−うつ(utu)−
・うっかり 1.気抜けして、ぼんやりすること。また、心を奪われてうっとりすること。 用例:洒・令子洞房「物をおとしたやうにうっかりとなり、昼見世をわすれて」 2.不注意であること。気付かないでしてしまうこと。 用例:洒・青楼五つ雁金−二「ついうっかりとその玉子をたべんした」、日葡「ウッカリトシタモノ」 ★ウカリの促音化<広辞苑(岩)>
用例の出典:令子洞房(むすこべや) 洒落本。山東京伝。京伝の洒落本の初作。北尾政演(まさのぶ=京伝)画。天明5年(1785)。傾城(けいせい)買いもの。
・うっかりひょん 気を取られてぽかんとしている様子。 類:●うっかりぽん 用例:浄・本朝三国志−二「大将始気をうばはれ、魂ぬかしうっかりひょん」
・空蝉の世(うつせみのよ) この世のこと。また、「うつせみ」を「虚蝉」と表記したことから、仏教の無常感と結び付いて、儚(はかな)いこの世。 用例:古今−七三「うつせみの世にもにたるか花ざくらさくとみしまにかつちりにけり」
・現を抜かす(うつつをぬかす) ある事に心を奪われて夢中になる。 例:「ゴルフに現を抜かす」
・打っ遣る(うっちゃる)・打っ棄る 1.捨てる。放り出す。 例:「故障した電化製品が打っちゃられている」 2.1.から転じて、無駄なこと、不本意なことに金銭などを費(つい)やす。 用例:滑・膝栗毛−二「たてひきづくで、がらら廿四文うっちゃったアもし」 3.主に「うっちゃっておく」の形で、手を出したり口を出したりしないで、そのままにする。相手にしないで放っておく。 例:「愚図は打っちゃっておけば良い」 4.相撲で「うっちゃり」をする。5.相撲の技「うっちゃり」から、土壇場で形勢を逆転する。 類:●打っちゃりを食わす ★「うちやる(打遣)」の変化<国語大辞典(小)>
・打って一丸となる(うっていちがんとなる) 全ての人々が一纏(まと)まりになる。
・打って変わる(うってかわる)[=変う] 人の態度や事柄の情況が一変する。前とがらりと変わる。 用例:浄・菅原伝授手習鑑−五「是まで敵と思ひし松王、打って変った所存はいかに」
・打って付け(うってつけ) 人やものごとが、その場の情況や役割にぴったり適(かな)っていること。 類:●誂(あつら)え向き 用例:雑俳・柳多留−七「羽衣のくせは野がけに打てつけ」 ★釘で打ち付けたようにぴったり合う意から<大辞林(三)>
・打って出る(うってでる) 1.攻撃するために戦いの場に、勢いよく進み出る。出撃する。 類:●打って出(い)ず 2.比喩的に、華やかな場に自分から出てゆく。第一線に出る。 類:●乗り出す 例:「政界に打って出る」
・鬱陶しい(うっとうしい) 1.気が詰まって晴れ晴れとしないこと。また、気掛かりで気持ちが晴れ晴れしないこと。 出典:「孟子−万・上」「象往入舜宮、舜在牀琴、象曰、鬱陶思君爾」 2.気候が、蒸し暑く晴れ晴れしないこと。
・梁の燕(うつばりのつばめ) 梁(はり)に巣を作り雛を育てる燕という意味で、我が子を思う親の深い愛情のことを喩えて言う。