−とち(toti)−
・とち狂う(とちぐるう・とちくるう・どちぐるう) 1.巫山戯(ふざけ)る。戯(たわむ)れる。 用例:雑俳・柳多留−一一「とち狂ふふりで袂へ文を入れ」 2.それが正しいと勘違いする。判断を誤まる。 例:「何をとち狂ってしまったのか」 ★「とち」は接頭語<国語大辞典(小)> ★昨今では清音で「とちくるう」と読まれることが多い。 参考:とち 〔接頭〕名詞や動詞に付いて、そのものが愚かである、ふざけたさまである意を表す。「とちあま」「とち食らう」「とち狂う」など<国語大辞典(小)>
・橡麺棒を食らう(とちめんぼうをくらう)[=食う・振る] 非常に慌てる。非常にうろたえる。 類:●面食らう 用例:俳・俳諧洗濯物−夏「夕立にとちめんほうをふる野哉」 ★「とちめく坊」の転か。一説に、栃麺は粘り気が乏しいために麺棒を忙しく扱うことからという<大辞林(三)> 用例の出典:俳諧洗濯物(はいかいせんたくもの) 俳諧。椋梨一雪(むくなしいっせつ)撰。寛文6年(1666)。・・・調査中。
・とちる 1.舞台などで、役者がうろたえて拍子を失い、台詞(せりふ)や仕種を間違える。浄瑠璃・歌舞伎の社会で用いられた語。 用例:黄・盧生夢魂其前日「みんなとちらぬやうにしやれ」 ★他動詞的にも用いる<国語大辞典(小)> 2.一般に、うろたえる。まごまごする。慌てる。 用例:雑俳・神酒の口「すっこんだ・五歩せん番で句がとちる」 3.やり損なう。失敗する。 ★他動詞的に用いる<国語大辞典(小)> 類:●へまをする 例:「卒業式の答辞をとちる」 ★「とち」は、「とちめく」の「とち」<国語大辞典(小)> ★「とちめんぼう」の「とち」を活用させたもの<大辞林(三)> 用例の出典@:盧生夢魂其前日(ろせいがゆめそのぜんじつ) 黄表紙本。山東京伝。・・・調査中。 用例の出典A:神酒の口(みきのくち) 雑俳。・・・調査中。