−つつ(tutu)−
・津々浦々(つづうらうら・つつうらうら) 1.至るところの港や海岸。あちこちの港や海岸。2.転じて、国中(くにじゅう)遍(あまね)く。全国の至るところ。
・恙無し(つつがなし) 健康である。故障や異常がない。 用例:太平記−五「源氏の世に恙(ツツガ)無く候ける」 例:「恙無く毎日を送る」 出典@:「戦国策−斉」「歳亦無恙耶、民亦無恙耶、王亦無恙耶」 出典A:「楚辞−九弁(宋玉作)」「ョ皇天之厚徳兮、還及君之無恙」 参考:恙(つつが) 病気などの災難。患(わずら)い。病(やまい)。虫が人の腹に入って人の心を食うと考えられていたことによる。
・突っ慳貪(つっけんどん) 刺々しくものを言ったり、乱暴な振る舞いをしたりすること。 類:●無愛想●けんもほろろ 例:「つっけんどんな態度」
・突っ突き回す(つっつきまわす)・突突き回す 何度も何度も突く。あちこちを手当たり次第に突く。 例:「膳の上を突っ突き回す」
・筒抜け(つつぬけ) 1.筒の底が抜けていること。遮(さえぎり)り止める底がないこと。2.話し声や音などが、そのまま他の人に聞こえること。 例:「隣の部屋の話が筒抜けだ」 3.談話・相談・計画などの内容がそっくり第三者に伝わること。話したことがすぐに他人に漏(も)れること。 例:「秘密が筒抜けになる」 4.雨が激しく漏ること。
・突っ撥ねる(つっぱねる) 1.突き飛ばす。2.物を突き返す。3.提案などを、手厳しく撥ね付ける。拒絶する。 例:「和睦の申入れを突っ撥ねる」 ★「つきはねる」の転。
・突っ張る(つっぱる) 1.強く張る。伸張する。また、身体(からだ)などが固くなって反(そ)り返る。2.自分の主張を通そうと、強硬な態度で行動する。 類:●我意を張る 用例:伎・お染久松色読販−序幕「その方はナ、気遣ひなしにつっぱれつっぱれ」 3.ある気持ちが非常に強く心に漲(みなぎ)る。 用例:滑・浮世風呂−二「此子の様な、いぢのつっぱった子はねへよ」 例:「欲の皮が突っ張っている」 4.見張りや客引きなどで戸外(こがい)に立つ。 用例:洒・浪花色八卦「門口につっはって鼻へ声を入れ顔でまねいて」 5.荒くれのような態度を取って虚勢を張る。 例:「高校時代は突っ張っていた」 6.材木など、棒状のものを押し当てて強く支える。また、腕や脚などを伸ばして強く押す。 用例:浄・女殺油地獄−中「母がつっぱる朸の先」 7.相場で、強引に売りまたは買いを続ける。8.相撲で、突っ張りをする。 ★「突き張る」の転。
・包み隠す(つつみかくす) 1.物を覆(おお)って、外から見えないようにする。 用例:源氏−蛍「ほたるを<略>包みおきて、光をつつみかくし給へりけるを」 2.秘密にして、他人に知られないようにする。 例:「包み隠さず白状しなさい」 用例:夜の寝覚−四「内の御文に心入れ給はで、なほつつみかくさむの御心よろしくて」
・鼓を鳴らして之を攻む(つづみをならしてこれをせむ) 1.太鼓を打ち鳴らして敵陣に攻め込む。2.転じて、人の非や罪状を殊更(ことさら)に言い立てて、声高(こわだか)に非難することの喩え。 故事:「論語−先進」「非吾徒也、小子鳴鼓而攻之可也」 魯(ろ)の季(き)氏が権力を恣(ほしいまま)にして周公以上の富を蓄えた。孔子の弟子の冉求(ぜんきゅう)は増税を定めて、季氏の富を増やすことに努めた。これについて、孔子が弟子たちに向かって言った言葉。
・美人局(つつもたせ) 1.偽物(にせもの)を掴(つか)ませて、詐欺(さぎ)をすること。いんちきをすること。 ★もと博徒(ばくと)の語で「筒持たせ」の意か<国語大辞典(小)> 2.女が夫や情夫と共謀して他の男を誘惑し、最後に共謀の男が現れて、それを元にして脅し、金銭などを強請(ゆす)り取ること。 類:●馴れ合い間男 出典:「武林旧事」 中国の元の頃、娼妓を妾と偽って少年などを欺(あざむ)いた犯罪を言ったのに始まる。 ★「美人局」は、当て字・借字。 出典:武林旧事(ぶりんきゅうじ) 随筆集・繁盛記。南宋。周密(しゅうみつ)。1290年前後か。10巻。官僚として建康や臨安などに暮らしたときの記憶を辿(たど)り、これらの都市の繁華を記録したもの。