−つゆ(tuyu)−
・露聊かも(つゆいささかも) 下に打ち消しの言葉を伴って、少しも。全く。 例:「露聊かも疚(やま)しいことはない」
・露知らず(つゆしらず) 「露」は「少しも・まったく」という意味。まったく知らなかった。 例:「そんなことになっているとは露知らず」
・露の命(つゆのいのち) 露のように儚(はかな)い命。 類:●露命
・梅雨の入り(つゆのいり) 梅雨の季節に入ること。暦の上では芒種(ぼうしゅ)の後の壬(みずのえ)の日に入るという。気象学的には日本付近に前線が停滞し雨が降り易くなるときで、五月下旬〜六月上旬に当たるが、年による変動がかなり大きい。 類:●入梅(にゅうばい)
・露の台(つゆのうてな) 「露台(ろだい)」の訓読み。舞いなどを演ずる所で、屋根のない床張りの台。
・露の底(つゆのそこ) 露にしっとり濡れた草などの下。
・露の間(つゆのま) 露が結ばれてから消えてしまうまでの間。露が降りている間。転じて、僅(わず)かの間。 用例:謡曲・松風「露の間も忘らればこそあぢきなや」 用例の出典:松風(まつかぜ) 能楽の曲名。三番目物。各流。古い能の「汐汲(しおくみ)」をもとにした観阿弥の原作を世阿弥が改作したという。女物の典型的作品。古名「松風村雨」。旅僧が須磨の浦を訪れ、潮汲車を引きながら塩屋にもどってきた二人の海女(あま)に宿を請う。僧が在原行平の古跡の松を弔ったことを語ると、二人は自分たちは行平に愛された松風・村雨という海女の霊だと語る。そのうちに松風は恋慕のあまり、行平の形見の烏帽子狩衣をつけて舞を舞う。 人物:観阿弥(かんあみ) 南北朝時代の能役者、能作者。実名は結崎清次。伊賀国(三重県)の人。1333〜84。観世流の祖。世阿弥元清の父。幼名観世丸。大和猿楽四座の一つ結崎座を結成、のち足利義満の後援を得て栄えた。猿楽に田楽能、曲舞の長所を取り入れ、能の音曲を革新して能の基礎を確立した。作品「卒都婆小町」「自然居士」など。
・露の身(つゆのみ) 露が消え易いように、脆(もろ)く儚(はかな)い身。命儚い人の身。
・露の宿(つゆのやど) 露が降りている宿。露の多い野中の宿。 類:●露の宿り
・露の宿り(つゆのやどり) 1.露の多い野中の宿。 類:●露の宿 2.露が降りるところ。
・露の世(つゆのよ) 露が消え易いように儚(はかな)いこの世。無常の世の中。
・露ばかり(つゆばかり) 僅かばかり。少しばかり。 用例:源氏−澪標「心のみ動くに、露ばかりなれど、いとあはれに、かたじけなく思(おぼ)えて」
・露ほども(つゆほども) 下に打ち消しの言葉を伴って、少しばかりも。僅かばかりも。 類:●僅かばかりも 例:「露ほども違わない」
・露も(つゆも) 少しでも。僅かでも。 用例:竹取「露も、物空にかけらば、ふと射殺し給へ」
・露分く(つゆわく) 露が降りた草原などを、押し分けて進む。
・露を打つ(つゆをうつ) 「露」は小粒銀、豆板銀のこと。祝儀を与える。心付けをする。
・露を片敷く(つゆをかたしく) 露深い草の中に衣を敷いて独り寝る。