−とろ(toro)−
・とろくさい のろのろしている。生温(ぬる)い。まだるっこい。また、馬鹿馬鹿しい。 用例:洒・南遊記−四「今更こんな事をいふも鈍言(トロクサイ)が」 ★「とろい」の強調語。「くさい」は接尾語<国語大辞典(小)> 用例の出典:南遊記(なんゆうき) 洒落本。・・・調査中。 参考:南遊記(なんゆうき) 明代の小説。4巻18話。余象斗(よしょうと)。華光(=元から明の中国において、広範囲に信奉された神)の事跡を詳しく書いたもの。「西遊記」などと共に「四遊記」の一つ。
・泥仕合(どろじあい) 1.泥に塗(まみ)れて争うこと。2.転じて、互いに相手の弱点や秘密などを暴(あば)き立てて醜(みにく)く争うこと。また、その争い。 例:「与党と野党の泥仕合」 3.歌舞伎で、舞台に泥舟(どろぶね)を置き、その中で立ち回りを演じること。また、その立ち回り。 用例:膝栗毛−四「大津街道の泥仕合は、五篇目の打出しに載せたり」 参考:泥舟(どろぶね) 歌舞伎で、泥が入った箱を舞台に置き、泥の池や泥田に模(も)したもの。泥仕合いの立回りに使う。 ★「仕合」は「試合」とも書くが、一般に「泥試合」とは書かない。
・泥田を棒で打つ(どろたをぼうでうつ)[=に振る] 何の益もないことをする。分別もなく、無闇矢鱈(やたら)にものごとをすること。訳が分からないことをする。 類:●泥田に棒
・泥縄(どろなわ) 事が起こってから慌てて準備すること。 類:●泥棒を捕らえてから縄を綯う 例:「泥縄式の対応策」
・泥沼(どろぬま) 1.泥深い沼。2.一旦陥(おちい)るとなかなか抜け出せない悪い状態、悪い環境。 例:「泥沼の生活」「泥沼の十一連敗」
・泥のように眠る(どろのようにねむる) 疲れ果てて、正体もなくぐっすりと眠る。 ★語源については、未詳。「泥の如し(でいのごとし)」と関係のある言葉か。
・泥棒に追い銭(どろぼうにおいせん) 家から物を盗んでいった泥棒に更に金を与えるという意味から、輪を掛けて馬鹿げたことをすることの喩え。損の上にまた損を重ねること。 類:●盗人に追い銭 参考:「どろぼう」の語源 「どろ」は取、「ぼう」は坊で卑称、また「とりうばう(取奪)」の中略など、その他諸説ある<国語大辞典(小)>
・泥棒にも三分の道理(どろぼうにもさんぶのどうり)[=理] 盗人が盗みをするのにもそれなりの理由はあるという意味で、どんなことであろうと理屈を付けようと思えば付けられるということ。 類:●盗人にも三分の理あり
・泥棒猫(どろぼうねこ) 1.他人の家へ忍び込んで食べ物を盗む猫。 類:●盗人猫●どら猫 2.間男(まおとこ)や、他人の夫と密通した女を罵(ののし)って言う言葉。 類:●間夫(まぶ)
・泥棒の逆恨み(どろぼうのさかうらみ) 泥棒が、自分の悪事を忘れて、自分を捕(つか)まえた人を恨むこと。自分が悪いくせに、それを棚に上げて、他人を非難すること。 類:●泥棒が縄を恨む
・泥棒を見て縄を綯う(どろぼうをみてなわをなう)
・泥を被る(どろをかぶる) 他人の悪事や失策の責任を負う。損な役割りを引き受ける。
・泥を塗る(どろをぬる)[=擦(なす)る] 恥を掻かせる、面目を失わせること。 類:●顔に泥を塗る●面(つら)を汚す 例:「親の顔に泥を塗る」
・泥を吐く(どろをはく) 取り調べられ問い詰められて、隠していた悪事や犯行などを白状する。
・泥を踏む(どろをふむ) 足元が定まらない様子。よたよたする様子。 用例:虎明本狂言・薬水「今までは年よって、どろをふみやったが」 用例の出典:薬水(やくすい) 狂言。各流。「養老」の替間(かえあい)。 → 参考:養老(ようろう) 能楽の曲名。脇能物。各流。世阿弥。雄略天皇の御代、美濃国(岐阜県)本巣郡に霊水が湧き出た。勅使がその養老の滝を訪れ、そこにきた親子に養老の名の謂れを尋ねる。老人は、息子がこの水を飲んだところ、疲れが取れたので父母にも飲ませ、老いの養いとしたという謂れを語る。勅使が帰ろうとすると山神が現れ、泰平の世を祝い舞を舞う。
・どろんする・どろんを決め込む 俗語。姿を隠すこと。逃げて、姿を眩(くら)ますこと。 例:「海外へどろんする」 ★『東海道四谷怪談』で、岩の姿が消える際に太鼓が「どろんどろん」と鳴ったことによる。