−うら(ura)−
・裏がある(うらがある) 公表していない秘められた事情がある。事の成り行きに、表には表れない隠された企(くわだ)てなどがある。 例:「この法案には裏がある」
・裏釘返す(うらくぎかえす) 裏釘の先を打ち曲げて抜けないようにする。転じて、間違いのないように念を押す。 用例:浄・源義経将棊経−一「源氏の御世はうら釘かやし、天長地久成べきに」
・浦州の鳥(うらすのとり) 浦州にいる水鳥が落ち着きなく歩き回るように、心が落ち着かない様子。
・占い者身の上知らず(うらないしゃみのうえしらず) 占い者は、他人の身の上は占えても、自分の身の上は判断できないということ。占い者を嘲って言う言葉。
・末成りの瓢箪(うらなりのひょうたん) 瓢箪の蔓の末の方に付いた実は艶(つや)がなく味も良くないところから、顔色が青白くていかにも弱々しく見える人のこと。また、そのような様子。
・裏には裏がある(うらにはうらがある) 世間のものごとや人間の心理は非常に複雑で、表面から判断しただけではその真相が掴めない。 類:●一枚の紙にも表裏あり
・裏腹(うらはら) 1.背と腹の意味から、すぐ隣接していること。隣り合っていること。 類:●背中合わせ 例:「死と裏腹」 2.正反対なこと。 類:●あべこべ●裏表 用例:浮・浮世親仁形気−一「親御の御世話をなさるるが習ひなるに、おまへのは裏腹にて」
・うらぶれる しょんぼりと力なく、心の萎れるような状態を表わす言葉。 1.心の拠りどころがなく、力を落とす。憂(うれ)い萎(しお)れる。 用例:万葉−八七七「人もねの宇良夫礼(ウラブレ)をるに」 2.零落(おちぶ)れたり不幸に出会ったりして、惨(みじ)めな有り様になる。 例:「うらぶれた身なり」
・怨み骨髄に入る(うらみこつずいにいる) 恨みが骨の芯まで染み通る。人を恨む気持ちが骨髄まで達するほど強いということ。 類:●恨み骨髄に徹す 出典:「史記−秦本紀」「繆公之怨此三人、入於骨髄」
・恨み骨髄に徹す(うらみこつずいにてっす) 心の底から恨む。激しく恨む。 類:●怨徹骨髄●恨み骨髄に入(い)る
・怨みに報ゆるに徳を以ってす(うらみにむくゆるにとくをもってす) 人から酷い仕打ちをされても、恩徳でそれに報いる。 出典:「老子−63章」「為無為、事無事、味無味。大小多少、報怨以徳」
・裏目に出る(うらめにでる) 良かれと思ってやったことが予期に反して悪い結果になる。
・裏を返す(うらをかえす) 1.遊里で、初めて揚(あ)げた遊女を二度目に呼ぶ。 類:●裏壁返す 2.(1.から)同じ事をまたする。3.建築用語。壁の上塗りをする。4.打った釘の先を打ち曲げる。 類:●裏釘返す 5.事柄の本当のところを言い直す。同じ事柄を違う見地から述べる。多く、「裏を返せば」の形で使う。 類:●要するに 例:「裏を返せばやりたくないということだ」
・裏を掻く(うらをかく) 1.矢、刀、槍などを、物の裏まで突き通す。 類:●裏掻く 用例:保元−中「余る矢が、伊藤五が射向けの袖にうらかひてぞ立ったりける」 2.予想外の行動に出て相手を出し抜く。 類:●裏を食わす 用例の出典:保元物語(ほうげんものがたり) 鎌倉初期の軍記物語。3巻。著者未詳。承久(1219〜22)頃原型が成立したらしく、伝本が多い。保元元年(1156)に起こった保元の乱の顛末(てんまつ)を、鎮西八郎(ちんぜいはちろう)源為朝(みなもとのためとも)の活躍を中心に、和漢混淆文で活写した作品。