−うき(uki)−
・浮き足立つ(うきあしたつ・だつ) 1.踵(かかと)が上がって、爪先立ちとなる。2.不安を感じて逃げ出しそうになる。また、そわそわして落ち着かなくなる。 類:●逃げ腰になる
・浮き足になる(うきあしになる) 1.戦いで負けそうになり、今にも逃げ出そうとする。 類:●逃げ腰になる●浮き足立つ 用例:播州佐用軍記−下「小田垣等が兵色めき浮足に成を見て」 2.不安や期待で、落ち着かなくなる。 用例の出典:播州佐用軍記(ばんしゅうさよぐんき) 軍記。川島正友。川島忠左衛門正友の慶長6年(1601)跋。川島忠兵衛好和の明暦元年(1655)序。上下2冊。羽柴秀吉が天正5年(1577)冬、中国地方平定の軍を進め、播磨国佐用郡の播磨国佐用郡の上月城・福原城を攻略した合戦の模様を記した合戦記。
・浮き木に会える亀(うききにあえるかめ・うきぎ〜)・浮き木の亀 極めて得難い機会に巡り会うこと。 類:●盲亀の浮木 出典:「涅槃経」 参考:「阿含経」などの仏教の説話 百年に一度だけ浮上して頭を出すという盲目の亀が、海上に漂流している孔(あな)のある浮木に会い、その孔に偶々(たまたま)頭を突っ込んでしまうという、非常に確率の低い偶然が起こる。
・浮き草(うきくさ) 1.水面上に浮かんで生育する草の総称。 類:●根無し草 2.浮き草の根が水中に垂れて固定しないことから、人の世の定めないことに喩え。多く「浮き」を「憂き」に掛けて用いる。 用例:古今−九三八「わびぬれば身をうき草のねをたえて」 3.定住しない者や、一箇所に居付かない者の喩え。 類:●根無し草
・浮き草稼業(うきくさかぎょう) 1.浮き草のように不安定で一定の場所に根を下ろさない職業のこと。旅芸人や香具師(やし)など。2.転勤が多い職業。
・浮き沈み七度(うきしずみななたび) 人生は浮き沈みの繰り返しであり、順調なときもあれば、不調のときもあるということ。 類:●浮き沈みは世の習い●沈む淵あれば浮かぶ瀬もあり
・雨奇晴好(うきせいこう) 晴天・雨天いずれも景色が優れていること。 類:●晴好雨奇 出典:蘇軾の詩「飲湖上初晴後雨詩」
・浮き名を流す(うきなをながす) 「浮き名」は元来は、「憂き名」とも書き、憂鬱で嫌な評判ということ。悪い評判が世間に広まること。特に、色事に関する世間の評判、取り沙汰を指す。 類:●艶聞(えんぶん)を広める
・憂き節繁き川竹(うきふししげきかわたけ) 辛く悲しいことの多い身を、河竹の節の多いことに掛けていう。女、特に遊女の身の上を言う。 類:●浮き川竹の流れの身●川竹の流れの身
・憂き身を窶す(うきみをやつす) 労苦も嫌がることなく、形(なり)振りも構わないで熱中する。 例:「恋に憂き身をやつす」 用例:浄・丹波与作待夜の小室節−中「うき身やつすは親の為」
・浮き世に鬼はない(うきよにおにはない) 世の中は無情に見えるが、人情はどこに行ってもあるということ。 類:●渡る世間に鬼はない
・浮き世の沙汰は金次第(うきよのさたはかねしだい) この世のことは全て金で方(かた)が付く。
・浮き世の情け(うきよのなさけ) この世に住む人間同士の情け。人の世の慈悲。 類:●渡る世間に鬼はなし
・浮き世の習い(うきよのならい) 人の世の、逃れられない決まり事や習わし。 類:●浮き世の常●浮き世の関
・浮き世は一分五厘(うきよはいっぷんごりん)[=三分五厘] この世の諸々は、それほど値打ちがあるものではないということ。 ★一説に「一分五厘」は一人一日の米代という<国語大辞典(小)>
・浮き世は牛の小車(うきよはうしのおぐるま)[=車の輪] 「牛」を「憂(う)し」に掛けて言ったもの。この世の因果が巡り来る様子を、車に喩えた言葉。