−つけ(tuke)−
・付け上がる(つけあがる) 相手の寛大さに付け込んで増長する。好い気になって思い上がる。 類:●図に乗る 用例:人情・春色梅児誉美−四「下から出りゃア付(ツケ)あがり」
・付け入る(つけいる) 1.敵が退くのに乗じて、攻勢に出る。2.相手の気持ちや隙に乗じて、自分の利を図る。機会に乗じる。 類:●付け込む 用例:評判・色道大鏡−一「言葉質をとり、わきへすべらせずつけ入りて」 例:「付け入る隙もない」 3.相手が気を許すのに乗じて入り込み、機嫌(きげん)を取って自分の利を図る。 用例:浮・好色二代男−一「太夫につけ入、枕の前後をはなれず」
・付け込む(つけこむ) 1.相手の気持ちや隙に乗じて、自分の有利を図る。好機を捉えてうまく利用する。 類:●付け入る 用例:浮・傾城禁短気−五「此方の弱身を見せると、それからつけ込(コミ)て」 例:「相手の無知につけこむ」 2.予(あらかじ)め約束しておく。前もって申し込む。 用例:伎・小春穏沖津白浪−三幕「初会馴染ぢゃあ前びろから付込んでなくちゃあ」 用例の出典:小春穏沖津白浪(こはるなぎおきつしらなみ) 歌舞伎。河竹黙阿弥。元冶元年(1864)。小狐礼三と日本駄右衛門、船玉お才の三人が、兄弟の契りを結ぶ。重宝探索のお家騒動に、三人の盗賊が絡む。通称「小狐礼三(れいざ)」。
・付けにする(つけにする) 1.馬鹿にする。愚か者として取り扱う。出汁(だし)に使う。 用例:洒・辰巳之園「煙草のんだの、馬を呑だのと<略>人を付(ツケ)にした」 2.支払いを一定期間まとめて、後で支払うようにする。 用例の出典:辰巳之園(たつみのその) 洒落本。明和7年(1770)。夢中散人(寝言先生)。江戸深川を舞台に、遊里の様子を描いたもの。半可通(はんかつう)の男と野暮な田舎侍に対して、通人とその相方の遊女との愛を配して、遊興の世界を巧みに穿(うが)った作品。
・付け焼き刃(つけやきば) 1.鈍(なまくら)刀に鋼(はがね)の焼き刃を付けたしたもの。2.一時の間に合わせに、俄(にわ)かに覚えた技術や知識。 例:「付け焼き刃の勉強では試験にパスしない」 3.入れ知恵。