−とし2(tosi2)−
・年の内(としのうち) 1.一年の間。年中。 用例:源氏−薄雲「としのうちゆきかはる時々の花もみち」 2.その年のうち。年内。 用例:古今−一「年の内に春はきにけり」
・年の功(としのこう) 年をとって経験が豊富になったこと。また、その経験の力。 例:「亀の甲より年の功」
・年の瀬(としのせ) 年の暮れ。年末。 類:●歳暮●歳末 ★「年を越せるかどうか」は、江戸時代の庶民にとっては重大事であり、その大変さを、流れの急な「瀬」に喩えたもの。渡り切れなければ、死あるのみということ。
・年端も行かぬ(としはもいかぬ) 年のほどが一人前に到達していない。まだ年齢が幼いこと。
・綴じ目を合わす(とじめをあわす) 1.辻褄を合わせる。2.約束を守る。
・疾しや遅し(としやおそし) 1.急いでもなお遅いと思えること。非常に急ぐ様子。慌てふためく様子。 用例:浄・桂川連理柵−下「としや遅(オソ)しと走りくる」 2.すぐさま。早速。速やかに。 用例:浄・近江源氏先陣館−九「としやおそしと納戸を出で」 用例の出典:桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ) 浄瑠璃。世話物。2段。菅専助(すがせんすけ)。安永5年(1776)大坂北堀江座初演。信濃屋の娘お半と隣家の四十男帯屋長右衛門とが伊勢参りの石部の宿での契(ちぎ)りから、お半は懐妊、二人は桂川で心中する。通称「お半長右衛門」。
・徒手空拳(としゅくうけん) 何も持たないこと。また、自分の身一つだけで頼むべきものがないこと。事業などを始めるのに資本が全く無いこと。
・泥鰌の地団太(どじょうのじだんだ) 自分の力が弱いのを弁(わきま)えないで、強い者に立ち向かうことの喩え。 類:●蟷螂(とうろう)の斧●石亀の地団太●ごまめの歯軋り
・徒食(としょく) 何も仕事をしないで、ぶらぶらと遊び暮らすこと。 類:●座食●居食い●食い倒れ
・屠所の羊(としょのひつじ) 屠所に引かれてゆく羊。 1.刻々に死期が迫っていることの喩え。2.不幸や破局に直面して気力を失い、悲しみに打ちひしがれた様子。 類:●生け簀の鯉●牲(にえ)に赴く羊 出典@:「北本涅槃経−三八」「如因趣市歩歩近死。如牽牛羊詣於屠所」 出典A:「平治物語」
・年寄りの言うことと牛の鞦は外れない(としよりのいうこととうしのしりがいははずれない) 経験に裏打ちされた老人の意見には、間違いや見当外れが少ないものである。 類:●亀の甲より年の劫●老いたる馬は道を忘れず●親の言葉と茄子の花は千に一つの無駄もない ★「鞦」は、牛や馬の尻に掛けて、鞍(くら)や車の轅(ながえ)を固定させる紐(ひも)のこと。
・年寄りの冷や水(としよりのひやみず)
・年を食う(としをくう) 年齢を重ねる。老齢になる。 類:●年を取る●年を拾う●年を重ねる
・どじを踏む(どじをふむ)[=食う・組む・働く・張る] 間抜けなことをする。失敗する。 類:●へまをやる
・歳を翫び日を貪る(としをもてあそびひをむさぼる) 1.歳月や時間のことばかり気にして、本来の職務を蔑(ないがし)ろにすること。 出典:「春秋左氏伝−昭公元年」「后子出、而告人曰、趙孟将死矣。主民、翫歳而ケイ[心+曷]日、其与幾何」 2.徒(いたずら)に歳月ばかりを貪り過ごすこと。