−とか(toka)−
・兎角(とかく) 兎(うさぎ)の角(つの)のこと。実際にはないもの。 例:「兎角亀毛」
・兎角・左右(とかく) 1.雑多な事態が起こる様子。あれこれ。何やかや。様々。色々。 用例:竹取「何をもちてとかく申すべき」 2.しばしば生ずる事態である。得てして。どうかすると。ともすれば。「とかく浮世は住みにくい」 用例:虎寛本狂言・抜殻「とかく人といふ物は、此様な事をば、ゑて例にしたがる物じゃ」 3.種々の事情は別として。いずれにせよ。何はともあれ。兎も角も。兎に角に。 用例:謡曲・丹後物狂「さてもさても命は惜しいものかな、とかく投げられぬ」 4.「兎角の」の形で。あれこれと良くないこと。 例:「とかくの評判」 用例の出典@:抜殻(ぬけがら) 狂言。各流。使いの途中道ばたで酔い潰れた太郎冠者に、主人が懲らしめのため鬼の面を被せる。目を覚ました太郎冠者は、水に映った自分の姿に驚き、ついには自殺しようとするが、その弾みで面が脱げ、主人の仕業と気付いた太郎冠者は鬼の抜け殻だと言って主人にその面を見せる。 用例の出典A:丹後物狂(たんごものぐるい) 謡曲。井阿弥作。四番目物。勘当された子供が両親と生き別れになり、その菩提を弔おうとすると物狂いとなった父親が現れ、子供が死んだものと思いこんで狂乱する。僧の説法などでめでたく父子の名乗りを行なった。夫婦物狂いの「丹後物狂」は、「柏崎」と同様に二場形式の本格的な物狂い能であるが、歌舞的というより物語性が強いもの<花と幽玄の舘>
・兎角亀毛(とかくきもう) 兎に角が生えて、亀に毛が生える。この世にあるはずのないことの喩え。 出典:「述異記−上」「大亀生毛、而兎生角、是甲兵将興之兆」 殷(いん)の紂王(紀元前11世紀頃)の治世に大亀に毛が生え、兎に角が生えた。これは戦乱の起こる兆(きざ)しである。 出典:述異記(じゅついき) 中国の神話伝説の書。南朝斉の祖沖之(429〜500)の撰、10巻。または、南朝梁の任ム(460−508)の撰、2巻。祖沖之または任ムの撰と言われているが、実際には唐〜宋代(618−1269)に、任ムと同時代の書籍から集められたもの。盤古、蚩尤、神農などに関する小伝、故事が収められており、神話の資料として役立つものになっている。
・とかく近所に事勿れ(とかくきんじょにことなかれ) 近所に問題があれば自分にも何かと影響が出てくるので、何ごとも起きない方が良いということ。 類:●村には事勿れ 用例:大菩薩峠−小名路「近所にいるんなら近所にいるで、とかく近所に事勿れ」 ★単に「近所に事勿れ」とも言う。
・兎角の業(とかくのわざ) 死者を葬ること。火葬。 用例:山家集−中「とかくのわざ果てて」 ★副詞「と」に副詞「かく」が付いたもの。「兎角」「左右」は、当て字<国語大辞典(小)>
・蜥蜴の尻尾切り(とかげのしっぽきり) ここでの蜥蜴は金蛇(かなへび)のこと。カナヘビは捉えられそうになると己の尻尾を切って逃げることから、転じて、不祥事(ふしょうじ)の責任などを回避するため、上位の者が下位の者を切り捨てて、影響が自分に波及しないようにすること。
・度が過ぎる(どがすぎる) 普通の程度を甚だしく超える。 類:●酢が過ぎる●度を越す 例:「冗談にしては度が過ぎている」