−とこ(toko)−
・とことん ものごとの終わり。最後の最後。また、副詞的な使われ方で、徹底的に。 例:「とことん遣り抜きなさい」 参考:とことんの語源は、囃(はや)しのリズムの擬音語とされている。現在のような「徹底的に」や「最後まで」のような意味に用いられるようになったのは、『とことんやれ節』という明治元年(1868)の流行歌以降と考えられる。
・床に就く(とこにつく) 1.寝床に入る。就寝する。2.病気になって床に臥せる。
・床の海(とこのうみ) 寝床に涙が流れて海のようになること。寝床で泣く喩え。
・何処の馬の骨(どこのうまのほね)[=牛の骨] 素姓がはっきり分からない者を罵(ののし)っていう言葉。 類:●馬の骨
・何処の烏も黒さは変わらぬ(どこのからすもくろさはかわらぬ) どこの土地へ行ったところで、そう目新しいことはない。また、人間の本性はどこも変わりはないということ。 類:●何処の国でも屁は臭い
・床の間の置物(とこのまのおきもの) 床の間に置く飾りの品物という意味で、実権はないのに、上辺だけ高い地位に置かれている人物の喩え。
・床離る(とこはなる) 1.起きる。寝床から離れる。2.男女の関係が絶える。 用例:伊勢−13「年ごろあひ馴れたる妻、やうやう床離れて、つひに尼になりて」
・何処吹く風(どこふくかぜ) 1.人の言うことやすることなどを、まったく無視しているような様子。好い加減に聞き流す。 2.素知らぬ顔をする。 類:●どこを風が吹く●空吹く風
・何処方量もない(どこほうりょうもない) どこまでもきりがない。際限がない。
・何処も彼処も(どこもかしこも) 一箇所に限定せず、広く全体を覆(おお)っている様子。こんなところも全て。 例:「行楽地は何処も彼処も人だらけ」
・所変われば品変わる(ところかわればしなかわる)
・所嫌わず(ところきらわず)[=選(えら)ばず・構(かま)わず] 場所を気にしないで、どこでも構わず。場所を選ばないで。 例:「出物腫れ物所嫌わず」
・所狭し(ところせし・せまし) 1.場所が狭過ぎて収まり切らないほど一杯である。残された余地がない。 用例:枕−104「せばき縁に所せきひの御さうぞくの下襲」 用例:人情・仮名文章娘節用−三「もちあそびをところせましとならべたて」 2.精神的に窮屈だ。気詰まりだ。3.堂々としている。重々しく立派である。 用例:源氏−紅葉賀「いで給ふ気色所狭きを、人々端に出て見奉れば」 4.大袈裟だ。仰山だ。大層だ。 用例:堤中納言−はいずみ「ただ近き所なれば、車は所狭し」 5.扱い難(にく)い。面倒だ。難儀だ。鬱陶(うっとう)しい。 用例:源氏−末摘花「雨降り出でて所狭くもあるに」 用例の出典:堤中納言物語(つつみちゅうなごんものがたり) 物語集。平安末期? 作者未詳。10編の短編物語と1編の断章からなる物語集。世界最古の短編小説集。書名も謎とされている。因(ちな)みに、堤中納言は、 平安時代前期の歌人藤原兼輔の異称。
・心太式(ところてんしき) 心太が心太突きで突き出されるように、後から押されて自然に押し出されること。なんの苦労もしないで、押されるままに進んだり、ものごとを終えたりすること。また、そのような方式。 例:「心太式に部長に昇格した」
・所の法に矢は立たぬ(ところのほうにやはたたぬ) 自分の意に沿わないことでも、その土地の風俗や習慣、しきたりなどには従わねばならないということ。 類:●郷に入っては郷に従う●里に入りて里に従う
・所を得る(ところをうる・える) 1.良い場所を得る。良い時節に会って、勢いが盛んである。良い地位や境遇を得て得意になる。 用例:枕−156「えせものの所うるをり」 2.その人に適した職を得て力を発揮する。能力に適した地位や仕事に就く。
・所を置く(ところをおく) 場所を他人に譲(ゆず)る。控え目にする。遠慮する。 用例:前田本枕−一三「かたさり山こそ、誰れに所おきけるにかとをかしけれ」 用例の出典:前田本枕草子(まえだぼんまくらのそうし) 枕草子を、随筆章段と日記的章段とを分け、類聚再編したもの。現存する枕草子4系統(三巻本・能因本・前田本・堺本)の1つ。前2者が雑纂形態。後2者が類纂形態。今日広く読まれている『枕草子』は、三巻本<九州大学所蔵枕草子データベースから抜書き>
・所を異にする(ところをことにする) 本来あるべき場所と違うところを占める。主に、それぞれが、離れ離れになったり、入れ替わったりしているときに使う。 例:「主客所を異にする」
・床を上げる(とこをあげる) 寝るのに敷いていた布団を仕舞う。特に、病気が良くなって、臥(ふ)せっていた布団を片付ける。 類:●床を払う
・何処を押せばそんな音が出る(どこをおせばそんなねがでる) 何の根拠があってそんな馬鹿なことが言えるのか。何故そんな偉そうな口が利けるのか。勝手な言い分を咎める言葉。
・床を取る(とこをとる)[=延(の)べる] 寝所を設ける。布団を敷く。
・床を払う(とこをはらう) 病気が治って、寝ていた布団を片付ける。 類:●床を上げる