−とお(too)−
・遠網を掛ける(とおあみをかける) 遠くの方から網を入れて魚を捕るという意味から、それとなく罠を仕掛けておいて相手を陥(おとしい)れること。
・十日の菊(とおかのきく)
・遠きに行くに必ず邇きよりす(とおきにゆくにかならずちかきよりす) 遠いところに行こうとするときは、必ず近いところの第一歩から始める。なにごとも手近なことから始め、順序立てて堅実に進むべきであるということ。ものごとは一足(いっそく)飛びにできるものではないということ。 類:●高きに登るには卑きよりす●千里の行も足下に始まる 出典:「礼記−中庸・十五」「君子之道、辟如行遠必自邇、辟如登高必自卑」
・遠きを知りて近きを知らず(とおきをしりてちかきをしらず) 自分から見て遠いことは分かるが、近いことは分からない。他人のことは良く分かるのに、自分のことは案外分かっていないものであるということ。 類:●近くて見えぬは睫(まつげ)●灯台下暗し 故事:「淮南子−説山訓」 中国春秋時代、越(えつ)の大臣文種(ぶんしょう)は、王の勾践(こうせん)を助けて強国にしたが、讒言(ざんげん)によって死んだ。周(しゅう)の重臣萇弘(ちょうこう)も良い政治を行ないながら、腸(はらわた)を裂かれて死んだ。いずれも、遠大なこと「国家の将来」は知り得たが、近くのこと「自分の身の危険」は知ることができなかった。
・遠くて近きは男女の仲(とおくてちかきはだんじょのなか)[=男女の間] 男女関係というものは、少しも縁がなさそうなほど懸け離れていても、意外とひょんなきっかけで結ばれてしまうものだということ。 類:●縁は異なもの味なもの 出典:「能因本枕草子−一七一」「遠くてちかき物、ごくらく舟の道、男女の中」
・遠くの火事背中の灸(とおくのかじせなかのきゅう) 自分に関係のない大事よりも、実際に降り掛かってくる些細な難儀の方が辛く感じる。
・遠くの親類より近くの他人(とおくのしんるいよりちかくのたにん)
・十で神童、十五で才子、二十過ぎては只の人(とおでしんどう、じゅうごでさいし、はたちすぎてはただのひと) 幼少の頃は非常に優れていると思われていた子も、たいていは成長すると凡庸な人になってしまうこと。 類:●苗にして秀でざる者あり、秀でて実らざる者あり●A person at five may be a fool at fifteen. 反:■栴檀は双葉より芳し
・遠巻き(とおまき) 1.遠くの方から取り巻くこと。離れたところでぐるりと取り囲むこと。 類:●遠寄せ 例:「遠巻きにして見物する」 2.比喩的に、ものごとの核心に対して直接行動を仕掛けないで、自分自身を安全な場所に置くこと。 例:「外交問題から遠巻きにしている」
・通り一遍(とおりいっぺん) 1.通り掛かりに立ち寄った客で、平素からの馴染みではない人のこと。 用例:洒・広街一寸間遊「おなじみはかくべつ。<略>わたしどもはとふり一っへん」 2.事務的であったり、単なる義理としてしたりするだけで真心からの行いではないこと。上辺だけで誠意がないこと。 例:「通り一遍の挨拶をする」 用例の出典:広街一寸間遊(ひろこうじちょんのまあそび?) ・・・調査中。
・通りすがり(とおりすがり) 偶々(たまたま)行き掛かって、そこを通るついで。 類:●道のついで●通り掛け 例:「通りすがりに立ち寄る」 ★「すがり」は動詞「すがう(次)」の連用形の名詞化「すがい」の変化<国語大辞典(小)>