利用して後は打ち捨てて放っておく。4.茶道の作法に適ったものにする。簡素で洒落(しゃれ)た風にする。 用例:滑・七偏人−初「万事茶にした家造り」 用例の出典:根無草(ねなしぐさ) (根無草・根南志具佐) 談義本。5巻5冊。平賀源内。宝暦13年(1763)刊。女形荻野八重桐の溺死事件を契機に、地獄巡りの趣向を取り入れ、当時の遊里や芝居の様子を中心に描写して、世相を穿(うが)ち風刺した作品。明和6年(1769)に、「根無草後篇」5巻5冊を刊行。
・茶になる(ちゃになる) 1.休憩の時間になる。2.つまらないものとして軽く扱える。軽視できる。3.骨折りが無駄になる。
・茶の木畑に入る(ちゃのきばたにはいる)[=に迷い込む・から出られなくなる] 迷路に迷い込んだように、出口が分からなくなってしまうことの喩え。思考や議論などの、収拾が付かなくなること。 類:●堂々巡り ★名古屋エリアで言われる言葉かという。
・茶の十徳(ちゃのじっとく) 茶を飲めば10種の徳があるということ。 ★10の徳目には諸説がある。明恵上人が蘆屋釜に鋳つけた茶の効能に、散鬱気・覚睡気・養生気・除病気・制礼・表敬・賞味・修身・雅心・行道とあるのに始まるという<国語大辞典(小)>
・茶飲み友達(ちゃのみともだち) 1.茶を飲みながら世間話などをする気のおけない親しい友達のこと。多く、老人同士の場合に使う。2.年老いて迎えた妻、もしくは夫のこと。
・茶腹も一時(ちゃばらもいっとき)
・茶番(ちゃばん) 1.茶の接待をする人。2.手近な物などを用いて行なう滑稽な寸劇や話芸。 ★江戸時代、芝居の楽屋で茶番の下回りなどが始めたからという<大辞林(三)> 3.目論見(もくろみ)などがすぐにばれてしまう、底が割れた馬鹿馬鹿しい振舞い。浅はかで見え透いた行ない。 類:●茶番劇 例:「とんだ茶番だ」
・茶坊主(ちゃぼうず) 1.武家に仕えて茶事を司(つかさど)った者。 類:●茶道坊主●数寄屋坊主 ★頭を剃(そ)っていたので坊主という<国語大辞典(小)> 2.茶坊主には、権力者に諂(へつら)いその威を借りて威張る者が多かったところから、権力者に諂う者を罵(ののし)って呼ぶ。
・ちやほや 1.子供を甘やかす様子。2.ご機嫌を取ったり、お世辞を言ったりすること。 例:「ちやほやと誉めそやす」 ★「蝶や花や」「蝶よ花よ」が縮まり「ちやほや」になった、というのが一般的な説。
・茶目(ちゃめ) 無邪気な面白い悪戯(いたずら)をすること。子供っぽく巫山戯(ふざけ)て、人を笑わせること。また、その人やそうした性質の子供。 例:「お茶目な性格」 ★「め」は「めかす」などの略、あるいは、「やつめ」などの接尾語「め」か。「目」は当て字<国語大辞典(小)> ★「茶」は、「茶化す」などの茶と同じで、「おどけること」の意味。
・ちゃら 1.冗談を言ってふざける。出任せを言う。 類:●出鱈目●茶化す 用例:洒・辰巳婦言「きついしゃれさ、などとちゃらかしても」 ★「ちゃらける=口から出任せを言うの意」から。 2.差し引きゼロにする。貸し借りなしにする。 ★「真っ新(まっさら)の「さら」が変化したものか。 3.なかったことにすること。 例:「話をちゃらにする」
・ちゃらんぽらん 好い加減で、無責任なこと。 例:「ちゃらんぽらんな男」 ★「ちゃら法螺(ほら)」の変化。「ちゃら法螺」は、口から出任せの嘘のこと。
・茶を言う(ちゃをいう) からかう。冷やかす 類:●茶化す●茶にする
・茶を点てる(ちゃをたてる) 抹茶に湯を入れて掻き混ぜて泡立たせる。茶の湯の作法に従って、茶を点じる。
・茶を濁す(ちゃをにごす) その場だけを巧く取り繕う。取り繕い誤魔化す。 類:●お茶を濁す
・茶を挽く(ちゃをいひく)[=扱(こ)く] 昔、茶は留守居(るすい)などに挽かせたり、暇な日の仕事としたりしたところから、暇で用事がないこと。特に、芸者・遊女などが、客が付かなくて暇である。 類:●お茶を挽く
・ちゃんちゃら可笑しい(ちゃんちゃらおかしい) あまりに馬鹿馬鹿しくて、真面目(まじめ)に取り合えない様子だ。 類:●笑止千万●片腹痛い ★「ちゃらける=口から出任せを言うの意」や「ちゃる=滑稽な言動をする・ふざけるなどの意」などの「ちゃ」を重ねて言ったものか。