−とつ(totu)−
・とつおいつ 1.手に取ったり下に置いたりするという意味。ああしたりこうしたりして。あれこれと手立てを尽くして。 用例:集成本狂言・節分「最前からとつおいつ口説けども承引めされぬ」 2.ああすれば良いかこうすれば良いか、決心が付かない様子。あれやこれやと。 用例:浮・沖津白浪−五「取つ置(ヲイ)つ他人雑ずに夫婦相談示し合」 ★「取りつ置きつ」から転じた「とっつおいつ」の変化<国語大辞典(小)> 用例の出典@:節分(せつぶん) 狂言。各流。節分の夜、蓬莱島(ほうらいじま)の鬼が来て女を口説く。女は妻になるからと偽り、隠れ蓑、隠れ笠、打出の小槌などを貰うと、豆を撒いて鬼を追い出す。 用例の出典A:裙模様沖津白浪(つまもようおきつしらなみ) 四世鶴屋南北の合巻。通称「奴の小万」。・・・詳細調査中。 参考:集成本狂言(しゅうせいぼんきょうげん) ・・・調査中。 
・取っ替え引っ替え(とっかえひっかえ) 「取り替え引き替え」の変化。あれやこれやと次々取り替えて。代わる代わる。 例:「取っ替え引っ替え顔を出す」
・取っ替え兵衛(とっかえべえ) 1.江戸時代に「取っ替えべえ取っ替えべえ」と呼ばわって売って歩いたことから、鍋・釜・キセル・折れ釘などの古鉄(ふるかね)類と引きかえに飴を売り歩いた行商人。 ★正徳年間(1711〜16)に、江戸浅草俵町紀の国屋善右衛門が紀州道成寺の僧のために、同寺の鐘を建立しようとしたのが始め。 2.転じて、女郎が名代(みょうだい)を出して他の客へ売ること。 類:●貰(もら)い 用例:柳多留−一八「素一歩(すいちぶ)は取替え兵衛がこわいなり」 3.取り替えること。交換すること。
・ドッグイヤー(どっぐいやあ) 新語。 1.犬は人間の約7倍の速さで成長し老いていくことから、通常なら7年で変化するような出来事が1年で変化すること。特に、IT(情報技術)分野における革新のスピードが早いことを指して言う。 ★英語「dog year」から。 ★最近では「マウスイヤー」(18年)に加速しつつあるとも言う。 2.ものごとの変化が目まぐるしいことの喩え。
・毒気に当てられる(どっけにあてられる・どっきに〜) 相手の人を食った言動を目前にして唖然(あぜん)とする。
・毒気を抜かれる(どっけをぬかれる・どっき〜)[=取られる] 1.酷(ひど)く驚かされる。 類:●度肝を抜かれる 2.呆然とさせられる。特に、相手を遣り込めようと気負い立った者が、予想外の出方をされたために気勢を削(そ)がれる様子。 類:●毒気を取られる●気勢を殺がれる
・疾っくの昔(とっくのむかし)[=先] 随分前。ずっと前。 類:●疾うの昔
・どっこい 1.力を入れたり、弾みを付けて何かをしたりするときの掛け声。 類:●どすこい●どっこいしょ 用例:滑・浮世風呂−前「アア、糞だ。どっこい<トとびのき>」 2.相手の行動や言葉などが不満で、それを遮(さえぎ)るときに発する言葉。 用例:浄・国性爺合戦−千里が竹「後より和藤内どっこいやらぬと顕れ出」 例:「どっこい、世の中そんなに甘くない」 3.民謡などの囃(はや)し言葉。 ★「どこへ(何処)」の変化という<国語大辞典(小)>
・どっこいしょ 1.力を入れたり、弾みを付けて動いたりするときに発する言葉。 類:●よいしょ 例:「どっこいしょと荷物を担ぐ」 2.民謡などの囃子詞(はやしことば)。 例:「草津よいとこ一度はおいで、どっこいしょ」 ★「何処(どこ)へ」から変化した「どっこい」に強調の「しょ」を添えたものか。また、仏教用語の「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」が変化したものかとも言う。
・どっこいどっこい 1.ありったけの力を出してやっとのことでことを行なうこと。やっとこ。 用例:雑俳・机の塵「どっこいどっこい・高野へ中風一人旅」 ★掛け声の「どっこいしょ」から<国語大辞典(小)> 2.互いに同じくらいで優劣がない様子。伯仲している様子。 類:●とんとん●似たり寄ったり●好い勝負 例:「彼らの腕前はどっこいどっこいだ」 用例の出典:机の塵(つくえのちり) 狂歌集。永田(油煙斎)貞柳・貞竹。享保20年(1735)。・・・詳細調査中。
・取ったか見たか(とったかみたか) 手に取って見るか見ないかのうちにという意味で、あっという間であること。また、収入を得た傍(そば)からすぐに使ってしまうこと。 用例:洒・二日酔巵帚「とっ鷹見たかに筆をとり」 用例の出典:二日酔巵帚(ふつかよいおおいさかずき) 洒落本。万象亭(森島中良)。天明4年(1784)刊。・・・調査中。
・どっちへ転んでも(どっちへころんでも) 二つのうちのどちらになったとしてもという意味で、いずれにしろ結果的には大きな差がないこと。 類:●どっち道●どの道
・取っ締める(とっちめる) 1.手に取って締め付ける。弛(ゆる)みなく締め付ける。2.十分身に付ける。 用例:俳・やっこはいかい「学文を身にとっちめてする比に」 3.厳しく叱る。厳重に戒める。また、遣り込める。遣っ付ける。酷(ひど)い目に会わせる。 例:「悪い奴を取っちめてやる」 ★「取って締める」の転<大辞林(三)> 用例の出典:やっこはいかい 雑俳。寛文(1661〜)頃? 近世初期、江戸で流行した奴詞(やっこことば)を用いて作られた俳諧。・・・調査中。
・どっちもどっち 当事者双方ともに同じ程度に悪いこと。両方ともあまり良くないこと。
・父ちゃん坊や(とっちゃんぼうや) 十分に年を取った大人(おとな)なのに、容貌やしぐさに子供のような一面がある人のこと。多く、侮蔑的に使う。 類:●父ちゃん小僧●童顔
・取って置き(とっておき) 1.貴重品などを大事に仕舞っておくこと。後日、いざという時のために、品物などを蓄えておくこと。また、そのもの。 類:●取っとき 例:「取って置きのへそくり」 2.大事にして人前に出したがらない人という意味から、秘蔵の人。愛人。愛妾。3.特に、大事に仕舞っておいて稀に着る着物。晴れ着。 類:●一張羅
・取って返す(とってかえす・かやす) 進行した状態や進んだ地点から、初めの状態・地点へ戻る。途中から引き返す。 例:「旅先から取って返す」
・取って代わる(とってかわる) 他の人の地位を奪い、自分がそれに就く。 例:「魏(ぎ)に取って代わった晋(しん)も間もなく滅んだ」
・取って付けたよう(とってつけたよう) 言動・態度・格好が不自然でわざとらしい様子。 例:「取って付けたようなお世辞」
・取って出る(とってでる)[=出(ず)] 飛び出す。駆け出る。
・取って退く(とってのく) 退(しりぞ)く。遠ざかる。
・取っても付かぬ(とってもつかぬ)[=付かれず] まったく寄せ付けようとしない。素っ気なくあしらう。
・咄咄人に逼る(とつとつひとにせまる) 詩文や書画などに感銘を受けて、誉める言葉。 出典:「世説新語−排調」
・突拍子もない(とっぴょうしもない) 並外れている。とんでもなく調子外れである。 類:●とんでもない 例:「突拍子もない発想」 ★「ない」は強調の意を添える<国語大辞典(小)>
・どつぼに嵌まる(どつぼにはまる) どうしようもない酷(ひど)い状態に陥(おちい)る。 類:●二進も三進もいかない ★「どつぼ」は、関西方言で「肥溜め」のこと。 ★「野壺(のつぼ)」と関連のある言葉か、とも言う。