−つめ(tume)−
・爪が長い(つめがながい) 欲が深い。貪欲(どんよく)である。 用例:浄・関取千両幟「おお、どうで鷲か(くまたか)か、爪の長い猿松め」 用例の出典:関取千両幟(せきとりせんりょうのぼり) 浄瑠璃。近松半二・三好松洛・竹田文吉・竹田小出・八民平七・竹本三郎兵衛。明和4年(1767)。竹本座初演。当時の花形力士をモデルとして義侠心を描いた九段構成の世話物。
・爪が伸びる(つめがのびる) 大変に欲が深くなって、きりがないほどものごとを求める様子の喩え。
・詰め込む(つめこむ) 1.物を入れ物に一杯詰める。 例:「鞄(かばん)に詰め込む」 2.知識などをできる限り記憶する。無理に記憶させる。 例:「試験範囲を頭に詰め込む」 3.多くの人を狭い場所に無理に入れる。 例:「乗客を詰め込んだ通勤列車」 4.腹一杯食べる。たくさん食べる。 例:「飯を詰め込む」
・冷たい戦争(つめたいせんそう) 英語cold warの訳語。 1.第二次世界大戦後、特に1947年以降の、アメリカを中心とする資本主義陣営とソ連を中心とする社会主義陣営(東西両陣営)の対立抗争状態。実際に戦火を交える戦争に対比していう。 類:●冷戦 2.お互いが、表に現わさないで心の中でいがみ合うこと。
・冷たくなる(つめたくなる) 1.熱が冷める。冷える。2.死ぬ。死んで体温がなくなる。3.愛情が冷めて冷ややかになる。冷淡になる。 類:●余所余所しくなる
・爪で拾って箕で零す(つめでひろってみでこぼす) 1.僅(わず)かずつ苦労して貯えたものを一度に無造作に使い果たすこと。 類:●枡で量って箕で零す●耳掻きで集めて熊手で掻き出す 2.収入は僅かなのに支出は莫大であること。
・爪に爪なく瓜に爪あり(つめにつめなくうりにつめあり) 「爪」と「瓜」の良く似た字形の違いを分かり易く教えた言葉。
・爪に火を灯す(つめにひをともす)
・爪の垢(つめのあか) 1.爪と指の間に溜まった垢。2.下に「程(ほど)」を付けて、極めて少量のもの。または取るに足りないもののこと。ごく僅か。 類:●雀の涙
・爪の垢を煎じて飲む(つめのあかをせんじてのむ)
・爪の星(つめのほし) 爪にできる白い斑点。これが出ると衣類が新調できる、衣類が貰えるとか、良いことがあると信じられた。
・爪も立たぬ(つめもたたぬ) 人などがぎっしりと詰まっていて少しも余地がない。 類:●立錐の余地も無い
・詰め寄る(つめよる) 1.近くまで迫り寄る。2.激しい勢いで返答を求めたり、抗議したりする。 例:「責任者を出せと詰め寄る」
・爪を隠す(つめをかくす) 才能を表面に現さない喩え。 類:●能ある鷹(たか)は爪を隠す
・爪を食う(つめをくう) 指先を噛(か)む。気後れしてはにかみ、もじもじする。 類:●爪を銜える
・爪を銜える(つめをくわえる) 1.心の中でうらやましく思いながら、手だしできないでだまって見ている。 類:●指を咥える 2.はにかんで、もじもじする。 類:●爪を食う
・爪を研ぐ(つめをとぐ) 1.爪を鋭くする。獣が爪を磨く。2.準備して獲物を待ち構える。野心を抱いて、それを遂げる機会を狙う。 類:●牙を研ぐ
・爪を弾く(つめをはじく) 1.不満の気持ちを表わす。 用例:宇津保−祭の使「季英つめをはじき、天を仰ぎて候ふ」 2.爪弾(つまはじ)きをする。他人を嫌って排斥(はいそ)する。