−うま(uma)−
・旨い汁を吸う(うまいしるをすう) 自分では骨を折らないで利益だけを得る。 類:●甘い汁を吸う
・馬が合う(うまがあう) 気が合う。しっくりとゆく。 類:●意気投合する●意気相投ず ★馬とその乗り手の呼吸がぴったり合うの意からの語か<国語大辞典(小)>
・馬方船頭お乳の人(うまかたせんどうおちのひと)[=遣り手の果て]  1.人の弱みに付け込んであくどい強請(ゆす)り集(たか)りをする者の代表的なもの。 類:●馬追い船頭お乳の人 2.言葉使いが乱暴な者。
・馬勝った、牛負けた(うまかった、うしまけた) 地口(じぐち)の一つ。 美味しい物を食べた後に言う。 類:●大石勝った吉良負けた
・倦まず撓まず(うまずたゆまず) 飽きたり怠けたりしないで。
・馬と猿(うまとさる) 仲が良い間柄。 ★猿は馬屋の守護で、正月のうまや祭には猿の絵馬が用いられた<国語大辞典(小)>
・馬に経文(うまにきょうもん) = 馬の耳に念仏
・馬に乗るまで牛に乗れ(うまにのるまでうしにのれ) 速い馬に乗る前に鈍(のろ)い牛に乗って慣れる必要があるということから、高い地位に就くためには、その前に低い地位にあって努めなくてはならないということ。また、出世には段階があるということ。
・馬には乗ってみよ、人には添うてみよ(うまにはのってみよ、ひとにはそうてみよ) 馬の良し悪しは実際に乗ってみなくては分からず、人柄の良し悪しも一緒に暮らしてみなければ分からない。何事も自分で直接確かめてみなさいということ。 類:●百貫の鷹も放さねば知れず
・馬の籠脱け(うまのかごぬけ) 馬が籠抜けの軽業(かるわざ)をするのは無理だということから、無理を承知ですること。また、窮屈で困ることの喩え。 類:●牛の籠抜け
・馬の小便(うまのしょうべん) 薄いお茶や、生温(ぬる)いお茶のこと。 ★これは雌馬が尿をする際、少しづつちょろちょろとすることからきたとされる<日本語俗語辞典>
・馬の小便で、惚れてる(うまのしょうべんで、ほれてる) 地口(じぐち)の一つ。 馬の小便は勢いが強いので地面が掘れる。掘れるを惚れるに掛けた洒落。
・馬の背を分ける(うまのせをわける)[=越す] 夕立ちなどが、馬の背を境にして分かれるように、ある地域で降っているのに、すぐ近くが晴れているときなど。
・馬の角(うまのつの) 決してありえないことの喩え。 類:●兎角亀毛 出典:司馬貞の「史記索隠」「丹求帰、秦王日曰、烏頭白、馬生角、乃許耳」
・馬の鼻向け(うまのはなむけ) 1.旅立つ人の前途の無事を祈って、出発にあたり旅行者と酒食を共にすること。門出を祝う宴会。壮行会。送別会。2.旅立つ人に金品や詩歌などを贈ること。また、そのもの。餞別(せんべつ)。
・馬の骨(うまのほね) 素姓の分からない者。主に、下賎(げせん)の者を指して言う。 類:●どこの馬の骨 用例:浮・元禄大平記−二「よしよしいづくの馬の骨にせよ」 ★中国で、役に立たないものについて「一に鶏肋(けいろく)二に馬骨(ばこつ)」と言われたことによる。 用例の出典:元禄大平記(げんろくたいへいき) 浮世草子。著者は「都の錦」という、本名は宍戸光風なる人物である。元禄15年(1702)。当時の本屋業界・出版界の内情を暴露的に描いたもの。井原西鶴に対する強い対抗意識がうかがえる「諸芸大平記」とも。
・馬の耳に風(うまのみみにかぜ) 馬は耳に風を受けても感じないことから、 人の意見に少しも耳を傾けず、聞き流すことの喩え。 類:●馬耳東風 用例:伎・助六由縁江戸桜「何を言つても馬の耳に風」
・馬の耳に念仏(うまのみみにねんぶつ)
・馬は馬方(うまはうまかた) 馬を扱うのは馬方に任せよという意味で、その道のことは、やはり専門の者が一番であるということ。 類:●餅は餅屋●蛇(じゃ)の道は蛇(へび)
・馬は馬連れ(うまはうまづれ) →牛は牛連れ
・生まれた後の早め薬(うまれたあとのはやめぐすり) 赤ん坊が生まれてから出産を早める薬を飲んでもなんの役にも立たない。時機に遅れて役に立たないこと。 類:●泥棒を見て縄を綯う●渇に臨みて井を穿つ
・生まれぬ先の襁褓定め(うまれぬさきのむつきさだめ) 子供が生まれないうちから、おしめの用意に大騒ぎするということから、手回しが早いこと。また、早過ぎること。
・馬を牛に乗り替える(うまをうしにのりかえる)[=替える] 速い馬から遅い牛に乗り替える。優れたものを捨てて、劣ったものに替える喩え。 反:■牛を馬に乗り替える
・馬を鹿(うまをしか) 人を威圧して、筋道の通らないことを無理に通すこと。 類:●鷺を烏 故事:「史記−秦始皇本紀」 中国、秦の宦官・趙高(ちょうこう)は、自分の権勢を確かめようとして、皇帝に鹿を献じて馬と言い張った。
・馬を繋ぐ(うまをつなぐ) 遊里語。権力者の御機嫌伺いに来て、その門前に馬を繋ぐということから、おべっかを使う、諂(へつら)う。
・馬を水際に連れていくことはできても、水を飲ませることはできない(うまをみずぎわにつれていくことはできても、みずをのませることはできない) 誰かに何かをする機会を与えることはできても、それをするように強制することはできない。人にものごとを強要すべきではないということ。 類:●匹夫も志を奪うべからず ★英国の諺「You can lead a horse to water, but you cannot make him drink.」の訳。